大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

パーツと朝

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寝みぃ。
あの後、他の手足を外して、武器の補充やら火薬の詰め替え、あとは関節や接続部分を直してナナキにつけ直した所で、本人は「後は任せたよ…ボク眠いから寝るねぇ…」とか何とか言いながら部屋から出ていきやがった。
ちなみにこの時点で空の色が、暗い青と言うか、黒い青からゆっくりと爽やかな青になりつつあった。
で、右腕の修復なのだが。
野郎、かなり酷使してやがったな?
限界を超えたダメージを受けながら手首飛ばしたり、矢を射出してりゃあ、そうなるかといえばそうなんだが、かなり酷い。
しかも、ナイフ使いのアイツの戦技アーツ、どんな入り方したんだ?肘がメタメタにやられてる上に、人で言うところの神経が肘から肩口あたりまでボロボロにやられてるんだが。
これ、生身だったら肘から下なんてもんじゃない。右腕一本が一生動かなくなる。
クソ、瞼が重いが、まだ終わってねぇんだよな!
最初はチマチマとピンセットとかを使っていたが、しゃらくせェ。髪でやった方が早い!
うおおおおおおおおおお!
……っと。
その神経にあたるパーツを直してみたが幾分足りねぇ?
前に作った時にゃ、えーと、何使ったっけぇ?
あー、ダメだ。眠くって頭働かねぇわ。
机を蹴り、背もたれにグッと力を入れるようにして反り返ると…背もたれが折れた。
あっぶねぇ…。髪で支えなきゃ、後頭部をモロ打って気絶とかっていう笑えない流れが出来てたぞ…。
こんな事してても終わらねぇな。
部屋ん中に山積みされている箱の中をウロウロと探し回るか…。
えーと、こっちは骨で…こっちは皮膚ぅ?で、こっちは筋肉で…こっちは仕込み針か…。
チッ、どんだけ探しても神経のパーツがねぇな。
仕方ねぇから、諦めて寝るか。
「みなさーん!起きてくださーい!起床時間ですよー!」
…外からクードラル先生の声が聞こえた。
おかしいな。ついさっきまで明け方だったのに…?
部屋から出て、外を確認すると、太陽が普通に昇ってやがった。
…今から寝るのは流石に無理か…?
「フギャァァァァァァア!」
「あぁ?」
今の猫みたいな声は…アーネか?
とりあえず自室に向かうと…なんだこりゃ?
ナナキが何で自分の部屋に居んだ?
しかも、なんか寝巻きのアーネに抱きついてやがる。
「あ、貴女!助けてくださいまし!離れないんですのぉぉぉぉ!」
…。
……。
………あぁ、理解したわ。
ナナキ、間違えて自分の部屋に入ったのか。
で、ベッドに入ると、人の感覚。それを自分だと思って、別にイイか、とか思って間違たまま寝た後、アーネが起きて気づいたのか。
「ちょっと!頷いてないで助けてくださいまし!万力みたいに締めてきて、ピクリとも動かないんですのよぉぉぉぉ!」
知るか。
寝られてるだけ有難いと思え!
寝不足で少し…いや、結構不機嫌な自分は、無視して無言で下に降りていった。
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