日本ワインに酔いしれて

三枝 優

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第2章

中伊豆ワイナリー シャトーT.Sホワイト 甘口2019

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 自宅に戻って来た柏木洋子は、早速買ってきたワインを開けた。
 スクリューキャップだから、簡単に開けられる。
 保存にも便利だ。

 開けた瞬間、甘くフルーティーな香りがした。

 グラスに入れて飲んでみる。
 甘口と言う通り、ほんのり甘いのだが決して甘ったるくは無い。
 飲みやすく、すっきりしたワイン。

 甲州・ナイアガラ・シャルドネ・ソーヴィニヨン・ブラン・リースリングといった複数の葡萄から作られているらしい。
 それでも、バランスよくまとまっていて美味しい。


「なるほどね。これはグイグイいけちゃいそうなワインね」

 見ると、アルコール度数はワインにしては低い10%。
 女性が選ぶだけのことはある。
 飲みやすく、親しみやすそうなワインである。

「それにしても、凄い建物だったなぁ・・・」

 お城のような建物を思い浮かべながら、グラスを傾ける。
 あそこで結婚式を挙げるカップルはどんな人なんだろう?




「あれ?親父、それどうしたの?」

 山口貴司がリビングに入ると、父親の勇二が日本酒を飲んでいた。
 つまみにしているのは、わさび漬けのようである。

「おう。お客さんがツーリング土産だと言って持ってきてくれたんだ」
「へえ・・・伊豆のお土産?」

 パッケージを見る貴司。

「伊豆スカイラインを教えたら早速行ってきたそうだ。さすが、本場のわさび漬けはうまいぞ」
「バイクで伊豆なんて、遠すぎないか?」
「いや、日帰りでも十分行ってこれる距離だぞ」
「ふうん、そうなんだ」

 バイクに全く興味のない貴司は、そういうものなのかと聞き流した。
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