日本ワインに酔いしれて

三枝 優

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第2章

埼玉県秩父市

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「うーん!やっぱり、蕎麦は新蕎麦に限るわね!」

 柏木洋子はざる蕎麦をすすりながらつぶやいた。
 コシあるシャキッとした麺。
 新蕎麦特有の香り。

 大満足である。


 ここは埼玉県秩父市。
 山口モータースで聞いてきた店に来ている。

 やはり、旬の時期だけあって店は混雑している。
 蕎麦湯を飲むのも早々に店を出た。

 この店に入る前に、秩父神社への参拝をしてきた。

「それにしても、ポスターどこにも貼っているのねぇ」

 アニメの女の子の描かれたポスターがこの店にも貼っている。
 秩父を舞台にしたアニメ。
 ちなみに、TVで見たことがある。
 その時は洋子も、うるっと感動して泣いてしまった。

「でも、こんなにタイアップしているとはねえ・・・」

 どこもかしこもポスターが貼ってある。
 こんなに自治体を上げてタイアップしているとは・・・


「さて、次の目的地に行く前に、ヒータををつけておかないとね」
 ヒーターにバッテリーをつなげて、スイッチをオンにする。
 愛車に乗り、ヘルメットをかぶった。

 今回の目的は、ウェアのヒーターのテストでもある。
 そのため、標高の高い場所に向かおうとしている。

 国道140号線を西に向かう。
 市街地を抜け、だんだんと民家が減っていく。
 山あいに入っていき、ワインディングになっていく。

 空気が冷たくなっていく。

 日帰り温泉施設を通り過ぎ、T字路の信号を左に曲がる。

 すると、急な登り道。
 どんどん、標高が高くなっていく。

「雪も凍結も無いみたいね。よかった」

 11月では、さすがに関東では雪はまだない。

 やがて見えてきた信号。
 青に変わるのにかなり時間がかかった。

 左に曲がって、その理由がわかった。

 ダムの上を通る道。

 道が狭いので、片側通行なのである。
 ダムの上を渡ってカーブを曲がると信号待ちしている車が2台待っていた。


 この先は山道。狭いうえにカーブが多く見通しが悪い。
 対向車はそこそこやってくる。

 対向車に注意しながら、ゆっくり愛車で登っていく。

 
 すると、急に道が広くなっていた。
 相変わらず急なカーブの登り道ではあるのだが。


 やがて、左に見えてきた広い駐車場。
 料金を払って中に入り、愛車を停めた。
 (料金は、自動車の半額だった)

「ふう・・・」

 空気がかなり冷たい。気温が低い。
 だが、ヒーター入りのウェアのおかげでぽかぽかである。
 上着だけではなく、下半身にヒーターが入るとかなり違う。

「このウェア、当たりだったわぁ」

 勧めてくれた山口モータースに感謝しないと。
 お土産でも買って行こうかしら。


 周りを見渡す。ずっと登ってきたので、標高が高い。
 まさに、人里離れた山奥。
 別世界といった雰囲気が漂っている。

 この場所こそは、秩父の山奥に鎮座する三峰神社である。 
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