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今日はシルと神殿に来た。祈りの間に入るのに最低50ギルかかる。倍の100ギルドカードで支払いを済ませ中に入った。多く払ったため個室の祈りの間を利用させてくれる。

祭壇の前に行き、跪き手を組む。

リュヌ様、聞こえますか?

心の中でリュヌ様に話しかけた。

『ティナ、いらっしゃい。色々と大変だったね』

いいえ。リュヌ様のおかげで苦労することなく生活出来てます。

『ティナの聞きたいことは錬金術に関してかな?』

はい。スキルに錬金術がないと使えないとシルに聞きまして。

『ティナは錬金術のスキルを持ってるよ』

え? ステータスには表示されてませんよ。

『それは鑑定のレベルが低くて表示されてないだけだ』

シルの鑑定Lv10でも表示されてないのですが。

『スキルの最高レベルは10ではない。11以上は人の域を超えるが存在してる』

まさかの事実に言葉を失う。

『ティナの錬金術はLv100のMAXだ。鑑定Lv10を超えないと表示されないであろう』

100? え? どういうことですか?

『我もティナを転生させるまで気がつかなかった。ティナの錬金術は我の加護ではない』

今までリュヌ様の加護かと思ってました。オススメに錬金術辞典があったし。

『我が示さなければ錬金術をしないと思ってな』

確かになければしてなかったかも。だって使えるって知らないからね。

私は元々、錬金術の素質があったということですか?

『そうだ。神界にいる時は普通の魂では長時間いることが出来ないから我も深くティナを見なかった。だから最低限で送り出したのだが、ティナは神になる核を持っている』

えーと……、どういうことでしょうか?

『つまり、ティナは錬金術神になれるということだ』

神様!? 嘘でしょう?

『因みに魔術神の素質もあった。錬金術神も魔術神も空席のため兼任してもらうことになるな』

私なんかが神なんて無理です!

『今すぐ神になるわけではない。長い時間を掛けて核を育てて、それからになる』

そのために魔力無限にしたのですか?

『それは関係ない。本当に神界にいた時は気がつかなかったのだ』

では、なぜ魔力無限にしたのですか?

『人は不老不死を望むであろうからだ』

全員が全員でないよ。シルがいなかったら絶望してたよ。

シルは? 私が神になるとしたらシルと一緒にいられなくなりますか?

『シルヴェストルは竜神の素質を持ってるから案ずるな』

シルも神になれるんだ。

それならば離れることはありませんか?

『ない。そなたたちは夫婦神となるであろう』

夫婦神。思わず顔を赤らめてしまう。

『他に聞きたいことはあるか?』

シルのスマホに神通販が追加されたのはリュヌ様のお力ですか?

『我とティナの力だな。ティナは自分で思ってるよりシルヴェストルのことを深く思っている。それが現兆したに過ぎぬ』

私より必要魔力が少ないのは……。

『それは我の慈悲だ。シルヴェストルがティナと同じ量の魔力を支払うことが出来ることはないからな』

世界樹シリーズは高いからね。

シルの買う服は恥ずかしいけど、シルが満足してるならばそれでいいかな。私が前世のような平凡顔であれば嫌だったけど今世は美幼女なのだ。似合わないことは無い。

それに前世から可愛い服には憧れてた。だから慣れれば楽しくなるかもしれない。

リュヌ様、最後に1ついいですか?

『何でも聞くが良い』

私は神様の1柱に殺されたから、この世界に来たのですが。もしそれがなかったならばシルとは会えなかったのですか?

