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水と花の都の疾風姫編
戦士VS巨竜
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──深夜。
それぞれ生存者同士で身を寄せ合い、災厄により齎された緊張をようやく少しずつ沈め始めていた薔薇の街を再び激震が襲った。
「みんなもっと身をかがめて! ……聖神の加護よ、我らを守りたまえ! 『エオニア・プロクタシア』ァ!」
ソフィアが早口で魔法を唱えたその直後、屋敷が轟音を伴って崩れた。
瓦礫に押し潰されるはずだった俺たちは、見えない魔力のバリアに身を守られる。むしろ、瓦礫の方が膨張するバリアによって押し返されていく。
一瞬で領主邸を包み込むほど膨張したバリアは、勢いを殺さず街の防壁ギリギリまで広がった。
まるで、熱鉱山の村をドラゴンのブレスから守ったときのような大掛かりな魔法に思わず感心する……のも束の間、魔力を使い果たしたソフィアが力なくもたれかかってきた。
「さすがだ、ソフィア。助かった」
俺のそんな言葉に「当然よ」と強がる彼女の華奢な体を腕で支えながら、状況を把握するべく辺りを見渡した。
近い順から葉薊の領主は既に周囲を把握していてさっそく数名の付き人に指示を出し始めていて、睡蓮の領主はバリアの展開が間に合わなかったのか右腕から血を流している。寝室にいたはずのマキと『月夜見』は事態を察して寝巻のまま装備袋をもって駆けてきた。
そして、唯一傍から姿を消したフロート辺境伯はというと。
「魔物の陰に身を隠さず姿を見せるといい、ラース殿。薔薇の街現領主フロートが相手になろう」
もはや竜車用の愛嬌あるドラゴンとは似ても似つかぬ巨大な地龍を前に、一人仁王立ちしていた。
マジかよあの人。あのドラゴン相手にやり合うのか。
普段から常識人よりマキの父とは思えない胆力と無謀さだ。
どこから持ちだしたのか、人が持てそうにないデカさをした大剣を地面に突き刺し堂々と構えるその姿は美術品にもなりそうなほど様になっていた。
って、そんなことを考えている場合じゃない!
「マキは街中に避難指示を出して回ってこい。『月夜見』は援護を頼む。それから、もしこちらが劣勢に陥ったらソフィアを連れて逃げてくれ」
「了解です! ケンジローも死なないでくださいね!」
この俺が本当に命までかけるつもりがないことを分かっているマキは二つ返事で答える。一方、甘ちゃんな女子二人はというと。
「カッコつけんな、バカ。せっかく守ってあげたんだから自分の命くらい大事にしなさいよ」
「そうだそうだ! だいたい、君の言い方じゃ、まるで僕が役立たずみたいに聞こえるじゃないか!」
俺たちにとっての敗北条件が何かを理解していないのか、二人がかりで楯突いてきた。
「自覚なしかよこのお嬢様は。お前が死んだらシスコン王女に顔向けできねえよ」
ソフィアを守れず同盟関係を結んだ街を守れなかったと知られたら、いいとこ最低限の手切れ金とともに国外追放されるだろう。命賭けで戦ったなら処刑まではされないだろうが、主であり大貴族の令嬢を犠牲にしたとなれば相応の処遇が待っているのは間違いない。
そうでなくとも、日本へ戻るためには召喚者であるソフィアの生存は必要不可欠だろうという個人的な打算もある。
そんなことを、仲間の故郷を襲われて頭に血がのぼっているであろうソフィアが意識しているとは思えないが。
「だとしても、同盟関係を結んだばかりの都市が攻撃されたのに私だけ逃げたなんて知られたら、貴族としても賢者としても失格よ」
「そうだそうだ! 君と違って、ソフィアは崇高な精神の持ち主なんだぞ! それに、僕が傍にいれば万が一にも死なせないからね!」
「だからその自信はいったいどこから来るのだと。……はぁ、埒が明かないからお前らは自主判断で動くといい。民間人の誘導とフォローは全部こっちでやってやるから」
