日本ワインに酔いしれて

三枝 優

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第1章

絶対に負けられない戦いがそこにはある

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「いや、それはまずいでしょう。独身の女の子が一人暮らしの男性の家に行ってお酒を飲むって、倫理上良くないと思いますよ・・」
「えー。独身じゃなかったらいいんですか?」

いや、独身じゃないほうが問題か・・・
じゃなくって

アラフォーの男の家に20代の女の子を連れ込むのはさすがにまずい。
付き合っているわけでもなく。今日までほとんど話したことも無い子だ。
そんなに遊んでいる風でもない女の子。
たぶん、飲ませすぎたんだろう。
そこは、私にも責任がある。

そう、ここには絶対に負けられない戦いがある。

「瀬戸さんは一人暮らしなんですか?」
「いえ実家暮らしですけど。」
「じゃあ、帰りが遅いって心配されるんじゃないですか?」
「大丈夫ですよ、まだ夕方じゃないですか。」
「いや、もう結構暗くなってきていますよ。」
「高校生じゃあるまいし、大丈夫です。」

えー・・・・
瀬戸さん、結構酔っていらっしゃる?

「また今度にしませんか?今日は送っていきますから・・」
「今度っていつですか?だいたい、。ずるいですよ」

ずるいって・・・
自分で働いた給料で自宅でお酒を飲んじゃいけないのだろうか?
明らかに酔っ払いの論理である。

「いや、ずるいって・・・」
「ずるいですよ。ワインを飲ませてもらうまでは車を降りませんから。!」

絶対に負けられない戦いがそこにはあった。


負けたけど。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇
敗因:酔っ払いに理論で攻めても無駄である。
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