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第2章
茨城県つくば市 つくばワイナリー
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柏手を打つ。
2礼2拍手2礼。
ここは筑波山神社。
「思った以上に立派な神社ね」
柏木洋子の趣味の一つの、神社巡り。
バイクでツーリングしながら、あちこちの神社を訪れるのだ。
社務所でお守りと御朱印をいただく。
裏手にある稲荷神社にもお参りする。
その向こう・・・ケーブルカーで山頂に行けるようだけど・・・
今日はやめておこう。
バイク用のブーツで山登りは不向きである。
参道を降りていく。
参道沿いの売店にはガマの油ののぼりが立っている。
ちょっと興味をそそられたが、本当に効くかどうか怪しいと思い眺めるだけにした。
まだまだ、この後の予定があるのだ。
駐車場の愛車《セロー》にまたがり、エンジンをかける。
この次の場所は・・・地図見てもわかりにくい場所だ。
スマホで場所をチェックしてルート案内をセットする。
昇って来た道を戻る。少し下ったところ右カーブのところで左折の指示。
よく見ると小さな看板も出ている。
曲がってすぐに、右折・・看板も出ているけど・・・・
「うわ・・・狭い・・・しかも、凄い下りね・・・」
対向車が来たらバイクでもすれ違うのに苦労しそうな道。
所々に住宅があるので、使われている道なんだろうけど・・・
急な下り坂をゆっくりと降りていく。
すると・・・目的地に到着・・・とのことだが・・・
「ここ・・・?」
一応、案内板があるのでここだろう。
狭い、あぜ道のような通り道。
仕方なく、愛車を広くなっているところに停めて歩く。
(注:実はもうちょっとだけ道を降りるとギリギリ車が2台だけ止められる狭い駐車場があります。でも車で来る人は筑波山神社の近くの駐車場に停めて歩いてくることをお勧めします)
その先にあるのは・・・樹木に囲まれた静かな神社。
小さな神社の背後には巨石。
ここは月石水神社。全国でも珍しい、コノハナサクヤ姫の姉のイワナガヒメを祀っている神社である。
一度来てみたかったのだ。
お供え物がたくさんある。参拝する人は多いようだ。
ここでも、お参りを済ませる。
社務所とかはもちろんないので、御朱印はいただけないけど・・・
空気が澄んでいる。
静かで良い神社だった。
「さて、もう一つの目的地に行こうかな」
この先、結構近いとはいえわかりにくい道である。
やはりスマホでルート案内をセットする。
やはり、狭い道をゆっくりと下り山を抜ける。
その後、田舎道を進むとすぐに着いた。
ブドウ畑に囲まれたレンガと白い壁でできたおしゃれな建物。
今回のツーリングの目的地の一つ。つくばワイナリーである。
前回、勝沼で行ったMGVsワイナリーよりは建物はかなり小さい。
かなり綺麗で、真新しい建物のように見える。
入口を入ると、棚に、ワインのボトルが並んでいる。
「いらっしゃいませ」
にこやかな女性が挨拶してくれた。
「こちらの棚の手前が新作のワインで、上の方がこれまでリリースしてきたワインになります」
「たくさんあるんですね」
「えぇ、でもこのワイナリーができたのは2019年なので、それまでは委託して醸造していたものになるんですよ」
「そうなんですか、最近なんですね」
「えぇ、畑は前からやっていたんですが、ようやく醸造所を作ることができました」
手に取ると、確かにラベルに別なワイナリーの名前が書かれていた。
「昨年の葡萄で作ったワインが、最近リリースしたんですよ。こちらの2020年ワインです。量は作れなかったんですが、とてもいいワインになったんですよ」
2020と書かれたワイン。
赤と白・・・それぞれ、3種類づつあるようである。
赤は、メルローと書かれている。
白は・・・なんていう品種なんだろう。
「白は、”北天の雫”という品種なんですよ」
「北天の雫ですか・・・?初めて聞きました」
いままで、ブドウとしてもワインとしても聞いたことが無かった。
「山ぶどうとリースリングを掛け合わせた品種なんですよ。まだ珍しいですが美味しいですよ」
珍しいと聞くと、気になってしまう。
だけど、こっちのラベルのワインも気になる。
”この間のワインより・・・ボトルが細いわね・・・もしかしたらタンクバッグに2本入るかしら・・・”
じっと、ワインを見つめて悩む。
多分・・・2本行ける気がする・・・。
その後、5分悩んだ後ついに覚悟を決めた。
「あの、こちらの赤ワインと白ワインを下さい」
「ありがとうございます」
悩んでいた洋子が滑稽だったのか、笑いながら店員がワインを棚から取り出す。
お会計を終えた時、店員が外を見て言った。
「バイクでいらしたんですね。かっこいいですね」
洋子はちょっと照れながら、「ありがとうございます」と小さく返事をした。
バイクで出かけると、よくカッコいいと言われる。だが照れてしまう。
会社とかでは、言われたことないのだが。
「さて、次は最後の目的地ね」
タンクバッグに、なんとかワインボトル2本を押込め、次の目的地にルートをセットした。
最後の目的地は口コミサイトで見つけた、蕎麦屋である。
高速を降りてから筑波山に来る途中にも蕎麦と思われる畑があった。
茨城では、常陸蕎麦といって蕎麦が有名らしい。
洋子は、愛車にまたがりフルフェイスのヘルメットをかぶる。