基本的に賢いソフィアだが、民間人の命が自分に掛かっているような状況ではテコでも動かない奴なのだ。それはこれまでの言動からわかっていることなので見切りをつけた。こいつのこういうところが仕えてやりたくなるところだが、今は彼女が死なないことを祈るしかできないな。
さて、焦りを感じながらそんなやりとりをしているうちに開戦したようだ。
先手を打ったのはドラゴンだった。
巨体からは想像もできない猛スピードで地面を駆けて、フロートさんを噛み殺そうとしていた。
一方、フロートさんは地面に刺した剣を抜くと、目前まで迫っていたドラゴンの鼻先を踏みつけて跳躍。すかさず長い尾で跳び上がったフロートさんを狩ろうとするドラゴンに対し、手に握る得物を一振りして弾く。そして、着地際を狙う鉤爪も返す刀で防いだ。
三度凌がれたドラゴンはというと、斬り上げる形で鉤爪による攻撃を防いだフロートさんを、その圧倒的な体躯で押し潰そうと躍起になっている。いくら強靭なフロートさんといえどジリ貧だったようで、ついにガードが破られてしまう。
先ほどソフィアが掛けたバリアを失う代わりに致命傷を回避したフロートさんは、攻撃後の隙を待っていたとばかりに爪の付け根へ渾身の一撃を叩き込んだ。
おそらく、数回の競り合いで威力を覚え、そのうえで狙った反撃だったのだろう。
肩に大きな傷を負ったところを見るとこれ以上戦わせるわけにはいかないと感じるが、彼の目にはまだ闘志が燃えていた。
一方、ドラゴンも無傷とはいかず、爪を付け根から割られた痛みに悶えている。
好機!
魔法銃へ魔力を込めながら状況を見続けると、俺たちをチラッと見たフロートさんが意図を汲んで重心を低くするのがわかった。
相打ちになり隙を晒すドラゴンの爪を狙って引き金を引いた。
傷へ追い打ちを加えられたドラゴンが悲痛な咆哮をあげながら転ぶ。
「計画通り」
「うわ、すごい顔してるよ」
「しーっ! 見ちゃダメよ!」
フロートさんへのカバーが決まって気持ちよくなっていると、横から女性陣の声が聞こえてきた。
まるで変質者に遭遇した親子みたいなやり取りだが、俺のことを差しているなら後で後悔させてやる。
それはそうと、怪我を負いながらも追撃を逃れたフロートさんは、応急手当をするでもなく転倒したドラゴンの鼻先を狙って渾身の一撃を放った。
急所への攻撃を受けたドラゴンは数秒ほど痛みに悶えると、地面を隆起させて足跡の高台へと飛び退いた。
あの巨体から繰り出されるとは思えない跳躍力に度肝の抜かされる。
そして今後は、鉤爪に魔力を込めて地面を叩き始めた。
「地震魔法だ! 皆伏せて!」
もはや背の高い建物などこの街には残っていないので伏せたところであまり意味はなさそうだが、転ぶよりマシかと思いツッコミを入れるのは控えておく。
さっきよりは弱めだが、それでも立っていることすら難しい強さの揺れに身を低くして耐える。避難所がある方を望遠スキルで覗くと、避難者の足元で地割れが起きて混乱が走っているようだ。もちろんそれ自体も問題なのだが、横でもう一つ問題が起きてしまった。
避難所で起きている非常事態に、過剰なくらい利他的なソフィアが気づいてしまったのだ。
魔力を使い果たしたソフィアにできることはないはずだが、それがむしろ彼女の精神を蝕む。過去に災いから民を救えなかったソフィアにとって、それがたとえ他国の街だとしても災いによって人が傷つくことが堪え難い苦痛になっているはずだ。
「守護神よ、その御業でもって万民を救済したまえ!」
ソフィアの悲鳴にも似た詠唱が辺りに木霊するが何も起こらない。
魔力の代わりに生命力を使って魔法を発動することができるらしいが、おそらくソフィアの生命力では発動に必要な魔力と生命力が足りなかったのだろう。
そんなソフィアを見て自責の念に苛まれる。というのも、本来望遠系のパッシブスキルを持たず、安易に魔法も使えない今ソフィアに遠くを見る手段はないのだ。だが、ソフィアは望遠スキルで避難所の様子を見た俺の表情から事態を察知したのだ。