『ふむ。ティナはどうやら我の世界と繋がりが強い。あちらで生涯を全うしても、いずれは我の世界に来ていたであろうな』

どうあってもこの世界に来てシルに会って神様になると。

『そうだ。早いか遅いかの違いだな』

それならば、ありがとうございます。と私を殺した神様にお伝えください。

『突然、何だ?』

寿命を全うしてたら、その分シルを待たせてしまっていたので。

『ティナは恨んでないのだな? 寿命を全うしてからならば今の親より良いところに生まれたかもしれないのに』

シルに会えた今では捨てられたことに胸をなで下ろしてます。古代竜の番ということで、その利益を考える親がいなくて助かってます。

『確かに古代竜を怒らせれば、その国は滅びるであろう。その威を借りる者もいるか……。人とは欲深き生き物だ』

今より良い人生をと思ってしまうのが人だ。それは仕方ないことだし、それがあるからこそ発展もする。

『また何かあれば神殿に来ると良い』

目を開けてシルを見ると心配した顔があった。

「長かったが大丈夫だったか?」
「うん。問題ないよ」

リュヌ様と話したことをここで伝えるのは長いため拠点に戻ってからにする。私の体力を心配したシルは寄り道することなく拠点へと戻った。

「それで、どんな事を話したんだ?」
「錬金術スキルは持ってるみたい」

リュヌ様と話した内容を伝える。

「スキルレベルが10以上あるのではないかと言うことは古代竜の中では伝えられてきたから、それほど驚かないが神か……」

シルは悩み始めた。

「シルは神様になるのは嫌?」
「ティナと一緒ならば問題ないよ」

そう言ってくれて嬉しくなる。1人だったら嫌だけどシルと一緒にいられるならいい。一緒にいられるならば人であろうと神であろうと変わらない。

それにしても寒い。何かないだろうか。

神通販を見るとオススメにある素材を買う。魔力を込めて出来上がったのは30センチ四方の箱。魔石に魔力を流すと部屋の温度が最適になった。魔道具を鑑定してみると暖期でも寒期でも最適な温度を保つとある。

