大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

食堂と視線

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そんなこんなで翌朝。
昨晩はそのまま逃げ帰って寝た。誰にも会わなかったし誰にも見られなかったはずだ。
一応シャルにも聞いたが「誰も居なかったぞ」と言われたので、まぁ安心だろう。
んで、だ。
朝飯食いながら今現在起きている(であろう)ことをとりあえず頭ん中で確認してみる。
まずは…アレか、システナの亡命問題。現状は憶測に憶測を重ねた結果でしかないが、そのうち起こり得そうで最も面倒なのがコレだ。
何が起こるかわからないが、何が起きても何かしらのデカい波紋を残しそうだ。なんせ王サマと神サマが絡んでんだ、どう転がっても嫌な予感しかしねぇ。
次いで、すぐにでも問題が起きそうなのは昨晩の研究室の件。
正直今すぐにでも誰かすっ飛んできて俺の首根っこを掴んで引きずって行っても「しくじったか」程度にしか思わない。そりゃあんだけ派手に脱出してんだから当たり前っちゃ当たりなんだがな。
まだ誰も話にしていないのは、訓練所は学校の方にあるから登校前のこの時間帯は誰も見ていないからだろう。
今ん所の大きな問題はこの二つか。あぁ、一応銀剣とかをルトの親戚に見せちゃいかんってのはあるが、それこそどうしようもないし、特に対策とかは考えていない。
つーかそもそもこれ俺のってか俺達のだし。なんでアイツらの物になってんのか訳分からんし、本当に気に食わん。
おっと、話が少し横にズレた。
ともかく、どの問題についても、現状俺が何かしら出来ることは無い。
強いて言うならシステナの件について調べたりすることぐらいだろうが、ここは街から完全にシャットアウトされた荒野のド真ん中。聞く相手も居なければ手段もない。いや、手段は無くはない…か。
なんにせよ、そこまで俺が進んで首を突っ込む義理も義務もない。
降りかかった火の粉は払うが、隣で燃えてる炎を自分から消しに行くほどシステナと仲が良い訳でもない。
ぶっちゃけるなら「システナの件は勝手に終息してくんねーかなー」だ。まぁ、その結果俺に不利益が被るのなら話は別だが。
よし。朝飯も終わったし、アーネもぼちぼち食べ終わる。シエルの姿が見えないのが少し気がかりだが、まぁそういう日もあるだろう。
今日の座学は確か…あぁ、三聖学か。受けたくねぇけど行かなきゃ不味いよなぁ…
『…おい今代の、ちょっといいか?』
ンだ?シャル。なんかあったか?
『後ろの方からユーリアがすんげぇガンつけてるぞ。お前何したんだ?』
は?何もしてな──いや、なんもしてないよな俺?
『知るかよ。本当に何もしてないんだよな?』
してねぇって。多分。
心当たりがこっちにないだけで、実は向こうにある可能性はあるが。
「あれ?レィア、どったの?」
空のトレイを持って俺に話しかけてきたのはリーザ。どうやら朝食が終わって出るところらしい。
「何、大したことじゃないさ」
「ホントー?顔凄いことになってるよ?」
「げ」
マジか。
『いかにも悩んでますって顔だな』
「で、なんかあったの?」
「んー…感づかれるなよ」
と言って髪で軽く後ろを指さす。もちろんユーリアには見えないように。
「うん?あぁ…なるほどね。で、何したの?」
「お前もそう言うのか…俺は何もしてないよ。記憶にある限りはな」
「うっそだー」
嘘じゃねぇっての。あとアーネ、何故お前は俺を睨む。
「で、何、聞いてくればいいの?」
「え?あー…いや、いい。多分そのうち向こうから言ってくるさ」
「ふーん。あ、じゃ、そろそろ行くね。遅刻しないようにしなよー」
「おう。んじゃ後でな」
…さて。まだ睨んでる?
『睨んでる』
んー、まぁいいや。いや、良かないけどどうしようもないし、心当たりもないし、かと言って聞きに行くのも面倒だし放っておこう。
今は特に問題はないしな。
さて、そろそろ出ないと遅刻しかねんな。行くか。
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