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本編
天井と反応
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俺が取った行動は非常に単純。
高いと言うほど高くない天井へ向けて跳躍し、手と足にのみマキナを装備。爪の形を取ったそれが、ほとんど取っかかりのない天井を強引に掴む。
あとは出来るだけ身体を低くする。
それが終わった直後に誰かが入ってきた。
「るーにゃんいらっしゃー…ありゃ?」
バーン!!と言う効果音が聞こえてきそうな程勢いよく入ってきたのは茶髪の頭。まぁ、茶髪と言っても真上から見たら中央の方から円形に黒色が見えてきているのだが。
ちなみにコイツが出てきた扉はコイツがここに入ってきた時点でまた閉じた。
「んー?っかしーなー。気の所為かなん?」
「………?」
真上からでも、いやだからこそ分かる、分かりやすい凹凸の大きな身体。やはり女か。顔は見えないが、こんな頭したやついたっけな?
服装は…白衣?下の服はどうなってるのかちょいわかんねぇな。
「ん、でも…にゅ~?」
変な声を上げるやつだな。急にとことこと歩き出し、俺がさっきまでどうにかして進んでいた紙の海ゾーンにまで進んで行き、しゃがみ込む。
「………。」
そして無言。
…何してんだアイツ。つか誰だ。
『お前が歩く時少しだけ紙の束を退かしてたから、それに気づいたとか?』
いやいやそりゃないでしょ。だってあんな紙の量だぞ?位置なんて覚えられる訳が──
「一人…身長は百五十から百六十…女?」
最後に聞き捨てならないセリフが聞こえてきたんだが。このまま殴りかかっていいかね?
『そんな事よりお前の身長幾つだ。合ってるのか?』
………………百七十あると思うか?
『…聞いて悪かったな。そう言えば家で最後に測った時は確か百五十──』
あれから何年も経ってるから身長伸びてるから安心しろ今はまだそこまで無いかもしれんがまだ成長期が来てないだけだしそのうち百七十超えるし大丈夫だし。
『なんでやたら早口なんだお前』
うるせぇ。
「あっ……にゃっははーん」
突然、茶黒頭の女が立ち上がった。
「見つけたにょーん!」
と言って白衣の下から取り出したのは三本のメス。それを右手で握り込み、三本同時に──
「とう!」
と勢いよく投げたメスは彼女の正面、つまり俺とは真逆の方向に投げられる。挙句全部てんでバラバラの方向に進むメス。
さらにそのまま連続して左手でもメスを三本取り出し、今度はその体勢のまま後ろに…つまり俺の方向に投げるが、合っているのは方向だけ。高さも落下先も全てバラバラで、まったく当たる様子はない。
…何してんだ?
一応後ろに投げたメスだけには注意を払うか──いや!?
キン!と恐ろしく甲高い音が一度だけ鳴った。
真上から見ていた俺は何が起きたのかしっかり目撃していた。メスがなにか硬いものにぶつかり、方向を変えたのだ。
それも六本全て。一度しか音が鳴らなかったのは、その全てが全く同一のタイミングで跳ねたから。
そしてその跳ねたメスの切っ先が向いているのは当然のごとく俺の方。
恐らく着弾は六本全て同時。一つ防いだところで残り五本が俺の身体を襲う。
「………!!」
加えて、今の俺は手足で天井を掴んでいる状態。つまり、文字通りの意味で手が離せない。もちろん足も。
この勢いで飛んでくるメスに髪はもう遅い。掴み、勢いを殺しきる前に刺さる。マキナの展開はどうだ──ギリギリ間に合うか?いや!
髪の方がまだ可能性があるか?
そう判断し、俺は髪を動かした。
高いと言うほど高くない天井へ向けて跳躍し、手と足にのみマキナを装備。爪の形を取ったそれが、ほとんど取っかかりのない天井を強引に掴む。
あとは出来るだけ身体を低くする。
それが終わった直後に誰かが入ってきた。
「るーにゃんいらっしゃー…ありゃ?」
バーン!!と言う効果音が聞こえてきそうな程勢いよく入ってきたのは茶髪の頭。まぁ、茶髪と言っても真上から見たら中央の方から円形に黒色が見えてきているのだが。
ちなみにコイツが出てきた扉はコイツがここに入ってきた時点でまた閉じた。
「んー?っかしーなー。気の所為かなん?」
「………?」
真上からでも、いやだからこそ分かる、分かりやすい凹凸の大きな身体。やはり女か。顔は見えないが、こんな頭したやついたっけな?
服装は…白衣?下の服はどうなってるのかちょいわかんねぇな。
「ん、でも…にゅ~?」
変な声を上げるやつだな。急にとことこと歩き出し、俺がさっきまでどうにかして進んでいた紙の海ゾーンにまで進んで行き、しゃがみ込む。
「………。」
そして無言。
…何してんだアイツ。つか誰だ。
『お前が歩く時少しだけ紙の束を退かしてたから、それに気づいたとか?』
いやいやそりゃないでしょ。だってあんな紙の量だぞ?位置なんて覚えられる訳が──
「一人…身長は百五十から百六十…女?」
最後に聞き捨てならないセリフが聞こえてきたんだが。このまま殴りかかっていいかね?
『そんな事よりお前の身長幾つだ。合ってるのか?』
………………百七十あると思うか?
『…聞いて悪かったな。そう言えば家で最後に測った時は確か百五十──』
あれから何年も経ってるから身長伸びてるから安心しろ今はまだそこまで無いかもしれんがまだ成長期が来てないだけだしそのうち百七十超えるし大丈夫だし。
『なんでやたら早口なんだお前』
うるせぇ。
「あっ……にゃっははーん」
突然、茶黒頭の女が立ち上がった。
「見つけたにょーん!」
と言って白衣の下から取り出したのは三本のメス。それを右手で握り込み、三本同時に──
「とう!」
と勢いよく投げたメスは彼女の正面、つまり俺とは真逆の方向に投げられる。挙句全部てんでバラバラの方向に進むメス。
さらにそのまま連続して左手でもメスを三本取り出し、今度はその体勢のまま後ろに…つまり俺の方向に投げるが、合っているのは方向だけ。高さも落下先も全てバラバラで、まったく当たる様子はない。
…何してんだ?
一応後ろに投げたメスだけには注意を払うか──いや!?
キン!と恐ろしく甲高い音が一度だけ鳴った。
真上から見ていた俺は何が起きたのかしっかり目撃していた。メスがなにか硬いものにぶつかり、方向を変えたのだ。
それも六本全て。一度しか音が鳴らなかったのは、その全てが全く同一のタイミングで跳ねたから。
そしてその跳ねたメスの切っ先が向いているのは当然のごとく俺の方。
恐らく着弾は六本全て同時。一つ防いだところで残り五本が俺の身体を襲う。
「………!!」
加えて、今の俺は手足で天井を掴んでいる状態。つまり、文字通りの意味で手が離せない。もちろん足も。
この勢いで飛んでくるメスに髪はもう遅い。掴み、勢いを殺しきる前に刺さる。マキナの展開はどうだ──ギリギリ間に合うか?いや!
髪の方がまだ可能性があるか?
そう判断し、俺は髪を動かした。
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