クズみたいな話だが、俺が望遠スキルを使わなければ。あるいは、もっとポーカーフェイスが上手ければ、ソフィアが民間人の緊急事態に気づかずに済んだのだ。しかし、現状は気づいてしまいソフィアの精神状態が不安定になってしまった。
短くない付き合いなので、お互いに何を考えているのかなんとなくわかってしまうのだ。それが良くない方向に働いた。
「それ以上はやめろ!」
手首を瓦礫で切って、自分の血まで魔法の触媒にしようとしているソフィアを組み伏せる。
絵面がマズいが、そんなこと考えていられる状況じゃない。
「離して! 別に死ぬまで魔法を使うつもりじゃないわ! はやくあの人たちを守らないと!」
冷静さを欠くソフィアを、半ば申し訳ないと思いながらも押さえつけていると、傍でおろおろしていたはずの『月夜見』が発光し始めた。
その光はみるみるうちに強くなり。
「ソフィアの人々を守りたいって強い信念が実を結んだみたいだ。さあ、これは君の信仰への報いだ。受け取るといい」
ピークを越して静まり始めた光に少しずつ目を開けるなか、自信ありげな声が耳に届く。
完全に視界が戻った頃には、ソフィアからも淡い光が溢れ出ていた。
「強い魔力を感じる。これは『月夜見』の……?」
「そうだよ。君の強い気持ちが、僕を神として一段階上の存在に引き上げてくれたんだ。もっとも、藁にも縋る思いで僕を信じたのかもしれないけどね」
神々しく輝く『月夜見』は、場違いなほど明るい声でソフィアに語り掛けた。クスクスと笑いながら話すは状況的にどうかと思うが、今ツッコミを入れるのも野暮だろう。にわかには信じがたいが、神として強くなったらしいその神力をソフィアに魔力として与えたのだろう。
「さて、魔力は十分だろう。人々を助けるという願い、思う存分果たしておいで。僕の一人目の信徒として」
「ありがとう、『月夜見』。でも、私はあなたの信者ってわけじゃ……」
「えぇ⁉ そ、そんなぁ!」
言うが早いか、ドラゴンと相対するフロートさんに支援魔法を掛け直したソフィアは、勢いをそのままに市街地へと駆けて行った。『月夜見』はそんな彼女の背中を唖然とした唖然としたまま見つめていた。
か、かわいそうに……。
なんというか、すごく居た堪れなくなった。
神々しい光としょぼくれる背中のギャップがシュールすぎる『月夜見』はいったん置いておき、図らずも前衛後衛で組むことになってしまったフロートさんの様子を見る。
普段あの場所にいるのはマキなのだが。共に戦うのは初めてだが、アイツの父親だというしどうなるのか楽しみなところだ。
強敵相手と言えど、最重要人物のソフィアが前線から離れたこともあり少しは肩の荷がおりた気分なのだ。油断しすぎか、と心の中で自嘲し深呼吸。
気を引き締め直して銃を構えると、ちょうど痛みから回復したらしいドラゴンが高台の地面に潜ろうとしているところだった。
主力攻撃が物理の相手だけが残ったと思って油断しているな?
「フロートさん、耳を塞いでください!」
ドラゴンが地面から奇襲を仕掛けてくるなら、やられる前に感覚器官を潰してやる。
「ふむ、音響攻撃か。よかろう、任せた」
こちらの意図を汲んでくれたフロートさんが後退したのを見て、潜行中のドラゴンが居そうな場所へ罠化スキルで爆破物にした弾丸を撃ち込んだ。
引き金を引くと手にずっしりとした反動を感じるが、魔法的な電磁加速装置に耐えられるだけあって抑反動性能はバッチリだった。
そうして銃口を飛び出した弾丸は、発射した瞬間と着弾時の計二回爆発し轟音を響かせる。
『キュエエエエエエエエエエッ!!』
ビンゴ!
予想通り、地面から悶えながら飛び出したドラゴンを見て心の中でガッツポーズ。
そりゃそうだ。潜行中は視覚以外で索敵しなければならないのだから、当然聴覚へのダメージも大きくなるよな!