「また新しい魔道具を作ったのか?」
「ないの?」
「ないな」

ありそうなものにないのか。もう1つ作ってシルに渡す。

「ティナ、もっと作れるか?」
「いくつくらい?」
「とりあえず20個あればいいかな」

ちゃちゃっと言われた数を作る。

「ハルトのところに行くぞ」
「売るの?」
「売る。その前にうちの拠点にも欲しい」

ハルトさんは共同スペースで本を読んでいた。

「ハルト、この魔道具だけどいくらだ?」

ハルトさんは鑑定の魔道具を出して調べる。

「ティナちゃんが作ったの?」
「寒いのが嫌でしたので」

何も考えず私欲のため作った。

提示された金額は莫大で慌てる。

「こ、こんなにするのですか?」
「最低でこれくらいだね」

スマホよりは安いがそれでも大金だ。

「これをクランにとりあえず10個は欲しい」

シルに10個渡してお金をギルドカードにいれてもらう。

「僕個人でも1個欲しいんだけどある?」
「あります」

ハルトさんにも1個売った。

「俺も持ち家にいくつか欲しいんだけど、いくついるかな?」
「シルのお家にはあげる。私も将来そこで住むんでしょう?」

シルの家がどれくらいの大きさか分からないけど、部屋の数分だけ設置する予定だ。

売った魔道具を1個は食堂に1個は共同スペースに設置してた。残りは中央の拠点と他の大きい拠点を優先的につけるそうだ。

神通販でレシピを買ってシルに渡す。

「これならばSランク以上の錬金術師ならば作れるだろう」

早速、売りに行こうとギルドに向かった。

「魔道具のレシピを売りたいのだが、中央に行きたい」

ハルトさんが受付けの人に告げる。

「ここじゃ駄目なの?」
「SSSランクになったならば大きな取引は中央ですることになる」

どうやら税金を何処に収めるかが問題になるらしい。中央で取引すれば中央の税金が増える。ここで売ってしまえばランロワの税金になってしまうとのことだ。

錬金術ギルドカードを出してランクを示す。

「貴方たち2人は?」
「僕たちはSSSランク冒険者です」

そう言ってハルトさんとシルは冒険者カードを出した。

「ご存知だとは思いますが他のギルドの転移魔法陣を使用する場合、使用料が1.5倍になりますがよろしいでしょうか?」
「問題ありません」

そんな規約もあるんだね。

お金をそれぞれギルドカードから支払い、3階の部屋に行く。そこには大きな魔法陣が敷かれていた。

「今回は僕が魔力を流すね」

作動させるのには魔力が必要なんだね。魔法陣の中央に3人で立つ。まぁ私はシルに抱っこされたままだけど。

ハルトさんが魔力を流すと魔法陣が光り前が見えなくなる。光が収まると部屋が変わっていた。さっきより広い部屋にいる。

「転移完了?」
「転移酔いしてないか?」
「大丈夫だよ」

転移酔いなんてもあるんだね。馬車にも酔ったことのない私は転移も平気だった。

階段を降りて受付けに行く。階段も受付けもランロワの3倍は広かった。

「魔道具のレシピを売りに来ましたがマスターはいますか?」

私はハルトさんに促されて錬金術ギルドカードを見せる。受付けの人は確認しに奥に行った。

「こちらへどうぞ」

暫く待ってるとフェルディナンドさんが入ってくる。

「また何か凄いものでも作ったのか?」
「今回はそれほどではありませんよ」

そう言って魔道具を机に置いた。フェルディナンドさんは魔道具を鑑定したあと溜め息をつく。

「どこがそれほどじゃないのだ? 君の価値観はどうなってる?」

Sランク以上で作れるなら大したことないと思う。

「これには名前がないのか?」
「ないので自由に付けてください」

エアコンとは違うしね。

ネーミングセンスのない私は丸投げした。

「ティナシリーズの冷暖魔道具にしよう」
「ティナシリーズ!?」

シリーズってスマホとこれしか作ってないよ?

「これからも色々と作ってきそうだし先にシリーズにしておいた方がいい。そうした方がポーションも良く売れるぞ?」

私が作ったポーションにも名前が入るの?それはちょっと恥ずかしいかも。

「ポーションにも入れるのですか?」
「有名な錬金術師のポーションは高い値で売れるからな。これからはポーションの買取も高くなるだろう」

買取の値段まで変わってくるのか。これまで以上に気合い入れて作らないとね!

金額の交渉は全てハルトさんにお任せした。その代わりに唐辛子フレークをプレゼントする。

シリーズ作成の書類や冷暖魔道具の売買の書類にサインしていく。

「このラベルのマークはどうしたらいいですか?」
「金の雫を描けばいい」
「何で雫?」

雫はシルの小さなあの鱗の形だよね?

「古代竜の執着だよ」

ハルトさんに言われるがよく分からない。

「伴侶になれば同じ形のピアスを着けるでしょう?」

婚約では腕輪だが結婚するとピアスを更に着ける。

「そうですね」
「ティナちゃんが着けるのはマスターの虹色の雫の鱗になるの。だからティナちゃんがマスターに送るのは金の雫の形したピアスになるんだよ」

あの鱗がピアスになるの?

「シルは痛くないの?」
「少しピリッとするぐらいだ」

全く痛みは感じないわけではないのか。そこまでしてもらうピアスなんてこの世に2つとないものだ。貰ったら一生外さない。

「だから金の雫がティナちゃんのマークとして使えるということだよ」

ハルトさんに説明してもらって漸く理解する。

5歳児では絵も上手く描けないのでシルに任せた。シルに描いてもらった絵をラベルのマークとして登録する。これから私が売ったものには全てにこのマークが記されることになった。

用事を終えてランロワに戻る。中央のシルの家を見ていくか聞かれたが、それは一緒に住む時の楽しみにとっておいた。

拠点に戻ると困り顔をしたガルクさんが出迎えた。

「わりぃ。受け取っちまった」

そう言って手紙を手渡される。私宛の手紙で差出人はシャルロッテ・ロレンツィテェとあった。

「お祖母様!?」

お祖母様は私のことを可愛がってくれた人と記憶があるし、優しかったことを覚えてる。手紙をくれるなんて私を捜してくれてたことだよね? 嬉しくて手紙を抱き締めた。

「悪いことしちまったわけじゃねぇのか?」
「はい。ガルクさん、ありがとうございます」

ハルトさんにも交渉に付き合ってもらった礼を述べて部屋に戻る。早速、中を開けて読み始めた。

「シル、お祖母様が私に会いたいって! いい?」
「ティナが会いたいなら構わないよ」

許可を貰ったので返事を直ぐに書く。面倒な季語も挨拶文もこの時は面倒などとは思わずスラスラと書けた。封をして封蝋する時に手が止まる。前まではレティシア・ロレンツィテェの封蝋を使ってたが今は使えない。

