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第1章
ココファーム・ワイナリー オークバレル 赤
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うーむ・・
ワインのボトルを前に、ちょっと躊躇している。
「すみません・・赤は勝沼醸造のアルガーノ以外は今日はこれしかなくて~」
見せられたワインボトル。
ココファームワイナリー オークバレル 赤。
カルフォルニアの畑で取れたブドウをカルフォルニアで醸造。
ココファームと関係しているらしいワイナリーで作られたものである。
日本ワインじゃないんだけどね。
香りが豊かで、樽のコクと軽いタンニン。
”肉料理に合うよな・・・”
というわけで、子牛のステーキを注文した。
思った通り、合うのだけど・・・。
店のドアが開いた。他の客が入ってきたのだろう。
「いらっしゃいませ~」
その客は隣に来ると、ドッカリと座ってきた。
「お・・・こんばんわ高橋さん」
「高橋さんじゃないわよ!」
ミキちゃんである。なにやら表情が怖い。
「ちょっと!相談に乗ってほしいんだけど!」
「ええと、頼まれてると思っていいのかな?」
「もちろんよ!!」
人に頼む態度ではないと思うのだけど。
「美月に頼んだら?」
「あの娘じゃ役に立たないの!恋愛関係なんだから」
話し始めると急にしおらしくなった。
頬を赤らめ、ちょっとうつむいて小声で話し始める。
「私、最近好きになった子ができたのよ。その彼がね・・」
具体的なことは一切話さない。好きになった相手がいること。
相手には幼馴染がいて、その娘も相手を好きなこと。
どうしたら付き合ってもらえるか・・?
そういった風に相談した。
「で、その高校生クンは好きって言ってくれてるのかな?」
ブフォッツ!!
おいおい、酒を盛大に吹き出したよこの娘。
「な・な・な・・なんて!!??」
ミキちゃんて地元は関西なのか・・・?
「ちょっと考えればわかることだよ」
好きな子って言ったから年下・・そもそも幼馴染なんて気にするのは学生くらいまでだろう。
彼が大学生なら。”彼は大学生なんだけどね”くらい言うだろうから・・それより下を言ってみた。
まさか図星とはね。
「・・・好きって、まだ言われたことない・・・」
「ふうん」
「だって、まだ会ったばかりだし・・」
さらにうつむいて暗くなる。まったくミキちゃんらしくない。
「そいうえば、写真撮ってくれた・・」
「へえ、見せてよ」
スマホで写真を見せてくれた。
”これは・・・・!?”
光の中で、恥ずかしそうに頬を赤らめながら微笑む女性。
その女性からは愛情を感じ取れる。
そして、その写真を撮った人物も、間違いなく女性に対して愛情があるのだろう。
芸術は人を感動させる。
この写真はそのレベルに達している。
これは・・・見事だ。
「ふうん。なるほどね。たぶん、大丈夫じゃない?」
「な・・な・・なんで、そんなこと!?根拠は何よ!?」
「じゃあ。明日のお昼にメッセージで、次の休みに会う約束をしたら?
ご飯食べた後のほうが良いから12時半ごろとかに」
12時半と言っておけば間に合うだろう。
「わかった、そうする」
「それにしても、本当によく撮れてるね」
「なに、じっくり見てんだよ」
スマホを奪い返された。
「じゃ、もう帰るから!」
席を立って、足早に店を出ていくミキちゃん。
「おい。ちょっと!・・」
扉を開けて出て行ってしまった。
「・・・・また俺が払うのかよ?」
相談してきたのはミキちゃんの方だろ・・・?