これがもし魔力で察知されていたらどうしようもなかったが、上手く決まってよかった。
耳と思われる部位から血を流すドラゴンに、フロートさんは連続で斬り付ける。
一撃一撃が、岩のように硬そうな鱗を砕きながら肉を切っていく。俺も何もしないわけにはいかないので、ひたすら頭部を撃っていて気づいた。
それは、この男が重戦車型であるということ。
思えば、さきほどもドラゴンの巨体で押し潰すように爪で切りつけられても耐えていた。ソフィアが付与したバリアは倒壊した屋敷から身を守るときに大部分の耐久力を削られていただろうし、ダメージの大半を自分で受けて立っていたのだと推測できる。
そして何より、それほど威力の高い攻撃を鍔迫り合いみたいに凌いでいた点から、相応の攻撃力を持っていることもうかがえる。
前衛職の鑑ともいえるステータスだが、そうなると瞬間火力より持続的に攻撃できる後衛が望ましいだろう。
となると、一方的に攻撃できるタイミング以外は弓に持ち替えた方がいいかもしれない。
火力は落ちてしまうが、魔力のチャージが必要な魔法銃より連発できていいはず。
早速弓に持ち替えて、爆破属性を付与した矢を番える。
「そんなに魔力を使っていたら君の体が持たないよ? ……はぁ、仕方ないから僕の魔力をわけてあげるよ。その代わり、明日は僕のわがままを聞いてもらうからな」
複数の射撃系スキルを重ねながら矢を連発していると、真後ろから恩着せがましい声が聞こえた。
むしろ魔力タンクになるくらいしかやれることないんだから、そのくらいのことはしてほしいんだが。
「今とても失礼なことを考えただろ! 顔に書いてあるぞ⁉」
そんなことを言われても、この状況で任せられることなんてあまりないわけで。
まあいい。魔力だけでもバックアップしてもらえればそれでいいだろう。
もともと魔力量が少ない俺にとって、無尽蔵に魔力の減りを気にしなくていいというのは気が楽だからだ。
「気のせいだろう。それより、お前は敵の援軍に気を配ってくれ。魔力で敵を見つけるのは得意だろう」
「君ってば、そのうち罰が当たるからな。僕以外の神にそんな態度はとるんじゃないぞ」
攻撃の最中にそんなやり取りをするが、この一応女神様な『月夜見』は悪口を言われたくらいで人を祟るほど短慮ではない。根はやさしいのだ。
閑話休題。攻撃パターンを変えたからか、ドラゴンの動きに変化が見られた。
今まではその巨体を生かしたゴリ押しのような攻撃が目立っていたが、断続的な爆撃に鱗が剥がれだしたせいか防御よりな行動をとるようになった。
もちろんそんな生ぬるい動きをとれば、大剣を振りかざすフロートさんに叩き切られるのだが。
正解は普段とは逆だったということだ。普段、継続的に攻撃し続けるマキがいるから俺とソフィアが瞬間火力を叩きだせばよかった。どちらかが敵の余裕を削ぎ、行動を制限したところを相方が叩く。これこそが鉄板戦術だったというわけだ。
それでも、年齢を重ねた上位個体のドラゴンは底なしの体力を見せつけてくれる。ふとすれば俺たちが優勢であるかのように錯覚するが、パワーバランスが少しでも崩れればドラゴンの体力を削り切る前に俺たちが消耗してしまうだろう。
だからこそ、第三者からの奇襲を避けたいのだ。『月夜見』に索敵を任せたのは他にやらせることがないからではなく、最適だったからと言い訳できるのだ。
例えば、魔法に長けたダークビショップの長距離攻撃とかだろう。
それこそ、魔法銃にような射程から狙撃されれば、いくらソフィアの張ったバリアがあるといえど劣勢を強いられるだろう。
一応、俺も望遠スキルで狙撃できそうな場所には逐一視線を向けていて、襲撃を狙っている者がいないか見ている。
もし魔導スコープの反射なんかが見えれば一発で対応できる。そう、今みたいに。
……今みたいに!?
「伏せろ!」
叫びながら最速で反撃できるよう弓に持ち替えたままの魔法銃を再び構える。
そうして、引き金を引いた次の瞬間。
「うわああああああっ!」
轟音を伴い周囲一帯を激しい閃光が包んだ!