「シル、あのマークで封蝋を作ってもいい?」
「構わないよ」

神通販で素材を買い錬金した。出来上がったのはシルが描いた絵と遜色ないものだった。それで封蝋して出来上がったものをシルに渡して出してもらう。



今日はザンド商会にやってきた。前触れを出したのでスムーズに部屋に案内される。

「ティナ様ようこそいらっしゃいました」

席を促され座った。

「最近は寒さが厳しくなっておられますが体調の方がいかがでしょうか?」
「お陰様で何事もなく生活しております」

前置きはこれくらいにして商談に入る。

「今回、お持ちしたのはこちらになります」

パスタ各種、ケーキ各種、チョコレートを出した。

「これは形が違いますがカカオの実ではありませんか?」
「騙されたと思って食べてみてください」

ザンドさんは口にチョコレートを入れると目を瞠った。

「何と!? 甘いですぞ!」
「ええ。これは色々と応用の利く食材なのです」
「これは売れます」

私もそう思う。次々と大金が入ってきた。

「ティナ様から教わった揚げるという手法を他の野菜にもしてみたところ相性が良く美味しいものが沢山出来ました」

野菜とか衣を付けてあげるのも美味しいよね。大阪に行った時、串カツ屋さんで沢山の揚げた野菜があった。野菜だけではなくアイスの串カツもあったのにはビックリしたけどね。

それに教えたものが更に発展するのはいいことだ。そのうちこの世界ならではの料理も出来そうだ。

ザンド商会を出て歩いてると声を掛けられた。

「おい! 無視するな!」

きっと私に声を掛けてないはず。そう思うが彼らは私たちの前に立ち憚った。

「何で無視するんだよ!」
「お前たちはティナに話しかけられないはずだぞ」

話しかけてきたのは決闘したパーティ優雅な獅子だ。

「そんなのはどうでもいいだろ!?」

よくないよ。それを許したら決闘した意味もなくなってしまう。

「今からでも遅くない! そんな餓鬼より俺らをクランにいれくれよ?」

どれだけ虹色の雫に入りたいの?

「お前たちなど必要ない」
「何でだよ!? お前たちのせいで俺らはどこのクランにも入れないでいるんだよ! 責任を取れ!」

何を言ってるの?入れないのは貴方たちの実力が足りないからではないの?

「俺はどこのクランにも圧力をかけてない。入れないのはお前らのせいだ」
「違う! 決闘で負けたからだ!」

決闘を仕掛けてきたのはそちらだし、それで入れなくなっても自業自得だ。

「まぁあの決闘でお前たちの実力と性根が露見したんだ。他のクランが入れないのは当然だな」

そうだね。問題を持ってきそうな人たちは煙たがられるね。

「だから! 責任取って虹色の雫に入れろ!」
「必要ないと何度言えば分かる? その耳は飾りか?」

しまいにはシルが威圧を少し出し、それによって動けなくなった彼らを置いて立ち去った。



ポーションを作ってるとハルトさんが部屋にやってきた。

「錬金術ギルドからティナちゃんに手紙が来てるよ」

受け取って中を確認する。

「依頼したいことがあるそうです」
「受けるかどうかは別として聞きに行くか」

シルとハルトさんと3人で錬金術ギルドに行く。受付けで手紙を渡した。

「ティナ様にして頂きたい依頼は万能薬ポーションの制作です。素材はこちらで用意しますのでお願いできないでしょうか?期限は1ヵ月で報酬は1,000,000,000ギルになります。失敗時は2,000,000,000ギルの違約金が発生します」

