日本ワインに酔いしれて

三枝 優

文字の大きさ
上 下
95 / 259
第1章

山梨県 甲州市 ぶどうの丘 展望台

しおりを挟む
夕食を終えた後、展望台にやってきた。
やはり見事な夜景である。
展望台に2人並んで眺めている。
しばらくは無言・・・だが瀬戸さんがつぶやくように言った。
「ほんとは、朝から不安だったんです。」
「不安?」
「勝手に予約して、バカにされないかとか・・・怒られないかとか。」
「そんなこと・・・」
「でも、早乙女さんはバカにもせず一緒に泊まってくれた。嬉しかったんです、本当に。」

胸の奥に、またチリチリと刺激する感情が現れる。

「私、もともと引っ込み思案で臆病なんです。でも、早乙女さんだと安心できる。」
「そんな・・・」
「早乙女さん。また一緒に遊んでくださいね。お願いです。」
「・・・いいですよ。もちろん。」
瀬戸さんは私の手を握ってくる。おずおずと・・
私も胸の奥にある感情に流されるように、握りかえした。

胸をチリチリと焦がす感情。
なんとなく、気がついた。
好きとか愛しているとかより、もっと原初的な感情。
一緒にいたいという気持ち。
あなたにここにいて欲しい。Stand By Me

長いこと味わったことのない感情に戸惑っている自分がいた。
ようやく気がつくことができたのかもしれない。

「早乙女さん。部屋に戻りましょうか。」
「そうですね。」

あぁ。きっと私はこの娘のことが好きなんだな。

でも、まだ迷う気持ちもある。
過去にとらわれている自分とか、年齢差とか。
だけれども、今は握っているその手を離したくないという感情が胸を刺激してくるのだ。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

アイドルグループの裏の顔 新人アイドルの洗礼

甲乙夫
恋愛
清純な新人アイドルが、先輩アイドルから、強引に性的な責めを受ける話です。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

由紀と真一

廣瀬純一
大衆娯楽
夫婦の体が入れ替わる話

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

憧れの先輩とイケナイ状況に!?

暗黒神ゼブラ
恋愛
今日私は憧れの先輩とご飯を食べに行くことになっちゃった!?

処理中です...