左足でギアを入れ、颯爽と目的地に向かって走り出した。
2礼2拍手2礼。
ここは筑波山神社。
「思った以上に立派な神社ね」
柏木洋子の趣味の一つの、神社巡り。
バイクでツーリングしながら、あちこちの神社を訪れるのだ。
社務所でお守りと御朱印をいただく。
裏手にある稲荷神社にもお参りする。
その向こう・・・ケーブルカーで山頂に行けるようだけど・・・
今日はやめておこう。
バイク用のブーツで山登りは不向きである。
参道を降りていく。
参道沿いの売店にはガマの油ののぼりが立っている。
ちょっと興味をそそられたが、本当に効くかどうか怪しいと思い眺めるだけにした。
まだまだ、この後の予定があるのだ。
駐車場の愛車《セロー》にまたがり、エンジンをかける。
この次の場所は・・・地図見てもわかりにくい場所だ。
スマホで場所をチェックしてルート案内をセットする。
昇って来た道を戻る。少し下ったところ右カーブのところで左折の指示。
よく見ると小さな看板も出ている。
曲がってすぐに、右折・・看板も出ているけど・・・・
「うわ・・・狭い・・・しかも、凄い下りね・・・」
対向車が来たらバイクでもすれ違うのに苦労しそうな道。
所々に住宅があるので、使われている道なんだろうけど・・・
急な下り坂をゆっくりと降りていく。
すると・・・目的地に到着・・・とのことだが・・・
「ここ・・・?」
一応、案内板があるのでここだろう。
狭い、あぜ道のような通り道。
仕方なく、愛車を広くなっているところに停めて歩く。
(注:実はもうちょっとだけ道を降りるとギリギリ車が2台だけ止められる狭い駐車場があります。でも車で来る人は筑波山神社の近くの駐車場に停めて歩いてくることをお勧めします)
その先にあるのは・・・樹木に囲まれた静かな神社。
小さな神社の背後には巨石。
ここは月石水神社。全国でも珍しい、コノハナサクヤ姫の姉のイワナガヒメを祀っている神社である。
一度来てみたかったのだ。
お供え物がたくさんある。参拝する人は多いようだ。
ここでも、お参りを済ませる。
社務所とかはもちろんないので、御朱印はいただけないけど・・・
空気が澄んでいる。
静かで良い神社だった。
「さて、もう一つの目的地に行こうかな」
この先、結構近いとはいえわかりにくい道である。
やはりスマホでルート案内をセットする。
やはり、狭い道をゆっくりと下り山を抜ける。
その後、田舎道を進むとすぐに着いた。
ブドウ畑に囲まれたレンガと白い壁でできたおしゃれな建物。
今回のツーリングの目的地の一つ。つくばワイナリーである。
前回、勝沼で行ったMGVsワイナリーよりは建物はかなり小さい。
かなり綺麗で、真新しい建物のように見える。
入口を入ると、棚に、ワインのボトルが並んでいる。
「いらっしゃいませ」
にこやかな女性が挨拶してくれた。
「こちらの棚の手前が新作のワインで、上の方がこれまでリリースしてきたワインになります」
「たくさんあるんですね」
「えぇ、でもこのワイナリーができたのは2019年なので、それまでは委託して醸造していたものになるんですよ」
「そうなんですか、最近なんですね」
「えぇ、畑は前からやっていたんですが、ようやく醸造所を作ることができました」
手に取ると、確かにラベルに別なワイナリーの名前が書かれていた。
「昨年の葡萄で作ったワインが、最近リリースしたんですよ。こちらの2020年ワインです。量は作れなかったんですが、とてもいいワインになったんですよ」
2020と書かれたワイン。
赤と白・・・それぞれ、3種類づつあるようである。
赤は、メルローと書かれている。
白は・・・なんていう品種なんだろう。
「白は、”北天の雫”という品種なんですよ」
「北天の雫ですか・・・?初めて聞きました」
いままで、ブドウとしてもワインとしても聞いたことが無かった。
「山ぶどうとリースリングを掛け合わせた品種なんですよ。まだ珍しいですが美味しいですよ」
珍しいと聞くと、気になってしまう。
だけど、こっちのラベルのワインも気になる。
”この間のワインより・・・ボトルが細いわね・・・もしかしたらタンクバッグに2本入るかしら・・・”
じっと、ワインを見つめて悩む。
多分・・・2本行ける気がする・・・。
その後、5分悩んだ後ついに覚悟を決めた。
「あの、こちらの赤ワインと白ワインを下さい」
「ありがとうございます」
悩んでいた洋子が滑稽だったのか、笑いながら店員がワインを棚から取り出す。
お会計を終えた時、店員が外を見て言った。
「バイクでいらしたんですね。かっこいいですね」
洋子はちょっと照れながら、「ありがとうございます」と小さく返事をした。
バイクで出かけると、よくカッコいいと言われる。だが照れてしまう。
会社とかでは、言われたことないのだが。
「さて、次は最後の目的地ね」
タンクバッグに、なんとかワインボトル2本を押込め、次の目的地にルートをセットした。
最後の目的地は口コミサイトで見つけた、蕎麦屋である。
高速を降りてから筑波山に来る途中にも蕎麦と思われる畑があった。
茨城では、常陸蕎麦といって蕎麦が有名らしい。
洋子は、愛車にまたがりフルフェイスのヘルメットをかぶる。
左足でギアを入れ、颯爽と目的地に向かって走り出した。
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