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デート
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わたくしとフォルトゥナート様の休みが被った今日は一緒に街まで出かけることになった。
「この馬車はいいね。アレクシアが作ってくれて有り難いよ」
「喜んでもらえて何よりですわ」
「次はどんなの作るのかな?」
「今は案がないのです」
冷蔵庫は作ったしね。洗濯機は作ってない。洗濯機を作ると下女の仕事がなくなってしまうの。それに、今は専用化粧品を作るのに忙しかったりする。
街について馬車を降りる。先にフォルトゥナート様が降りてわたくしをエスコートしてくれる。
「あの、手……」
「はぐれると困るからね」
指を絡めるように手を繋がれ、鼓動が高鳴る。頬も熱くなってきたわ。
「雑貨屋に行こうか」
「え、ええ……」
緊張のあまり吃ってしまったわ。どうしましょう。
可愛らしい外観の雑貨屋に到着した。
「アレクシア、これはどう?」
「まぁ! 可愛いですわ!」
小さな花が書かれた羽根ペンをフォルトゥナート様に買ってもらった。
「わたくし、次に作りたいものを見つけましたわ」
「何を作るの?」
「一々、インクを付けなくてもよいペンです」
万年筆やボールペンがない。色も黒と青しかない。沢山の色のペンとかあると便利よね。
「それは出来たら素晴らしいね」
「はい! 中級の魔石で作れそうですし、普及も出来ます」
初級の魔石は火を出すや水を出すといった簡単なことしか出来ない。
「出来ましたらフォルトゥナート様に贈りますね」
「いつもありがとうね。アレクシアがいてくれて本当に助かってるよ」
「わたくしと婚約して良かったと思ってくださいます?」
「それは勿論、日々思ってるよ。アレクシアが何の能力がない令嬢でも僕はアレクシアと婚姻したいよ」
それって見た目や中身も好んでいてくれるということよね。嬉しいわ。
「わたくしもフォルトゥナート様とずっと一緒にいたいです」
「うん。良い家庭を作っていこうね」
フォルトゥナート様とだったら素敵な家庭が築けますわ。
その後、服屋に寄ってローブを数着ほど買ってもらった。性能も素晴らしいものでわたくしには勿体ないのではと思ってしまう。
「次はダンジョンデートしようね」
「はい! 行きたいです」
昼食は高級料理店を予約してくれていた。
「アレクシアの美味しそうだね」
「はい。どーぞ」
そう言って魚の煮込みをフォークに刺して差し出した。あれ? これって……。やってしまってから、自分が何をしてるのか理解して顔が赤くなる。
ひっこめようとしたが、その前にフォルトゥナート様が食べた。
あーん。しちゃったよ……。恥ずかしい!
「このステーキも美味しいよ。あーん」
これは、食べないといけないやつかしら?
真っ赤になりながらもステーキを頂いた。恥ずかしすぎて味はさっぱり分からなかった。
その後は顔を熱を下げるのに一杯一杯で何を話したのかさえ覚えていなかった。
昼食のあとは、魔道具店で上級魔石を端から端まで買い占めて帰りについた。
夕食をとってから工房に篭もる。
ペンを作りましょう!
材料を錬金窯に入れて魔力を込めた。淡く光り出来上がる。普通の万年筆は出来たから、次は神級魔石で作る。それは120色のペンで、自分が思った色が出る仕組みになった。ペンの頭に付いてる小さな魔石を交換することで永久的に使用可能ですの。
出来上がったものをお父様に見せに行く。
「久しぶりに何かを作ってきたのか?」
「そうですの」
ペンをテーブルの上に置く。
「普通の万年筆と120色のペンで出したい色を思い浮かべながら使うものです」
紙に実際に書いてみる。
「120色だと!?」
「ええ。120色のほうは神級ですが、こちらの万年筆は魔石も中級ですから普及も出来ますわ」
「画家も欲しがるな。万年筆というやつは中級なら城の錬金術師でも余裕で作れるだろう。レシピを売ろう」
わたくしだけでは作りきれないからそれがいいわね。その場でレシピを書いてお父様に渡した。
「この馬車はいいね。アレクシアが作ってくれて有り難いよ」
「喜んでもらえて何よりですわ」
「次はどんなの作るのかな?」
「今は案がないのです」
冷蔵庫は作ったしね。洗濯機は作ってない。洗濯機を作ると下女の仕事がなくなってしまうの。それに、今は専用化粧品を作るのに忙しかったりする。
街について馬車を降りる。先にフォルトゥナート様が降りてわたくしをエスコートしてくれる。
「あの、手……」
「はぐれると困るからね」
指を絡めるように手を繋がれ、鼓動が高鳴る。頬も熱くなってきたわ。
「雑貨屋に行こうか」
「え、ええ……」
緊張のあまり吃ってしまったわ。どうしましょう。
可愛らしい外観の雑貨屋に到着した。
「アレクシア、これはどう?」
「まぁ! 可愛いですわ!」
小さな花が書かれた羽根ペンをフォルトゥナート様に買ってもらった。
「わたくし、次に作りたいものを見つけましたわ」
「何を作るの?」
「一々、インクを付けなくてもよいペンです」
万年筆やボールペンがない。色も黒と青しかない。沢山の色のペンとかあると便利よね。
「それは出来たら素晴らしいね」
「はい! 中級の魔石で作れそうですし、普及も出来ます」
初級の魔石は火を出すや水を出すといった簡単なことしか出来ない。
「出来ましたらフォルトゥナート様に贈りますね」
「いつもありがとうね。アレクシアがいてくれて本当に助かってるよ」
「わたくしと婚約して良かったと思ってくださいます?」
「それは勿論、日々思ってるよ。アレクシアが何の能力がない令嬢でも僕はアレクシアと婚姻したいよ」
それって見た目や中身も好んでいてくれるということよね。嬉しいわ。
「わたくしもフォルトゥナート様とずっと一緒にいたいです」
「うん。良い家庭を作っていこうね」
フォルトゥナート様とだったら素敵な家庭が築けますわ。
その後、服屋に寄ってローブを数着ほど買ってもらった。性能も素晴らしいものでわたくしには勿体ないのではと思ってしまう。
「次はダンジョンデートしようね」
「はい! 行きたいです」
昼食は高級料理店を予約してくれていた。
「アレクシアの美味しそうだね」
「はい。どーぞ」
そう言って魚の煮込みをフォークに刺して差し出した。あれ? これって……。やってしまってから、自分が何をしてるのか理解して顔が赤くなる。
ひっこめようとしたが、その前にフォルトゥナート様が食べた。
あーん。しちゃったよ……。恥ずかしい!
「このステーキも美味しいよ。あーん」
これは、食べないといけないやつかしら?
真っ赤になりながらもステーキを頂いた。恥ずかしすぎて味はさっぱり分からなかった。
その後は顔を熱を下げるのに一杯一杯で何を話したのかさえ覚えていなかった。
昼食のあとは、魔道具店で上級魔石を端から端まで買い占めて帰りについた。
夕食をとってから工房に篭もる。
ペンを作りましょう!
材料を錬金窯に入れて魔力を込めた。淡く光り出来上がる。普通の万年筆は出来たから、次は神級魔石で作る。それは120色のペンで、自分が思った色が出る仕組みになった。ペンの頭に付いてる小さな魔石を交換することで永久的に使用可能ですの。
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「120色だと!?」
「ええ。120色のほうは神級ですが、こちらの万年筆は魔石も中級ですから普及も出来ますわ」
「画家も欲しがるな。万年筆というやつは中級なら城の錬金術師でも余裕で作れるだろう。レシピを売ろう」
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