日本ワインに酔いしれて

三枝 優

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第1章

スズラン酒造 やまとなでしこ 2016

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(注:時間的に多少前後しますことをお許しください)

「そろそろ桜の季節だね」
「そうですね、また小川町の武蔵ワイナリーに行きたいです。あそこの近くの山々の桜はきれいでした」
 美月が、嬉しそうに言う。
「あそこは山あいだから、もう少ししてからかもしれないね。それにしても美月は、武蔵ワイナリーが好きだね」
「はい、あの小川小公子と言うワイン美味しいですからね」
「小公子という品種は山ぶどう系だけど、濃厚でおいしいよね」
「小公子以外でも、山ぶどう系のワインってあるんですか?」
「そうだね、ヤマ・ソービニョンとか、富士の夢とか、旅路とか。ほかにもいろいろあるね」
 ヤマ・ソービニョンはかなり一般的になってきている。
 健司のワインセラーにも、サンサンワイナリーの山ソービニョンが保存されている。
「山ぶどう系って、変わった名前のブドウが多いですね」
「そうだね。やはり日本人がつけると、なにやらロマンチックで和風な名前になりがちだね」
「他に、変わった名前のブドウとかないですか?」
「あぁ、それならば一つ珍しい名前のワインがあったね」

 山梨県笛吹市
 スズラン酒造 やまとなでしこ 2016
 
 その名の通り、”やまとなでしこ”という山ぶどうとピノ・ノワールを交配したブドウを使ったワインだ。

「このワインも、濃厚でしっかりした味わいだね」
「へえ・・今はないんですか?」
「う・・・また今度買いに行こうか」
「はい!、ぜひ行きましょう」

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