万能薬は作ったことあるし在庫が無限収納にもある。

「別に構いませんが」
「本当ですか? 助かります」

そう言って出された素材に顔を顰めた。

「これでは最高ランクの品質は作れませんよ」
「現在、これが用意出来る精一杯なのです」

最高ランク品質以外を納めるのは私のプライドが許さない。

「既に最高ランク品質の万能薬ポーションがあるのですが、そちらを買い取って頂くのは不可能なのでしょうか?」
「所持していらっしゃるのですか?」

私は無限収納の中から万能薬ポーションを取り出しカウンターに置いた。受付けの人はそれを鑑定の魔道具にあてる。

「確かに最高ランク品質でした。確認をしてまいりますので少しお待ちください」

かなりの時間を待たされてから受付けの人が戻ってきた。

「大変お待たせしました。こちらの品質で問題ありませんでした。報酬が5,000,000,000ギルとなりますがよろしいでしょうか?」

5倍の値段になった。たけどそれが適正かは分からなくてシルを見上げる。シルが頷くのでそれで売った。

「ありがとうございます。とても助かりました」

誰が使うかは分からないが万能薬ポーションが必要だということは解毒薬ポーションが効かない毒にでも掛かった人でもいるのだろう。

「それにしても凄い金額になったね」
「SSSランクに依頼ということだけで通常より高くなるからな」

ランクによって変わるんだね。



残りの休みの日は部屋の中でマッタリ過ごしていた。外に出ても寒いから引き篭っていた。中央に行ってたメンバーが帰ってくる。

「ティナちゃん、ただいまー」
「ミーアさん、ジョンさん、ユーグさんおかえりなさい」

ミーアさんはシルに箱を渡した。

「マスターに届いていたわよ」
「ああ。ありがとう」

ダンジョンは明後日からとなり部屋に戻る。部屋に入るとシルは箱を開けた。そして中に入ってるものを私の腕にはめる。それは私の腕の太さに縮みピッタリくっついた。

「婚約の腕輪だ。状態異常無効の効果がある」

虹色のした腕輪に頬が緩む。

私もあげないとね。神通販で素材を買って作った。出来上がったのをシルの腕にはめる。

「シルの願いが叶う腕輪だよ」

金の腕輪にシルが蕩けた表情になった。

「ありがとう。嬉しいよ。俺の番」

甘い声で囁かれ赤くなる。

「す、好きだよ」

自分の気持ちをストレートに口にしたことはなく照れてしまう。

「俺も愛してるよ」

シルは愛の言葉をスムーズに表現した。年の差かどうしても私の方が翻弄されてしまう。これ以上の羞恥には耐えきれずベッドに突っ伏した。

夕食を食べに食堂に行くと、ミーアさんとユーグさんが駆け寄ってくる。

「ティナちゃん! 冷暖魔道具を売って!」

2人とも手には既にギルドカードを取り出していた。まだ在庫はあるしなくなってもすぐに作れるので売る。

「ありがとう! これで過ごしやすくなるわ」

喜んでもらえて何よりだ。

夜ご飯を出そうとしたら止められた。

「今日はドラゴンのお肉よ!ティナちゃん好きでしょう?」

ドラゴンの肉!あれは美味しかった。また食べられるのか。

「今回はホワイトドラゴンよ」

見た目はレッドドラゴンと変わらない。シルを促し1口食べさせてもらう。あっという間に溶けてなくなった。レッドドラゴンに比べて少しあっさりしてる。

「ドラゴンのお肉って何種類ぐらいあるのですか?」
「沢山あるわよ。中央の神級ダンジョンでドラゴンしか出ないところがあるから、そこに行けば沢山手に入るわよ」

ドラゴンダンジョン! 是非とも行ってみたい。そのためにはSランクにしないとね。



今日は新たな中級ダンジョンに来た。中に入るとすぐに水溜まりがある。

「ティナちゃん、いいわね」
「皆さんも浮きますか?」
「そうすると連携のお勉強が出来ないから我慢するわ」

水深はだんだん深くなりミーアさんの胸辺りにまでなった。ここは水ダンジョンのようだ。

魔物の反応があり見てみると魚だった。ドロップに切り身が出る。鑑定すると生食可になってた。

お刺身が食べれる!

