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定期馬車の護衛のために来たけど、やはり私1人ということで揉めた。……早く大人になりたい。
「嬢ちゃん、手伝うか?」
乗客の1人が声を掛けてきた。もしかしら冒険者なのかな?
「私1人で大丈夫ですので、どうぞゆっくりしててください」
そう言われても納得が出来ないのだろう。渋い顔をしていた。
魔物か盗賊が出れば私の力を示せるが、なかなか出てこない。そのまま野営地点に到着した。
「夜の見張りはどうするんだ?」
視覚化した結界を張る。
「この中に入れば安全です。もし不安ならば外に出て攻撃して強度を確かめてもらっても問題はありませんよ」
男たちが外に出て各々攻撃をするが全て弾いた。
「すげぇな! 嬢ちゃん!」
「全く歯が立たなかったよ」
「これ移動中もすれば問題ないのでは?」
確かにその通りだ。今は完全ソロの護衛だし使っても問題ない。
「でも嬢ちゃんは浮いて移動してるから無理だよな」
魔法の多重展開が出来ることを知らない彼らは納得して野営の準備に取り掛かる。
「シル、移動中も結界を張っていい? 不可視にしておくから」
「ティナの好きなようにしていいよ」
許可は貰えた。これでより安全になる。
夕食はとんこつラーメンにした。すするという文化がないため皆食べるのに苦労してるが美味しそうに食べてる。私はシルがレンゲに器用に1口分を乗せて食べさせてもらった。ラーメンであーんはないと思ってた私が甘かった。レンゲを出したのがいけなかったのかしら?
テントの中でマッタリしてると魔力探知が引っかかり外に出る。ハルトさんたちも出てきた。
「何だ!?これは?」
盗賊かしら? でも、マップは赤くなってない。白い点滅だ。
「どちら様ですか?」
「子供?」
「ばか! エンブレムを見ろ! 虹色の雫だ」
「これは魔法かな?」
可視化してる結界を指される。
「結界魔法を可視化してます」
「……良かったら俺たちも中に入れてもらえないか?」
こんな展開は初めてのためどうしていいか分からない。助けを求める視線を皆に向けた。
「護衛中ですのでお断りします」
私の代わりにハルトさんが答えてくれる。
「自分たちはこの国の騎士で、とある重要人物の護衛をしてまして」
「それならば尚更お断りします。この中には平民ばかりです。知らずに無礼な行いをしてしまうかもしれません。そうなったらお互い困ることになるでしょう」
騎士が守ってるということは王族かそれにあたいする者だ。
「お前ら何してる! さっさと野営の準備をしろ!」
馬車の中から1人の青年が出てきた。
「殿下! まだ中でお待ちください!」
……殿下って呼ばれるってことは王位継承権のある人だ。何故、そのような人がこんなところに?
私は反射神経で淑女の礼をしてしまった。
「ほぉ……、見事なものだ」
目の前に殿下が来たのか立派な靴が見える。可視化してる結界を難なく通り抜けてきた。敵以外は入れるけど、何の魔法か分からないのに抜けてくるなんて度胸あるな。
「顔を上げよ」
ゆっくり顔を上げると金髪金眼の美しい顔が近くにある。
「アルフロンサス国の王族の者か?」
私の色は王女だった祖母の色を引き継いていた。
「祖母が王族の血でしたが、わたくしは生家を追放され平民となりましたので今はただの冒険者です」
「どこの家だ?」
そんな事を聞いて何の得が? だけど答えないという道はない。
「ロレンツィテェ公爵家です」
「言動には問題ない。何故、追放されたのだ?」
「……魔力が0だと勘違いされました」
王族に嘘は不敬とされてしまうため正直に答えた。
「勘違いということは魔力はあるのだな?」
「はい。魔術師、支援魔術師、治癒魔術師として活動してます」
「ロレンツィテェ家の現当主は愚か者なのだな。魔力0など有り得ない勘違いをするなんて他の言葉が見つからないぞ」
何と返していいか分からず苦笑する。
「それでお前らは何してたんだ?」
殿下は騎士たちに話しかけた。
「結界の中に我々もいれてもらえないか交渉をしておりました」
「で?」
「中にいるのは平民のみということで断れていたところです」
殿下は一頻り考えた後、私たちを見る。
「何が起ころうと私が赦す。故に中に入れてもらえないか? また事後依頼としてギルドにも報告する」
既に殿下は中に入ってるよ?
