大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

完成と身体

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ギィィン、ギィィン、ギン。
お、音が止まった。
「レィアさん、これでいい?」
見せてくれたキマイラの骨は、俺が想像していた以上に完璧で、まさに理想の形。
やっぱり、俺がやるよりかラウクムくんに任せて正解だったな。
不安げなラウクムくんに笑いかけ、「完璧だ」と伝える。
「よかった!これであとは縫いつけて完成?」
「縫い付けた後、全部を炉の中に放り込んで、もう一回冷やしたらキマイラの骨が完全に馴染んで完成かな。ありがとうな」
そう言いながら、髪で糸と骨をつまみ、さっさと縫いつけ、炉に放り込む。
「それ、燃えないの?」
「普通は燃えるけど、ここまで伸ばしたアラクネの糸なら、燃えないかな?油で伸ばしてんのに、不思議なもんだ」
ちなみに森でこの糸を伸ばす時に使っていたのは、あのイモムシの体液。油の代わりになってたけど、アラクネの糸も伸ばせた。
「へぇ、変わった特性だね」
そういう風に雑談していると、いい感じに熱されてきた。
そろそろだな。
真っ赤になった防具を、水につけ、急速に冷やしていく。
その途端、キマイラの骨が少し溶けたように見え…ギュッと引き締まる。よし、完成だ。
引き上げると、糸と骨の継ぎ目がない、普通の服と大差ないような服が出来上がる。
「よしラウクム、これを一回お前の戦鎚で叩いてみてくれない?」
「えっ?あぁ、強度チェックか」
そういう事。
という訳で、戦技アーツは使わなかったが、振り下ろされた戦鎚は俺の新しい防具とぶつかり合い、どちらも無傷。
まぁ、狭い部屋の中だったから、全力で振れなかったってこともあるだろうが、それでも充分だ。
「あとは俺が着て確認を」
「それは無理!流石に班の仲間に武器を振るのは出来ないから!」
「…いや、そこまでじゃねぇよ」
ちなみにダメージは多分通らないけど、普通に吹き飛ぶだろうから。
「だから、こういう事」
俺は、ぴっ、と制服を外した。
学校の訓練終わった後、直にこの部屋に来たからな。制服はつけっぱなしだった。
「え?どういう事?」
応えるのも面倒なので、そのまま脱いでいく。
「えっえっえっ?」
コートを脱ぎ、下に着ていたシャツを脱ぎ、上半身裸になる。
相変わらず、筋肉のきの字も無いような薄い肉付きの身体だ。
腕は細く、箸より重いものを持ったことが無いようで、腹筋も当然ながら割れていない。まったく、男が持つような筋肉質な身体からは程遠いな。
程遠いが、当然ながら胸に膨らみなどある訳がない。
無いのだが…。
「…なんで倒れてやがる」
俺がシャツを脱いだ時点で、ラウクムくんが鼻血を噴いて倒れた。
理由は、知りたくない…。
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