大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

調べ物と人数確認

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ふーん?なるほど、わからん。
『海魔について調べてたみたいだが…何もわからなかったのか』
あぁ。
学校長があんだけ細かく俺から何かを聞き出そうとしているって事は、何かあったんだろうが…ふーむ、特に引っかかるようなことは無かったが。
図書館に籠ること約一時間半。未だ春休みの真っ只中であるというのに、司書のあの人は普通にいた。また訳の分からない筋トレをしつつ、俺の方を一度チラリと見ると、「何用だ?」と「好きにしろ」の二言だけ発して額から汗を垂らしながら筋トレに戻っていった。
「一応借りてきたけど…んー……」
あんまり期待出来ないな。ちなみに借りてきたのは魔獣の図鑑。特に海の方の魔獣に詳しいものだ。
俺は魔獣に詳しいと言っても、どれも陸の魔獣ばかり。と言うのも、俺の知識は全て紅の森で撃退した魔獣のもの。陸のど真ん中、森に攻め入ってきたものばかりだから、海とか川の魔獣はほとんど知らん。湖とそれに繋がる細い川は一応森にもあったが、そこから攻めてきた魔獣は極々少数だった。
だからこの図鑑で海魔を調べて、おかしな点を探そうと思ったのだが…
そもそも図鑑を選んだのが間違いだったかもなぁ…種類は多いが、細かいことまでは書いてない。
『かと言って、海魔についての論文みたいなものは読む気が起きん、か?』
いや、読んでもいいが、そもそも海魔についての研究そのものがあんまり進んでないっぽいんだよなぁ…なんでも出現個体数そのものが少ないみたいで。
まぁ、見つからなかったのは仕方がない。ひとまず借りた本と自分の荷物を一度部屋に置きに向かう。
「ふぅ」
どさり、と荷物を部屋の隅に置き、テーブルの上に借りた本を置く。アーネの姿がないという事は、既に説明会へ向かったのだろう。時間としてはぼちぼちだな。
『お前はどこに来いって?』
寮の会議室。そこに二つ名持ちで来れる奴らは来てるらしい。
『あぁ、断ることも出来たしな』
その辺はご自由に、だな。多分《犬》は全員来るんじゃねぇかなぁ…逆に《猫》はほとんど来ないとか。
『となると、ユーリアは来ないのかも…あー、でもあいつの性格からしたら来るか?』
来れそうなら来そうだが…それこそ海魔の件の後処理とかもあったしな。ほとんどユーリアに丸投げされてる感が言葉の端々から感じられたし、まだそっちにかかりきりで来れないんじゃないか?
と、二人で誰がいるか予想しながら指定された会議室へ向かう──ってあれ。
「そういや、残った二つ名持ちって何人だっけ」
えーっと、《キャット・シー》は《貴刃》と《剣姫》、《シェパード》は《雷光》と《臨界点》…か?後は卒業したから、二つ名持ちはちょうど五人に戻ったわけか。
……どんな事をするのか聞いていないが、五人程度でどうにか出来るのだろうか。
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