騎士の責任者とハルトさんがやり取りして殿下たちも結界の中で野営することになった。
少し狭くなったので結界を広げる。
殿下は騎士たちが用意した椅子に座り食事をしてる。
「ロレンツィテェ家の者、名乗ることを許そう」
「Cランク冒険者のティナと申します」
「本名は?」
「追放された時に親が付けた名前はステータスから消えました」
貴族は名前が長い、そのため偽名だと思われた。
「親が付けた名前は何だ?」
「レティシアと申します」
「レティシア・ロレンツィテェか」
「追放されましたので、その名前は……」
「ティナ嬢で良いか? 私はスレーナフス国の第1王子のディルヴァルトだ」
まさか王族が名乗るとは思ってなかった。狼狽しながらも体は自然と淑女の礼の姿勢をとる。
「よい、楽にせよ」
「ありがとうございます」
殿下は食事が終わるとテントの中へと入っていった。騎士の人たちは残ってるが私たちもテントへと戻る。
「はぁー。まさか王族と遭遇するとは思ってなかったよ」
緊張したとベッドに横たわる。
「ところで事後依頼って何?」
「事後報告で達成する依頼だ。護衛対象以外を助ける時は必ず事後依頼にすると確定してもらってから助力するんだ」
勝手に助けちゃいけないんだね。
「緊急事態はどうするの? 相手が瀕死な場合とか」
「その場合でも助けがいるかどうかの確認はする。中には助けたのにも関わらず余計なことをしたと逆上する人もいるからな」
「意識がない場合は?」
「最低限の治療して意志を確認だな」
結構世知辛いのね。
「嬢ちゃん、手伝うか?」
乗客の1人が声を掛けてきた。もしかしら冒険者なのかな?
「私1人で大丈夫ですので、どうぞゆっくりしててください」
そう言われても納得が出来ないのだろう。渋い顔をしていた。
魔物か盗賊が出れば私の力を示せるが、なかなか出てこない。そのまま野営地点に到着した。
「夜の見張りはどうするんだ?」
視覚化した結界を張る。
「この中に入れば安全です。もし不安ならば外に出て攻撃して強度を確かめてもらっても問題はありませんよ」
男たちが外に出て各々攻撃をするが全て弾いた。
「すげぇな! 嬢ちゃん!」
「全く歯が立たなかったよ」
「これ移動中もすれば問題ないのでは?」
確かにその通りだ。今は完全ソロの護衛だし使っても問題ない。
「でも嬢ちゃんは浮いて移動してるから無理だよな」
魔法の多重展開が出来ることを知らない彼らは納得して野営の準備に取り掛かる。
「シル、移動中も結界を張っていい? 不可視にしておくから」
「ティナの好きなようにしていいよ」
許可は貰えた。これでより安全になる。
夕食はとんこつラーメンにした。すするという文化がないため皆食べるのに苦労してるが美味しそうに食べてる。私はシルがレンゲに器用に1口分を乗せて食べさせてもらった。ラーメンであーんはないと思ってた私が甘かった。レンゲを出したのがいけなかったのかしら?
