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本編
封印と封憶門
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「えっ、ちょっ?えっ?なんでお前いんの?いやシャル、これ良いのか?」
想定外にも程がある。確か、シャル以外の亡霊はシャルの手によって俺に干渉出来ないようにされていたはず。
『良いか悪いかで言えば悪い。が、最悪の場合に陥るよりかは千倍も万倍もいい』
『末の妹の許可も取れたんでな。顔を出しに来た』
「顔を出しに来たって…」
そんな「ちょっと近場まで来たからついでに」みたいな感じで言われても尚更困惑する。
『ふざけてないで、話をするならとっととしやがれクソ隠居ジジィ。事態はまだ変わっちゃいないが、既に動き始めているだろう。それがどこにどう動くかわからん以上、すぐに出来ることをするべきだ』
『全く、シャルレーゼは少し急き過ぎだな。現役時代に近くなってるぞ。ほら、肩の力抜きな?既に動き始めているからといって、こちらが動けるとは限らないんだからよ』
「???」
話がまったくもってわからん。
何がどうなっているのか聞こうとした時、ようやくレイヴァーが『さて、レィアくん』と言った。
『まずは最初の質問に答えよう。「何故シャルレーゼが最近、君の意識の方へと浮上していなかったのか」と言う話についてだ』
そこで一度言葉を止め、間を取る。
『理由は君の中にある封憶門…《勇者》などの特殊なユニットが世界の知識等を封じ込めてある門が、つい先日六度目の解放を行ったからだ』
その言葉に、思わず俺は「は!?」と声を上げてから、続けてこう言った。
「六度目!?いやちょっと待ってくれレイヴァー、俺はまだそんなに開いてないぞ!?」
意識の奥底にある大きな扉。それを封憶門と言うのだと前に会った時、レイヴァーは教えてくれた。
だが、それをそんなに開いた記憶はないし、開いたらそれに応じて知識等を得られる筈だ。
それが無いのはあまりに不可解と言えるだろう。
『いいや、開いている』
強く断言する最古の元勇者。
『証拠は俺が今この場にいる事だ。シャルレーゼが他の亡霊にかけた連環八層封印というのはな、封憶門と呼応して緩められる。もちろん俺なら封憶門がひとつも開いてない状況からでもこじ開けられたが、今回はそんな気は毛頭無かった。
ただただ封印が俺の力に耐えきれず、勝手に崩壊しちまったんだ。なんの拍子で一気に六つ目の門が開かれたかは薄々検討がついているが、そんな事はどうでもいい。
シャルレーゼがつい最近までレィアくんの所に顔を出さなかったのは、ガチで逃げ回る亡霊を本気で追い掛け回し、その処理に追われてたからさ』
またあの封印が壊れたのか。脆過ぎないか?
『馬鹿、八層封印は俺が使える中でも上から二つ目ぐらいに強力な封印だぞ。それを封憶門と連結させる事で、さらに強固にしたのが連環八連封印だ。よっぽどの事がない限りそう壊れやしない』
つまり、封憶門の六つ目が開かれるのは想定外だった、と。
『そう壊れやしないが、流石に限度ってモンがあるからな。どう足掻いてもバスターを封印するのは六層目を抜かれた連環封印じゃ無理だった。だから渋々コイツを外に出した訳だ』
なるほど。
次いで再びレイヴァーが口を開く。
『元々、封憶門は八つの深度から成る。一から三番目の門は表層、四から六番目の門は中層、そして、七、八番目の門は深層ってな風に。五つ目の門を開いた時点で中層は終わりに近づき、情報の濃度も上がってくる。当選、六つ目なら更にだ。それが一度に押し寄せてくるのだったら…まぁ、耐えきれずに無意識のうちに記憶をどこかの片隅に追いやってしまっても、仕方の無いことだろうね』
「そうか」
ふー、と息を吐き一息つく。
『一回、休憩でも挟むかい?』
