大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

聖女とナナキ

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自分が聖女様…フライナ・シグナリム様について知っている事と言えば…。
…元は辺境の地の農村の長女だったが、婚約を交わした十三歳の誕生日の日に聖女紋が身体に出現。そのことが教会に伝わり、出現後僅か三日にして教会に保護、そして一年の修行期間を終えるとほぼ同時に新しい聖女として正式に教会から発表された。
今現在、御年十八歳という若さにして聖女を務めており、歴代聖女よりも幾分早く聖女となった為か、先代達よりも結界が脆い、などの問題が指摘されていたりするが、その分戦場では先頭に立ち、先代達と負けず劣らずの人気を得ている。
と言ったところか。
で、その聖女様がいる訳だが…本物だよな?
地面につかんばかりに長い金髪に全てを見通すような碧眼、清廉さを強調する白を基調とした聖衣に、手や脛、額などのほか数箇所を覆う銀の防具は細く可憐でありつつ、芯の通った彼女をより美しく完成させるように、それでいてしっかりと守ることを出来るようになっている。
自分が知る聖女様その人だと、そう思う。
もっとも、初めて見たのが先日の学校でのスピーチなので、断言は出来ないのだが。
「あ、あの…」
「!!」
喋った!いや当然だけど!頭が真っ白になる!
「そんなにジロジロ見ないで下さい…」
困ったように目を伏せる聖女様。慌てて目をそらせるが…逆に不自然だ。
「え、えぇっと…聖女様?何用で御座いますでしょうか?」
いかん、慌てすぎて自分でも何言ってるかわからん。
しかも、さっき何気に知らなかったとはいえタメ口しちゃったじゃん!あれ、教会の偉い人とか、忠誠心高い英雄が見たら青筋たてて襲ってくるレベルだぞ!
そう思いながら慌てていると、聖女様は「気を楽にして下さい」と言ってくれた。いや、気休めにもならないけどね?
「あなたは…確かナナキの家族、なんですよね?」
「ええ、そうですよ。血のつながりはありませんが」
「それは…当然でしょう」
ん?どういう事だ?
「私が今から話すことは他言無用でお願いします」
「は、はい」
長話になりますがその前に、と前置きをして聖女様が質問を自分にしてきた。
「あなたは一体どこの生まれですか?何故、彼女と出会うことに?」
一番答えに困る質問だな…。
「実は…よくわからないのです。捨て子だったらしくて、それをナナキが拾ってくれたのだとか…しかも赤子で、物心ついた頃には既にあの森に…」
「そうですか…あの森へ自由に出入り出来る人物となると、かなり絞られてきますが…断定も出来ませんし、あなたの容姿に近い方は私も存じ上げないので、なんとも言えませんね」
「しかし、それが何の関係が?」
その言葉で、聖女様が少し困ったような顔をした。
「これから先の話は、あなたが信じたくないであろう事があるかもしれませんが、この話に嘘は一つもありません。その事を留意して聞いてください」
頷くと、聖女様は覚悟を決めて話してくれた。
「結論から言います。彼女…ナナキは、我が国で創り出された戦闘生物、ホムンクルスとでも言うような生き物です」
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