大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

依頼と心配事

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さて翌日。
昼過ぎまで考えたものの、ルーシェから二年訓練所の鍵を貰った現状としては学校長の申し出を受け入れるメリットがないという点と、そもそも学校長の依頼が高報酬すぎて逆に俺の警戒心をあおった結果、やっぱり断ろうかという考えに至った。ちなみにあの鍵が使えるかどうか試してみたところ、普通に開いた。
あともう一個挙げるなら、ルーシェの言葉が気になったからというのもあるが…まぁそれは全体から見て些細なものだ。
そんな訳で学校長の話を断り、さっさと部屋を出る。
「まぁ、もしどうしても。どうしっっっても俺の力を借りたいならもう一度話をよこしな。そんときゃ」
部屋を出る直前で、振り向かずにそう言う。
「貸しイチで何とかしてやる」
「それはまた。随分と上から言いますね」
「生憎と敬意を払うに値すると思えない限りはずっとこのままだ。なんせアンタにゃ思いっきり害意を向けられたことすらあるからな」
概ね《臨界点》のせいだったフェンリルの件、あの時の事は絶対忘れねぇからな。
「依頼をまだ受けてる分だけ有難く思って欲しいもんだな」
最後に「ケッ!!」と隠しもしない嫌悪を吐き出して部屋から出た。
『いいのか?』
構わねぇよ。これでも頼ってくるならこっちもそれなりに仕事をするだけだし、来ないなら来ないで向こうがどうにか出来ると踏んだんだろう。結果、どうなるかは知らんが。
にしても少し意外だったのは、あの場で即座に「では貸しイチでお願いします」とか言ってすぐに依頼し直さなかった事か。という事はそこまで切羽詰まった状況じゃないのか、それとも貸しを作るのがよっぽど嫌なのか…まぁなんにせよ、少し拍子抜けだったな。
さてと。やることは終わったし、そろそろ皆来る頃だな。
『何が?』
いや、単純に春休みがそろそろ終わるって話だ。試験が始まる前に一度集会して連絡事項やら新しい先生の紹介やらをするらしい。そのあとに試験、終わり次第入学式と入寮…あぁ、鍵戦争だな。
シエルが持ってくる手筈になっている調整済みマキナと新しい銀剣の慣らしも兼ねて、訓練所は早めに入りたい所だったので、ルーシェから貰えた二年訓練所の鍵は非常にありがたかった。
なんせこのままだと多分、鍵戦争で勝ち残れないし。
『おい、サラっと負ける宣言してるけど大丈夫なのか?』
大丈夫な訳あるか。それぐらい今回の変化は大きかったんだ。
前の銀剣やら金剣でもあったんだから、解放も出来るはずだけど今は分からない。だから切り札の煌覇も撃てないし…あぁそうだ、多分だけど…
『どうした』
多分…少し触ってみた感じ、戦技アーツが撃てなくなってる可能性がある。
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