「いや、いい。続けてくれ」
俺は即座にそう返した。
『よし。それじゃあ次の話かな』
想定外にも程がある。確か、シャル以外の亡霊はシャルの手によって俺に干渉出来ないようにされていたはず。
『良いか悪いかで言えば悪い。が、最悪の場合に陥るよりかは千倍も万倍もいい』
『末の妹の許可も取れたんでな。顔を出しに来た』
「顔を出しに来たって…」
そんな「ちょっと近場まで来たからついでに」みたいな感じで言われても尚更困惑する。
『ふざけてないで、話をするならとっととしやがれクソ隠居ジジィ。事態はまだ変わっちゃいないが、既に動き始めているだろう。それがどこにどう動くかわからん以上、すぐに出来ることをするべきだ』
『全く、シャルレーゼは少し急き過ぎだな。現役時代に近くなってるぞ。ほら、肩の力抜きな?既に動き始めているからといって、こちらが動けるとは限らないんだからよ』
「???」
話がまったくもってわからん。
何がどうなっているのか聞こうとした時、ようやくレイヴァーが『さて、レィアくん』と言った。
『まずは最初の質問に答えよう。「何故シャルレーゼが最近、君の意識の方へと浮上していなかったのか」と言う話についてだ』
そこで一度言葉を止め、間を取る。
『理由は君の中にある封憶門…《勇者》などの特殊なユニットが世界の知識等を封じ込めてある門が、つい先日六度目の解放を行ったからだ』
その言葉に、思わず俺は「は!?」と声を上げてから、続けてこう言った。
「六度目!?いやちょっと待ってくれレイヴァー、俺はまだそんなに開いてないぞ!?」
意識の奥底にある大きな扉。それを封憶門と言うのだと前に会った時、レイヴァーは教えてくれた。
だが、それをそんなに開いた記憶はないし、開いたらそれに応じて知識等を得られる筈だ。
それが無いのはあまりに不可解と言えるだろう。
『いいや、開いている』
強く断言する最古の元勇者。
『証拠は俺が今この場にいる事だ。シャルレーゼが他の亡霊にかけた連環八層封印というのはな、封憶門と呼応して緩められる。もちろん俺なら封憶門がひとつも開いてない状況からでもこじ開けられたが、今回はそんな気は毛頭無かった。
ただただ封印が俺の力に耐えきれず、勝手に崩壊しちまったんだ。なんの拍子で一気に六つ目の門が開かれたかは薄々検討がついているが、そんな事はどうでもいい。
シャルレーゼがつい最近までレィアくんの所に顔を出さなかったのは、ガチで逃げ回る亡霊を本気で追い掛け回し、その処理に追われてたからさ』
またあの封印が壊れたのか。脆過ぎないか?
『馬鹿、八層封印は俺が使える中でも上から二つ目ぐらいに強力な封印だぞ。それを封憶門と連結させる事で、さらに強固にしたのが連環八連封印だ。よっぽどの事がない限りそう壊れやしない』
つまり、封憶門の六つ目が開かれるのは想定外だった、と。
『そう壊れやしないが、流石に限度ってモンがあるからな。どう足掻いてもバスターを封印するのは六層目を抜かれた連環封印じゃ無理だった。だから渋々コイツを外に出した訳だ』
なるほど。
次いで再びレイヴァーが口を開く。
『元々、封憶門は八つの深度から成る。一から三番目の門は表層、四から六番目の門は中層、そして、七、八番目の門は深層ってな風に。五つ目の門を開いた時点で中層は終わりに近づき、情報の濃度も上がってくる。当選、六つ目なら更にだ。それが一度に押し寄せてくるのだったら…まぁ、耐えきれずに無意識のうちに記憶をどこかの片隅に追いやってしまっても、仕方の無いことだろうね』
「そうか」
ふー、と息を吐き一息つく。
『一回、休憩でも挟むかい?』
「いや、いい。続けてくれ」
俺は即座にそう返した。
『よし。それじゃあ次の話かな』
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