----
後日。ミキちゃんとまた”いい天気”で会った。
満面の笑みで報告してくる。
「えへへ、めでたく彼氏ができました!」
「へえ、おめでとう。じゃあ、この間の飲み代返してくれ」
「でも、アドバイス役に立たなかったよ!12時半って言ってたのに・・」
「12時に彼氏から連絡が来たんだろ?」
ポカンとするミキちゃん。
「12時に彼氏から連絡が来るから、その前に連絡しないように12時半って言ったんだよ」
「な・・・なんで!?」
ぐぬぬぬ・・・
急に不機嫌になるミキ。
健司の掌で踊らされたようで気にいらないのであった。
ワインのボトルを前に、ちょっと躊躇している。
「すみません・・赤は勝沼醸造のアルガーノ以外は今日はこれしかなくて~」
見せられたワインボトル。
ココファームワイナリー オークバレル 赤。
カルフォルニアの畑で取れたブドウをカルフォルニアで醸造。
ココファームと関係しているらしいワイナリーで作られたものである。
日本ワインじゃないんだけどね。
香りが豊かで、樽のコクと軽いタンニン。
”肉料理に合うよな・・・”
というわけで、子牛のステーキを注文した。
思った通り、合うのだけど・・・。
店のドアが開いた。他の客が入ってきたのだろう。
「いらっしゃいませ~」
その客は隣に来ると、ドッカリと座ってきた。
「お・・・こんばんわ高橋さん」
「高橋さんじゃないわよ!」
ミキちゃんである。なにやら表情が怖い。
「ちょっと!相談に乗ってほしいんだけど!」
「ええと、頼まれてると思っていいのかな?」
「もちろんよ!!」
人に頼む態度ではないと思うのだけど。
「美月に頼んだら?」
「あの娘じゃ役に立たないの!恋愛関係なんだから」
話し始めると急にしおらしくなった。
頬を赤らめ、ちょっとうつむいて小声で話し始める。
「私、最近好きになった子ができたのよ。その彼がね・・」
具体的なことは一切話さない。好きになった相手がいること。
相手には幼馴染がいて、その娘も相手を好きなこと。
どうしたら付き合ってもらえるか・・?
そういった風に相談した。
「で、その高校生クンは好きって言ってくれてるのかな?」
ブフォッツ!!
おいおい、酒を盛大に吹き出したよこの娘。
「な・な・な・・なんて!!??」
ミキちゃんて地元は関西なのか・・・?
「ちょっと考えればわかることだよ」
好きな子って言ったから年下・・そもそも幼馴染なんて気にするのは学生くらいまでだろう。
彼が大学生なら。”彼は大学生なんだけどね”くらい言うだろうから・・それより下を言ってみた。
まさか図星とはね。
「・・・好きって、まだ言われたことない・・・」
「ふうん」
「だって、まだ会ったばかりだし・・」
さらにうつむいて暗くなる。まったくミキちゃんらしくない。
「そいうえば、写真撮ってくれた・・」
「へえ、見せてよ」
スマホで写真を見せてくれた。
”これは・・・・!?”
光の中で、恥ずかしそうに頬を赤らめながら微笑む女性。
その女性からは愛情を感じ取れる。
そして、その写真を撮った人物も、間違いなく女性に対して愛情があるのだろう。
芸術は人を感動させる。
この写真はそのレベルに達している。
これは・・・見事だ。
「ふうん。なるほどね。たぶん、大丈夫じゃない?」
「な・・な・・なんで、そんなこと!?根拠は何よ!?」
「じゃあ。明日のお昼にメッセージで、次の休みに会う約束をしたら?
ご飯食べた後のほうが良いから12時半ごろとかに」
12時半と言っておけば間に合うだろう。
「わかった、そうする」
「それにしても、本当によく撮れてるね」
「なに、じっくり見てんだよ」
スマホを奪い返された。
「じゃ、もう帰るから!」
席を立って、足早に店を出ていくミキちゃん。
「おい。ちょっと!・・」
扉を開けて出て行ってしまった。
「・・・・また俺が払うのかよ?」
相談してきたのはミキちゃんの方だろ・・・?
----
後日。ミキちゃんとまた”いい天気”で会った。
満面の笑みで報告してくる。
「えへへ、めでたく彼氏ができました!」
「へえ、おめでとう。じゃあ、この間の飲み代返してくれ」
「でも、アドバイス役に立たなかったよ!12時半って言ってたのに・・」
「12時に彼氏から連絡が来たんだろ?」
ポカンとするミキちゃん。
「12時に彼氏から連絡が来るから、その前に連絡しないように12時半って言ったんだよ」
「な・・・なんで!?」
ぐぬぬぬ・・・
急に不機嫌になるミキ。
健司の掌で踊らされたようで気にいらないのであった。
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