テントの中でマッタリしてると魔力探知が引っかかり外に出る。ハルトさんたちも出てきた。
「何だ!?これは?」
盗賊かしら? でも、マップは赤くなってない。白い点滅だ。
「どちら様ですか?」
「子供?」
「ばか! エンブレムを見ろ! 虹色の雫だ」
「これは魔法かな?」
可視化してる結界を指される。
「結界魔法を可視化してます」
「……良かったら俺たちも中に入れてもらえないか?」
こんな展開は初めてのためどうしていいか分からない。助けを求める視線を皆に向けた。
「護衛中ですのでお断りします」
私の代わりにハルトさんが答えてくれる。
「自分たちはこの国の騎士で、とある重要人物の護衛をしてまして」
「それならば尚更お断りします。この中には平民ばかりです。知らずに無礼な行いをしてしまうかもしれません。そうなったらお互い困ることになるでしょう」
騎士が守ってるということは王族かそれにあたいする者だ。
「お前ら何してる! さっさと野営の準備をしろ!」
馬車の中から1人の青年が出てきた。
「殿下! まだ中でお待ちください!」
……殿下って呼ばれるってことは王位継承権のある人だ。何故、そのような人がこんなところに?
私は反射神経で淑女の礼をしてしまった。
「ほぉ……、見事なものだ」
目の前に殿下が来たのか立派な靴が見える。可視化してる結界を難なく通り抜けてきた。敵以外は入れるけど、何の魔法か分からないのに抜けてくるなんて度胸あるな。
「顔を上げよ」
ゆっくり顔を上げると金髪金眼の美しい顔が近くにある。
「アルフロンサス国の王族の者か?」
私の色は王女だった祖母の色を引き継いていた。
「祖母が王族の血でしたが、わたくしは生家を追放され平民となりましたので今はただの冒険者です」
「どこの家だ?」
そんな事を聞いて何の得が? だけど答えないという道はない。
「ロレンツィテェ公爵家です」
「言動には問題ない。何故、追放されたのだ?」
「……魔力が0だと勘違いされました」
王族に嘘は不敬とされてしまうため正直に答えた。
「勘違いということは魔力はあるのだな?」
「はい。魔術師、支援魔術師、治癒魔術師として活動してます」
「ロレンツィテェ家の現当主は愚か者なのだな。魔力0など有り得ない勘違いをするなんて他の言葉が見つからないぞ」
何と返していいか分からず苦笑する。
「それでお前らは何してたんだ?」
殿下は騎士たちに話しかけた。
「結界の中に我々もいれてもらえないか交渉をしておりました」
「で?」
「中にいるのは平民のみということで断れていたところです」
殿下は一頻り考えた後、私たちを見る。
「何が起ころうと私が赦す。故に中に入れてもらえないか? また事後依頼としてギルドにも報告する」
既に殿下は中に入ってるよ?
騎士の責任者とハルトさんがやり取りして殿下たちも結界の中で野営することになった。
少し狭くなったので結界を広げる。
殿下は騎士たちが用意した椅子に座り食事をしてる。
「ロレンツィテェ家の者、名乗ることを許そう」
「Cランク冒険者のティナと申します」
「本名は?」
「追放された時に親が付けた名前はステータスから消えました」
貴族は名前が長い、そのため偽名だと思われた。
「親が付けた名前は何だ?」
「レティシアと申します」
「レティシア・ロレンツィテェか」
「追放されましたので、その名前は……」
「ティナ嬢で良いか? 私はスレーナフス国の第1王子のディルヴァルトだ」
まさか王族が名乗るとは思ってなかった。狼狽しながらも体は自然と淑女の礼の姿勢をとる。
「よい、楽にせよ」
「ありがとうございます」
殿下は食事が終わるとテントの中へと入っていった。騎士の人たちは残ってるが私たちもテントへと戻る。
「はぁー。まさか王族と遭遇するとは思ってなかったよ」
緊張したとベッドに横たわる。
「ところで事後依頼って何?」
「事後報告で達成する依頼だ。護衛対象以外を助ける時は必ず事後依頼にすると確定してもらってから助力するんだ」
勝手に助けちゃいけないんだね。
「緊急事態はどうするの? 相手が瀕死な場合とか」
「その場合でも助けがいるかどうかの確認はする。中には助けたのにも関わらず余計なことをしたと逆上する人もいるからな」
「意識がない場合は?」
「最低限の治療して意志を確認だな」
結構世知辛いのね。
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