この世界の魚のお刺身は食べたことがないので楽しみだ。

「ティナちゃん、機嫌がいいわね」
「はい! 早く刺身が食べたいです」
「刺身?」
「これを生で食べるのです」

何故か皆がドン引きする。

「焼かないのか?」
「ジョンさん、生食可ってなってたので生でいけますよ」

それでも皆は信じられないような目をしてた。

お昼にセーフティーゾーンでドロップした魚を出す。セーフティーゾーンは小島になっていた。魔法で捌き、それぞれに渡した。

「お好みでこちらをお使いください。辛くて付けすぎると鼻がツーンってしますのでお気をつけください」

わさびを神通販で購入して出す。更にお箸も用意した。

「この木の棒は何だ?」
「ユーグさん、それはこうやって持ちます」

5歳児の手では上手く持てないが見本をみせた。皆、最初はぎごちなかったが直ぐに慣れてた。シルだけは最初から使いこなし私の口の中に刺身を入れてくれる。

「美味しい!」

生臭くもないし食べやすい。日本の刺身より美味しいかもしれない。

ハルトさんはわさびをタップリ付けてたが鼻にこないのか平然としてる。ジョンさんは涙目になってた。

午後からもダンジョン攻略する。水ダンジョンの罠は時折、水深が深くなることだけだった。浮いてる私には問題のない罠だ。

40層までは魚だけの代わり映えのしないダンジョンで面白みがなかった。だけど41層に入って魔物を見た瞬間に私のテンションは上がる。

「蟹だ!蟹!」
「もしかしてアレも食べるの?」
「ハルトさん、蟹はすごーく美味しいですよ!」

蟹エリアで3泊して沢山の蟹をゲットした。蟹鍋にしたら皆、無言で食べていた。刺身もいいし焼きガニもいいよね。

50層の蟹ボスは更に美味しくてビックリした。何度も湧くのを待った。

「このダンジョンはまた来たいですね」
「海ダンジョンは普通は嫌がるわよ」

水ダンジョンじゃなくて海ダンジョンなのね。確かに他パーティとは会わなかった。こんなにいいダンジョンなのにもったいない。

「動きにくいし魔法も限られたものしか放てないからな。ドロップも魚はすぐに腐ってしまうし魔石しか売れないのが普通だからな」

私は浮いて移動出来るから動きも制限されないし、魔法も闇魔法を使えば問題なかった。魚も無限収納の中に沢山いれてある。

「でも、美味しかったでしょう?」
「そうだな。今までは焼いて食べる方法しかなかったから新鮮だった」

鑑定すれば生で食べられるのは出てくるのにどうしてチャレンジしなかったんだろうか。

【名前】ティナ
【年齢】5歳
【レベル】481
【体力】491
【魔力】∞
【物理攻撃】96
【物理防御】96
【魔法攻撃】48,100,000
【魔法防御】48,100,000
【属性】全属性
【スキル】全属性魔法Lv6、鑑定Lv5、無限収納、マップ
【ユニークスキル】神通販、経験値10,000倍、必要経験値1/100

残り75,967ポイントになった。

拠点に戻るとお祖母様から手紙が来ていて近くにいると書かれていた。早速、会う手配をする。



「お祖母様!」
「まぁ! レティシア! 元気そうでなによりだわ」

拠点にお祖母様を招いた。ソファーに座ってもらいお茶とクッキーをお出しする。

「お祖母様、遠いところからわざわざありがとうございます」
「孫に会うのですもの。少しも遠くなかったわ」

お祖母様は嬉しそうに微笑みお茶を口にする。

「こちらのクッキーも召し上がってください」
「まぁ!まぁ!」

お祖母様はクッキーに夢中になった。

「これはランロワの商品なのかしら?」
「私の神の御加護です」
「レティシアは神の加護も頂いてるのね」

錬金術で作ったマジックバッグ(時間停止付)をお祖母様に渡す。

「これは?」
「マジックバッグで中に入れたものの時間が停止します」
「まぁ! 国宝級ではないの!」
「中に沢山のデザートとお肌に良い美容液と髪の手入れのためのものをいっぱい入れてあります」

美容液と洗い流さないトリートメントも錬金して作った。お祖母様にはいつまでも若くいて欲しい。他にも各種ポーションを入れてある。お祖母様の残りの人生を使っても到底使い切れないほどに詰めた。

「こんなに貰っていいのかしら?」
「お祖母様には美しく健康でいて頂きたいので問題ありませんわ」

お祖母様はお礼を言った後に真面目な顔になった。

「レティシア、ごめんなさいね。わたくしがジオライトの教育を間違ってしまったせいで貴女を……」

ジオライトとは父の名前だ。

「いいえ。お祖母様のせいではありませんわ。お父様は大人です。それにどう教育しようが本人の資質が変わることはないと思ってます」
「暫くみない間に大人になったのね」

前世を思い出したぶん考え方が変わったのかもしれない。前のレティシアだったらどうだろうか。記憶にあるレティシアは随分と大人しい性格をしてる。

「ところで、そちらの男性を紹介してくださる?」

私を抱っこしてるシルを指される。

「お祖母様、こちらは番のシルヴェストルさんです」
「そう。古代竜だと聞いたのですが本当ですか?」

事前に調べてきてるのね。多分そうとは思ったけどね。

「間違いありません」
「それならば仕方ありませんわね。古代竜ならば守ってくださるでしょう。本当はわたくしが育てたかったのですよ」

噂だけを信じずにこうやって確認しに来てくれたお祖母様の優しさが感じられた。

「シルヴェストル様、レティシアのことをどうかよろしくお願いします」

お祖母様は深々とシルに頭を下げる。

「頼まれなくてもティナのことは守り育てていく」
「既にお嫁に出してしまったようで寂しいわ」
「お祖母様、機会があったらまたお会いしましょう」
「そうね。近くに来たら必ず連絡するのですよ?」

あの国には父がいるためあまり行きたくないが、それでも寄ることがあったら連絡しよう。お祖母様と魔法手紙を交換した。これでいつでも連絡が出来る。
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