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結婚式の準備

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3学年のSクラスは今までと違いやる事が殆どない。将来の準備のためにある。だから、わたくしも婚姻式の準備をする。わたくしとフォルトゥナート様はわたくしが学園を卒業して1ヶ月後に式を挙げる予定ですの。

式場は王都の神殿で既に予約済み。

今日は式場で着るドレスを作るために王宮御用達の針子を呼びましたわ。

この世界は白でなくてお相手の色のドレスを身に纏うのが通例。相手の色に既に染まってますという意味がある。だから、わたくしは水色で金の刺繍がはいったドレスになるわ。フォルトゥナート様は薄紫色で白金色のさし色がある正装になるの。

「お嬢様、もっとレースをお使いになさいますか?」
「そうね。華やかにしてちょうだい」

一生の思い出に残るドレスにするわ。

「刺繍に併せてこちらの魔石も入れて」

水色の小さな魔石をいくつも出す。小さいが全てが神話級の魔石だ。

「とても綺麗な魔石ですね。これならもっと華やかになります」
「ドレスの素材は魔物の糸でお願いね」

魔物の糸は透明感があり肌触りも良い。取れる量が少ないこともありとても高価なものになる。

式のドレスの他にも、その後に開かれるパーティのドレスも作らないとならない。こちらのドレスは色の指定はない。

「パーティのドレスは薄紫色でお願いね。魔石はこちらを使って」

次期公爵だということもあり自分の瞳の色にした。魔石も紫系の色よ。

ドレスに魔石を付ける人はいないから絶対に目立つわ。

上級魔石にはひとつひとつにとても軽い魅了効果を入れていて、わたくしが綺麗に見れるようにしてるの。神話級では効果が凄くなるから何もしてないわ。

ドレスが終われば、次は招待客を選んで招待状を書く。

婚姻式は同じ派閥の人だけ。バートン公爵家は王族派になる。対立してるのは貴族派。貴族派は国王を象徴とし、政治は貴族が行うことを主張している。王家弱体化を狙っていて、そのために魔力量の低いクラーク殿下に目をつけている。側妃様も自分の息子を王位につかせたいようで貴族派に擦り寄っている。

パーティーは派閥関係なく上位貴族は全員を招待する。

他はお父様とフォルトゥナート様と相談して決めていく。

1枚1枚、招待状を書くのは大変だったが、錬金術で作ったペンが大いに役に立った。



婚姻式の準備で慌ただしい日々を過ごしていたら元クラスメートの侯爵子息から伝えておきたいことがあると手紙が届いたので、学園が休みの日にバートン家に来てもらった。男女が2人きりで会うのは家族や婚約者以外ではいらぬ誤解を生むためフォルトゥナート様にも同席してもらった。

「バートン嬢、クラーク殿下がよからぬことを考えています」
「よならぬことですか?」
「はい。貴族棟ではバートン嬢がヤクトン男爵令嬢を虐めてると噂が立ってます」
「その噂なら存じてますわ」
「それでクラーク殿下がお怒りでバートン嬢を断罪すると息巻いてる状態です」

どのような光景が想像が出来るわ。

「公爵令嬢が男爵令嬢を虐めてたとして何の罪になるんだ?」

フォルトゥナート様の疑問は当然だわ。わたくしも分からないわ。

「クラーク殿下たちにとってバートン嬢は悪となってるようでして、断罪に動き始めてます」
「情報をありがとうございます。こちらでも対策を練っておきますわ」

断罪するのは前回と同じく卒業パーティーになるだろう。それまでわたくしと会う機会がないのだから。卒業パーティーには婚約者も参加できるからフォルトゥナート様に一緒にいてもらう。これだけで十分よ。クラーク殿下は魔力量が低いため王位継承権はないのよね。だから継承権のあるフォルトゥナート様のほうが上だ。クラーク殿下が騎士に命じてもフォルトゥナート様が取り消せばそちらが優先される。

また、今のところ陛下の体調は悪くなってない。前回は既に体調を崩してたと思う。このままいけば、卒業パーティーには陛下も来られる。クラーク殿下の横暴は罷りならない。

お父様は外交に行く話が出たが、わたくしが心配だったため宰相補佐に任せて国内にいてくれてる。前回はやはり国外にいたのだろう。
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