大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

飯と芋

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キッチンからさっきの芋を取ってきて、鍋ごとテーブルに置く。
「なんですの?これ?」
「見りゃわかんだろ。芋だ芋。」
「芋を蒸しただけの簡単な料理だよ。後は塩かけておしまいかな」
ナナキ、ナイス補足。
「これってどこにあったんでしゅ…ですか?」
地味に噛んで、訂正するクアイちゃん。あ、ナタリさんに抱きしめられてる。なんかツボに入ったらしいな。
「家の裏手にあるぞ。スコップと一緒にな。少し掘ればすぐに出てくる」
「その…こんな見た目ですが、お味のほどはいかがですの?」
ふむ…そうだな…。
「想像を絶する味だよ」
ナナキ、改めてナイス。
「裏手ですわね!」
「おーい、芋は残さず食べろよー!」
猛ダッシュで駆けていくアーネ達。後に残ったのは自分とナナキ、あとはグッタリとした先生。
「ナナキ、お前、絶妙な言い方したな」
確かに、あそこまで味がない芋は想像すら出来ないレベルだ。
「嘘は言ってないでしょ?」
そう言って、悪い笑みを浮かべるナナキ。
まぁ、半分も食べないうちに飽きること間違いなし、だ。
「自分達はさっさと終わらせるか」
「だねぇ」
黙々と目の前の塊を腹に詰め込む作業に移る。
……。
不味くもなく、美味くもない、顔を顰めることは無いが、百人が百人、全員微妙な顔をするような、相変わらずの味だ。
食べてる間は、二人とも無言で食べていく。
外からは、謎の騒がしい音が。
アイツら、どんだけ掘ってるんだ…?
食べ終わる頃、みんなが泥だらけになりながら入ってきた。
当然、迎撃する。
「「テメェら!泥を落としてから入れ!」」
芋も一緒にな!
多分、今頃は水を掛け合ってるんだろう…外から嬉しそうな叫び声が聞こえてくる。
魔法って便利だなぁ…羨ましい。
…さて、今のうちに用意しとくか。
そんなにやることもないが。
っと、そこそこ綺麗になったみんなが入ってくる。
まだ少し泥が所々ついているが、このぐらいは大目に見よう。
結構乾いているが、そこも魔法だろうか?便利なもんだ…。
「さぁ!調理してくださいまし!」
「上から目線カマしてるんじゃねぇよ」
お前はお願いする側じゃねぇか。
「まぁ、いいけどさ。かなりの量があるけど、ちゃんと食べきれよ?」
「この芋、一日すると、ダメになっちゃうからさ」
「「「勿論!」」」
ほほぅ?言ったな…?
家にあった一番デカイ鍋を使ったが、それでも足りなかったので、学校から持ってきた鍋も一緒に使う。
結果、みんながものの見事に微妙な顔をした。
食べきるまでこの部屋から出さないからな…?
…みんなで話し合い、気絶している先生の足元に、かなりの量の芋が積まれたことをここに書いておこう。
あと、二つほどグリンドさんの家に放り込んどいたから、ヴォルテールくんも一応腹が膨れたはずだ。
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