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ドルガン男爵令嬢を連行してきたと報告が入る。ここで陛下たちとお別れかと思っていたが、私たちもいくみたいだ。
謁見の間にドルガン男爵令嬢が拘束されて跪いていた。その顔は老婆のようにしわくちゃになっている。余りの醜さにひっと喉から悲鳴が出た。
「ドルガン男爵令嬢、何をしたか分かってるか?」
「おじさん誰よ! あたしはヒロインよ! ヒロインにこんな事していいと思ってるの?」
ヒロインって……。ここは物語の世界でなくて現実よ。
「何故、シェルラリアを呪った?」
「シェルラリアは悪役令嬢でしょう? 何したっていいじゃない」
完璧に物語の中だと思ってるよ。
「あくやく令嬢とは何だ?」
「そんなことも知らないの? ヒロインのあたしを虐めるのよ。まあシェルラリアは何もしてこなったけどね。だから退場してもらおうと思ってるの」
さっきから不敬だよ。ヒロインさん。ここでバッサリ首を切り落とされても文句言えないからね。
「てかさぁ、あんた2作目の悪役令嬢だよねー?」
ヒロインさんが私を指さしてそう言った。
「なんだっけ? そうそうレティシアだよねー」
元の名前を言い当てられびっくりしてしまう。私も悪役令嬢だったの?
「私はティナと申します」
「へぇー。そっくりなのに、違うの?2作目の悪役令嬢は悲惨な最後だからねー。嫌だよねぇ」
悲惨な最後って何? どんな未来があるの?
「追放されてぇ、オークに侵されてぇ、死ぬ時に暗黒竜と契約するってやつぅ」
オークか。何だ、大丈夫だね。オーク如きに負けることはないわ。でも、あのまま家にいたらそういう未来もあったかも。令嬢が戦うことってしないから、レベルも低いままだっただろしね。
「暗黒竜なんてこの世にはいないが?」
「えー? そうなの? ゲームと違うんだけどぉ」
ここはゲームの世界じゃないからね。違っていて当然よ。
「ゲームと違うからぁ、あたしが2作目のヒロインになってもいいのかなぁ。2作目の方が好きなんだよねぇ」
陛下の前だと言うのに好きなことばっかり話してる。それに私が悪役令嬢としたら物語が始まるのは10年後くらいでしょう? その時のヒロインをするって年齢的にアウトだと思うよ。この世界は結婚するのは早いからね。
「話にならんな。処罰を申し付ける。ドルガン男爵令嬢は身分剥奪のうえ鉱山への強制労働を命じる」
鉱山の強制労働は男でも厳しくて半年もたないと言われている。それが令嬢だった彼女なら死刑より厳しいともとれる。
「えっ? 何で? あたし悪いことした?」
今現時点で不敬罪です。それに王女殿下を呪ったでしょう? 王女殿下のことは悪役令嬢だから何してもいいって思っていそうだけど。
「ところで、何であたしの手、しわくちゃなの?」
今更そこ?手だけじゃなくて顔もだよ。親切な侍女が手鏡をヒロインさんに渡した。
「ぎゃあああー!! 何これ!? あたしの可愛い顔があああ!!」
気がついてなかったのね。呪い返しで見た目が変わったことに。苦しむよりはマシだと思うけどね。
ヒロインさんは騎士に強引に連れていかれた。
「頭のおかしいやつだったな」
「陛下、死刑にしなくてよかったのですか?」
「時には死刑より厳しいこともある」
ヒロインさんにはそうだと思うよ。美貌を失って生きるのだから死ぬより苦痛だと思う。
私たちは陛下にお礼を言われて城を後にした。
謁見の間にドルガン男爵令嬢が拘束されて跪いていた。その顔は老婆のようにしわくちゃになっている。余りの醜さにひっと喉から悲鳴が出た。
「ドルガン男爵令嬢、何をしたか分かってるか?」
「おじさん誰よ! あたしはヒロインよ! ヒロインにこんな事していいと思ってるの?」
ヒロインって……。ここは物語の世界でなくて現実よ。
「何故、シェルラリアを呪った?」
「シェルラリアは悪役令嬢でしょう? 何したっていいじゃない」
完璧に物語の中だと思ってるよ。
「あくやく令嬢とは何だ?」
「そんなことも知らないの? ヒロインのあたしを虐めるのよ。まあシェルラリアは何もしてこなったけどね。だから退場してもらおうと思ってるの」
さっきから不敬だよ。ヒロインさん。ここでバッサリ首を切り落とされても文句言えないからね。
「てかさぁ、あんた2作目の悪役令嬢だよねー?」
ヒロインさんが私を指さしてそう言った。
「なんだっけ? そうそうレティシアだよねー」
元の名前を言い当てられびっくりしてしまう。私も悪役令嬢だったの?
「私はティナと申します」
「へぇー。そっくりなのに、違うの?2作目の悪役令嬢は悲惨な最後だからねー。嫌だよねぇ」
悲惨な最後って何? どんな未来があるの?
「追放されてぇ、オークに侵されてぇ、死ぬ時に暗黒竜と契約するってやつぅ」
オークか。何だ、大丈夫だね。オーク如きに負けることはないわ。でも、あのまま家にいたらそういう未来もあったかも。令嬢が戦うことってしないから、レベルも低いままだっただろしね。
「暗黒竜なんてこの世にはいないが?」
「えー? そうなの? ゲームと違うんだけどぉ」
ここはゲームの世界じゃないからね。違っていて当然よ。
「ゲームと違うからぁ、あたしが2作目のヒロインになってもいいのかなぁ。2作目の方が好きなんだよねぇ」
陛下の前だと言うのに好きなことばっかり話してる。それに私が悪役令嬢としたら物語が始まるのは10年後くらいでしょう? その時のヒロインをするって年齢的にアウトだと思うよ。この世界は結婚するのは早いからね。
「話にならんな。処罰を申し付ける。ドルガン男爵令嬢は身分剥奪のうえ鉱山への強制労働を命じる」
鉱山の強制労働は男でも厳しくて半年もたないと言われている。それが令嬢だった彼女なら死刑より厳しいともとれる。
「えっ? 何で? あたし悪いことした?」
今現時点で不敬罪です。それに王女殿下を呪ったでしょう? 王女殿下のことは悪役令嬢だから何してもいいって思っていそうだけど。
「ところで、何であたしの手、しわくちゃなの?」
今更そこ?手だけじゃなくて顔もだよ。親切な侍女が手鏡をヒロインさんに渡した。
「ぎゃあああー!! 何これ!? あたしの可愛い顔があああ!!」
気がついてなかったのね。呪い返しで見た目が変わったことに。苦しむよりはマシだと思うけどね。
ヒロインさんは騎士に強引に連れていかれた。
「頭のおかしいやつだったな」
「陛下、死刑にしなくてよかったのですか?」
「時には死刑より厳しいこともある」
ヒロインさんにはそうだと思うよ。美貌を失って生きるのだから死ぬより苦痛だと思う。
私たちは陛下にお礼を言われて城を後にした。
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