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お父様side
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大きな箱を持ち陛下の前に跪いた。
「こちらを献上いたします」
「ほう。また何か出来たのか?」
「はい。娘のアレクシアが作りました」
陛下が箱を受け取り中を確認する。
「魔石か?」
「はい。神話級魔石になります」
「神話級魔石だと!? これ全部か?」
「はい」
陛下の側近の1人が1つ1つ魔道具で確認していく。
「陛下、全部神話級魔石でした」
「作ったと申したよな? 本当に作ったのか?」
「娘が申すには上級魔石10個で聖級魔石になり、聖級魔石10個で神話級魔石になるそうです」
「それが本当ならば世が変わる。錬金術師長、確認せよ」
「かしこまりました」
錬金術師長は恭しく頭を下げ、退出していく。早速、取り掛かるのだろう。
「それにしてもそなたの娘は色々と作ってくるな」
「幼いから考え方が柔軟なんでしょう」
「ふむ。確かフォルトゥナートと婚約したんだっかな?」
「左様です」
「そなたにもう1人子がおれば王太子と婚約させたかったぞ」
「それは叶わぬゆえ。それに我が天使を手放すつもりはございません」
しっかりと意思表示しておかねば、何を提示されるかわかったものでは無い。ここはキッパリと諦めてもらおう。
「1度、王宮に連れてこないか? フォルトゥナートの婚約者だし我もアレクシア嬢を見たい」
「内々の茶会であれば」
「我が開催しよう」
「陛下自らですか?」
ここは王妃殿下主催にするのが普通では?
「我が会いたいのだ。それに王妃はマナーに厳しい。まだ5歳の子供にはきついと思うぞ」
確かに王妃殿下はマナーにうるさい。まだ淑女教育を始めたアレクシアでは何を言われてしまうか分からない。その分、陛下はお心が広いから多少の無礼は許してくれるだろう。
「最低限のマナーは身につけさせたいのでお時間を頂きたく存じます」
「2ヶ月後で良いか?」
「はい。ありがとうございます」
アレクシアは優秀だからそれだけ時間があれば最低限のマナーは取得するだろう。ドレスも新調することも出来るな。
屋敷に帰り、アレクシアに伝えれば嫌な顔をしながらも承諾した。
「お父様、これも作りましたの」
「何の魔道具だ?」
「害意あるものは防ぐネックレスです。物理攻撃や魔法攻撃はもちろんのこと、毒や呪いも防ぎ、害意ある人間には触れない魔道具です」
まったく、次から次へと凄いもの作ってくる。
「お父様は重要な立場でしょう? 妬む人も多いかと思います。お父様の身の安全のためにお付けください」
我が身を案じてくれるなんてアレクシアは我の天使だ。それは間違いないな。
「陛下と王妃殿下、王太子の分も作れるか?」
「材料さえあれば」
「足りない分はすぐに用意させよう」
また献上するものが増えたな。
「こちらを献上いたします」
「ほう。また何か出来たのか?」
「はい。娘のアレクシアが作りました」
陛下が箱を受け取り中を確認する。
「魔石か?」
「はい。神話級魔石になります」
「神話級魔石だと!? これ全部か?」
「はい」
陛下の側近の1人が1つ1つ魔道具で確認していく。
「陛下、全部神話級魔石でした」
「作ったと申したよな? 本当に作ったのか?」
「娘が申すには上級魔石10個で聖級魔石になり、聖級魔石10個で神話級魔石になるそうです」
「それが本当ならば世が変わる。錬金術師長、確認せよ」
「かしこまりました」
錬金術師長は恭しく頭を下げ、退出していく。早速、取り掛かるのだろう。
「それにしてもそなたの娘は色々と作ってくるな」
「幼いから考え方が柔軟なんでしょう」
「ふむ。確かフォルトゥナートと婚約したんだっかな?」
「左様です」
「そなたにもう1人子がおれば王太子と婚約させたかったぞ」
「それは叶わぬゆえ。それに我が天使を手放すつもりはございません」
しっかりと意思表示しておかねば、何を提示されるかわかったものでは無い。ここはキッパリと諦めてもらおう。
「1度、王宮に連れてこないか? フォルトゥナートの婚約者だし我もアレクシア嬢を見たい」
「内々の茶会であれば」
「我が開催しよう」
「陛下自らですか?」
ここは王妃殿下主催にするのが普通では?
「我が会いたいのだ。それに王妃はマナーに厳しい。まだ5歳の子供にはきついと思うぞ」
確かに王妃殿下はマナーにうるさい。まだ淑女教育を始めたアレクシアでは何を言われてしまうか分からない。その分、陛下はお心が広いから多少の無礼は許してくれるだろう。
「最低限のマナーは身につけさせたいのでお時間を頂きたく存じます」
「2ヶ月後で良いか?」
「はい。ありがとうございます」
アレクシアは優秀だからそれだけ時間があれば最低限のマナーは取得するだろう。ドレスも新調することも出来るな。
屋敷に帰り、アレクシアに伝えれば嫌な顔をしながらも承諾した。
「お父様、これも作りましたの」
「何の魔道具だ?」
「害意あるものは防ぐネックレスです。物理攻撃や魔法攻撃はもちろんのこと、毒や呪いも防ぎ、害意ある人間には触れない魔道具です」
まったく、次から次へと凄いもの作ってくる。
「お父様は重要な立場でしょう? 妬む人も多いかと思います。お父様の身の安全のためにお付けください」
我が身を案じてくれるなんてアレクシアは我の天使だ。それは間違いないな。
「陛下と王妃殿下、王太子の分も作れるか?」
「材料さえあれば」
「足りない分はすぐに用意させよう」
また献上するものが増えたな。
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※当作品は、「小説家になろう」、「カクヨム」にも掲載しています
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