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5日間の休みをとってもう1つの中級ダンジョンに挑戦する。今度はどんなダンジョンなのだろうか。

マップに出てくる赤い点滅が凄い速さで動いてる。目で追うのも大変だ。

1体がこちらに向かってくる。見えた何かは灰色の物体だった。それをジョンさんが素手で捕まえる。

「ティナちゃん今だ!」
「はい!」

すぐさま魔法を放ち倒した。倒したのはねずみの魔物がだった。

「凄く速いですね」
「ここは敏捷の高い魔物が出るダンジョンだ」

全部の魔物がすばしっこいのか。

「中級だから敏捷だけで攻撃や防御はそれほど高くない」
「盾職がいないと後衛陣には嫌われてるダンジョンね」

命中率が下がりそうだもんね。その前に攻撃発動までの時間が掛かるのか。

「大変そうなダンジョンですね」
「中級のここでは集団で襲ってくることはないからジョンが全て捕まえてくれるわよ」

あの速さの魔物を捕まえられるってことはジョンさんの敏捷もそれなりにあるってことだね。

「ティナ、デバフは駄目だからな? ジョンの仕事がなくなる」

ジョンさんの役割を奪う気はないから使わないよ。

それからもジョンさんが捕まえて私が倒すという工程で進んで行った。罠はミーアさんが解いてくれる。

ダンジョンボスは足の速い牛の魔物でビックリした。

牛なのにすばしっこくてジョンさんも捕まえるのには苦労してた。バターと魔石がドロップする。

「バターだ!」
「ハズレドロップだね」
「ミーアさん、何を言ってるのですか?当たりですよ」

バターがあれば料理の幅も広がる。私は出来ないからザンド商会にレシピを売るだけになるけどね。

「え? それ、美味しくないわよ?」

そのまま食べたら美味しくないね。

「これで料理をするのです」

代表的なだとじゃがバターとかバターライスとかコーンバターあたりかな。

「使い道があるのね」
「はい! ダンジョンは神々の贈り物とされてるんですから使えないものはないですよ」

バターとか作らなくてもドロップするんだもの。とても優しい世界だと思うよ。

【名前】ティナ
【年齢】5歳
【レベル】505 
【体力】515
【魔力】∞
【物理攻撃】1
【物理防御】1
【魔法攻撃】50,500,000
【魔法防御】50,500,000
【属性】全属性
【スキル】全属性魔法Lv7、鑑定Lv5、無限収納、マップ、テイムLv1
【ユニークスキル】神通販、経験値10,000倍、必要経験値1/100

宿に戻ってきてステータスを確認したらおかしな事になっていた。

「シル! ステータスがおかしいの! 見て!」

ステータスオープンしてシルにも見せる。

「何もおかしいところはないぞ」
「何言ってるの? 物理が1になってるよ!」

本来であれば100になるはずなのに!

「ティナに物理は必要ないからな」

シルの願望を聞いてるんじゃない。どう考えても減るのはおかしいよ。

「神殿に行こう?」

リュヌ様ならば原因を分かってるはずだ。

シルを促して神殿に行く。沢山のお金を払い個室の祈りの間を使わせてもらった。

リュヌ様、聞こえますか?

『ティナ、面白いことになってるね』

何も面白くないよ? 私は必死だからね!

何故、このようなステータスになったのでしょうか?

『簡潔に言うとティナのせいだな』

え? 私?

私が何かしてしまったのでしょうか?

『シルヴェストルに願いの叶う腕輪を作ったであろう。その結果だ。』

ミサンガ的な感じであげたけど、本当に叶っちゃうものだったの? それもステータスを下げるなんて無茶な願いでも。

『ティナは錬金術神になる素質があるんだぞ? ただの飾りなわけなはずがないだろう』

世界の破滅を願えばその通りになってしまうってこと?

恐ろしいものを作ってしまったと肝が冷える。

シルが願ったのが私の物理がいらないってことに感謝するべきなのか……。

……リュヌ様、なぜ止めて下さらなかったのですか?

オススメになかったら買わなかったのに。思わずリュヌ様を責めてしまう。

『我は常にティナを見てるわけではないぞ? 我も忙しいからな』

リアルタイムでオススメが更新されるのはどうしてなのですか?

『ティナの考えたことに連動するようにしてるからだ』

今まで普及させていいのかと思いレシピを買ったりしたのですがマズかったですか?

『問題ないぞ。大量殺人兵器などは買えないようにしてある。それにあの腕輪も人の人生をくるわせるような願いは叶わないようになってる』

買えるものは問題ないものばっかりになってるのか。それならば安心だ。

確かに魔術師の私が物理攻撃なくても問題ないかもしれない?

でも! 物理防御はないと欲しいよ!

……今回のシルの願いで叶ったのは物理だけですか?

『隠れたステータスはまだ見えないんだったな。腕力と敏捷が最低値になってるな』

最低値……、つまりは0ですか?

『1だ。生活する上で必要な最低限だな』

それはレベルが上がると上がりますか?

『無理だろうな。上がったとしてもシルヴェストルが願い続ける限り下がるであろうな』

何という腕輪を作ってしまったんだろうか……。今更、取り上げるなんてことは出来ないよね。

リュヌ様との会話を切り上げる。宿に戻ってからシルに説明した。

「可愛いな」

何が可愛いの? 話聞いてた? 

「シル、もう願わないよね?」
「ティナには物理は必要ないよ」

ダメだ……。私が諦めた方が早いのかもしれない。
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