日本ワインに酔いしれて

三枝 優

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第1章

ミュゼドゥヴァン松本平ブラッククイーン

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さて、今日も行きつけのこの店に入ってしまう。
横浜駅にほど近い、”いい天気”。
店はBarと言っていいのかバルと言っていいのか。
前にミキちゃんが言っていたのは”イタリアン居酒屋”。
カウンター主体で、テーブルは一つしかない。
こじんまりとした店だけど料理は本当においしい。
油断すると飲みすぎ・食べ過ぎてしまう。
だから週に1回以上は来ないと決めている。

今日は・・・・再開したばかりだからいいよね。(汗)

「いらっしゃいー。」
「席空いている?」
「大丈夫ですよ~、相変わらず遅いんですねー。」
9時くらいに店に入ると6割ほどの込み具合。
以前に比べると減ったかな?でも常連は通っているようだ。

「注文何にしますー?」
「松本平ブラッククイーンで、あとは・・牛すね肉のワイン煮込みで。」
「ありがとうございまーす。」

長野県塩尻市 アルプス株式会社 松本平ブラッククイーン。
スーパーとかでも売っていたりして手に入りやすいワインだ。
だが、濃厚な味は肉料理に非常に合う。

「うーん、うまい。」
「早乙女さんって独身でしたっけー?彼女とかいないんですか?」
ミキちゃんがからかってくる。
「いないいない。いたらこの時間に来てたりしないって。」
「へえー、休みの日って何してるんですか??」
「最近は家に引きこもるしかないけど、前はよくドライブに行ってたよ。それこそワイナリーに行ってワインを買い出しに行っていたり。」
「へえーすごいんですねー」
「塩尻にも何度も行ったよ。いいワイナリーが多いしね。最近はワイナリーがどんどんできていて行くたびに発見があるしね。」
「うらやましいなー」

その時は気づかなかった。
その時。ある常連が聞き耳を立ててこの会話を聞いていることを。
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