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本編
種族と存在
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『んで、この話には続きがあってだな』
「まだ続くのか」
『当たり前だ。ここまでが前提の話だからな。…で、この《王》の能力はヒトには絶大な能力を発揮するが、他の存在には通用しない』
「ふぅん。…で?」
『で?ってお前…あぁそうか、もう一個言うの忘れてたんだが、《王》と《勇者》は仲がクソ悪い』
「は?」
なんで?いや、予想はつく。大方、昔の勇者が《王》に喧嘩でも吹っかけて──
『いやいや。俺らは何もしてないから。っつーか、《王》として存在し始めた時から周りが言うこと聞くようになるからな。言うことを聞かない存在全般が嫌いなんだよ、アレは』
存在し始めた時からという言い方に一瞬疑問を覚えるが、うっかり忘れていたかのようにそれについての答えを得る。
《王》は直接血の繋がった子の中から適性がある者が勝手になる…と言うより成るらしい。
「んじゃあまさか教会関係を嫌ってるのって」
『まぁまず、神が《王》の力の影響を受けないからってのがあるだろうな。あとは普通に《聖女》のせい』
「?」
どういう意味だ?
『察し悪いなぁレィアくん。《王》と《勇者》と《聖女》は厳密にはヒトじゃない。身体の構造や食うモン、見た目、魔力、その他諸々はほぼ同じだが、限りなく近いだけで同じじゃない。だからヒトと同じ様な病気にならないし、薬も完全には力を発揮しない。回復系の魔法もだな。
もちろん個体差ってか個人差はある。…が、存在が違うってのはそもそも別の物だって言うことだ。たとえるなら、普通の猿と魔獣の猿みたいな差か?俺の時代には魔獣がいなかったから正確かどうか分からねぇけど』
俺の身体に回復系の魔法の効きが悪い理由が意外なところで判明したが、そんな事はどうでもいい。
「って事はアレか、もしかして《勇者》って」
『やっと気づいた?だから《勇者》は《王》の影響を受けないし、《聖女》もまたその通り。だから嫌われてるし、ヒトが《勇者》を知ると《王》に察知されるかもしれないから、誰にも言っちゃいけねぇんだ』
ようやく納得した。っつーか諸々考えてみると王様って器ちっせーな。
『まぁ、多分《勇者》より《聖女》の方が嫌われてるんだけどな』
『あら?そうなのか、シャルレーゼ』
意外とばかりに反応するレイヴァー。
『《聖女》って無意識に結界張ってるからな。それも精神的な方に作用する奴。それも多分、信仰心に比例して効力を増すタイプの奴だな。だからずっぶずぶの教会信者は《聖女》の能力をすんげぇ受けてるから、場合によっては《王》の能力すら弾けるだろうな』
『そりゃ《王》に嫌われるわ。なんで潰されてないのやら』
『結界がなきゃ国がもたないからだろ。それぐらいはどれだけ無能な《王》だったとしても分かる。そんで結界を張るかどうか、どこからどこまでなのかは《聖女》の裁量次第なんだから、ご機嫌をとっとかなきゃ……な?』
『「あー…」』
俺とレイヴァーの声が重なる。意外と《聖女》って黒いな。
「で、まだ聞きたいことがあんだが」
『ん?なんだ?レィアくん』
「そこのアーネが突然ぶっ倒れたのかってのは教えてくれないのか?」
『あぁ、それか』
レイヴァーが一度間を開ける。
『悪いが知らん』
なら無駄に間を開けるな。
「まだ続くのか」
『当たり前だ。ここまでが前提の話だからな。…で、この《王》の能力はヒトには絶大な能力を発揮するが、他の存在には通用しない』
「ふぅん。…で?」
『で?ってお前…あぁそうか、もう一個言うの忘れてたんだが、《王》と《勇者》は仲がクソ悪い』
「は?」
なんで?いや、予想はつく。大方、昔の勇者が《王》に喧嘩でも吹っかけて──
『いやいや。俺らは何もしてないから。っつーか、《王》として存在し始めた時から周りが言うこと聞くようになるからな。言うことを聞かない存在全般が嫌いなんだよ、アレは』
存在し始めた時からという言い方に一瞬疑問を覚えるが、うっかり忘れていたかのようにそれについての答えを得る。
《王》は直接血の繋がった子の中から適性がある者が勝手になる…と言うより成るらしい。
「んじゃあまさか教会関係を嫌ってるのって」
『まぁまず、神が《王》の力の影響を受けないからってのがあるだろうな。あとは普通に《聖女》のせい』
「?」
どういう意味だ?
『察し悪いなぁレィアくん。《王》と《勇者》と《聖女》は厳密にはヒトじゃない。身体の構造や食うモン、見た目、魔力、その他諸々はほぼ同じだが、限りなく近いだけで同じじゃない。だからヒトと同じ様な病気にならないし、薬も完全には力を発揮しない。回復系の魔法もだな。
もちろん個体差ってか個人差はある。…が、存在が違うってのはそもそも別の物だって言うことだ。たとえるなら、普通の猿と魔獣の猿みたいな差か?俺の時代には魔獣がいなかったから正確かどうか分からねぇけど』
俺の身体に回復系の魔法の効きが悪い理由が意外なところで判明したが、そんな事はどうでもいい。
「って事はアレか、もしかして《勇者》って」
『やっと気づいた?だから《勇者》は《王》の影響を受けないし、《聖女》もまたその通り。だから嫌われてるし、ヒトが《勇者》を知ると《王》に察知されるかもしれないから、誰にも言っちゃいけねぇんだ』
ようやく納得した。っつーか諸々考えてみると王様って器ちっせーな。
『まぁ、多分《勇者》より《聖女》の方が嫌われてるんだけどな』
『あら?そうなのか、シャルレーゼ』
意外とばかりに反応するレイヴァー。
『《聖女》って無意識に結界張ってるからな。それも精神的な方に作用する奴。それも多分、信仰心に比例して効力を増すタイプの奴だな。だからずっぶずぶの教会信者は《聖女》の能力をすんげぇ受けてるから、場合によっては《王》の能力すら弾けるだろうな』
『そりゃ《王》に嫌われるわ。なんで潰されてないのやら』
『結界がなきゃ国がもたないからだろ。それぐらいはどれだけ無能な《王》だったとしても分かる。そんで結界を張るかどうか、どこからどこまでなのかは《聖女》の裁量次第なんだから、ご機嫌をとっとかなきゃ……な?』
『「あー…」』
俺とレイヴァーの声が重なる。意外と《聖女》って黒いな。
「で、まだ聞きたいことがあんだが」
『ん?なんだ?レィアくん』
「そこのアーネが突然ぶっ倒れたのかってのは教えてくれないのか?」
『あぁ、それか』
レイヴァーが一度間を開ける。
『悪いが知らん』
なら無駄に間を開けるな。
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