それぞれ生存者同士で身を寄せ合い、災厄により齎された緊張をようやく少しずつ沈め始めていた薔薇の街を再び激震が襲った。
「みんなもっと身をかがめて! ……聖神の加護よ、我らを守りたまえ! 『エオニア・プロクタシア』ァ!」
ソフィアが早口で魔法を唱えたその直後、屋敷が轟音を伴って崩れた。
瓦礫に押し潰されるはずだった俺たちは、見えない魔力のバリアに身を守られる。むしろ、瓦礫の方が膨張するバリアによって押し返されていく。
一瞬で領主邸を包み込むほど膨張したバリアは、勢いを殺さず街の防壁ギリギリまで広がった。
まるで、熱鉱山の村をドラゴンのブレスから守ったときのような大掛かりな魔法に思わず感心する……のも束の間、魔力を使い果たしたソフィアが力なくもたれかかってきた。
「さすがだ、ソフィア。助かった」
俺のそんな言葉に「当然よ」と強がる彼女の華奢な体を腕で支えながら、状況を把握するべく辺りを見渡した。
近い順から葉薊の領主は既に周囲を把握していてさっそく数名の付き人に指示を出し始めていて、睡蓮の領主はバリアの展開が間に合わなかったのか右腕から血を流している。寝室にいたはずのマキと『月夜見』は事態を察して寝巻のまま装備袋をもって駆けてきた。
そして、唯一傍から姿を消したフロート辺境伯はというと。
「魔物の陰に身を隠さず姿を見せるといい、ラース殿。薔薇の街現領主フロートが相手になろう」
もはや竜車用の愛嬌あるドラゴンとは似ても似つかぬ巨大な地龍を前に、一人仁王立ちしていた。
マジかよあの人。あのドラゴン相手にやり合うのか。
普段から常識人よりマキの父とは思えない胆力と無謀さだ。
どこから持ちだしたのか、人が持てそうにないデカさをした大剣を地面に突き刺し堂々と構えるその姿は美術品にもなりそうなほど様になっていた。
って、そんなことを考えている場合じゃない!
「マキは街中に避難指示を出して回ってこい。『月夜見』は援護を頼む。それから、もしこちらが劣勢に陥ったらソフィアを連れて逃げてくれ」
「了解です! ケンジローも死なないでくださいね!」
この俺が本当に命までかけるつもりがないことを分かっているマキは二つ返事で答える。一方、甘ちゃんな女子二人はというと。
「カッコつけんな、バカ。せっかく守ってあげたんだから自分の命くらい大事にしなさいよ」
「そうだそうだ! だいたい、君の言い方じゃ、まるで僕が役立たずみたいに聞こえるじゃないか!」
俺たちにとっての敗北条件が何かを理解していないのか、二人がかりで楯突いてきた。
「自覚なしかよこのお嬢様は。お前が死んだらシスコン王女に顔向けできねえよ」
ソフィアを守れず同盟関係を結んだ街を守れなかったと知られたら、いいとこ最低限の手切れ金とともに国外追放されるだろう。命賭けで戦ったなら処刑まではされないだろうが、主であり大貴族の令嬢を犠牲にしたとなれば相応の処遇が待っているのは間違いない。
そうでなくとも、日本へ戻るためには召喚者であるソフィアの生存は必要不可欠だろうという個人的な打算もある。
そんなことを、仲間の故郷を襲われて頭に血がのぼっているであろうソフィアが意識しているとは思えないが。
「だとしても、同盟関係を結んだばかりの都市が攻撃されたのに私だけ逃げたなんて知られたら、貴族としても賢者としても失格よ」
「そうだそうだ! 君と違って、ソフィアは崇高な精神の持ち主なんだぞ! それに、僕が傍にいれば万が一にも死なせないからね!」
「だからその自信はいったいどこから来るのだと。……はぁ、埒が明かないからお前らは自主判断で動くといい。民間人の誘導とフォローは全部こっちでやってやるから」
基本的に賢いソフィアだが、民間人の命が自分に掛かっているような状況ではテコでも動かない奴なのだ。それはこれまでの言動からわかっていることなので見切りをつけた。こいつのこういうところが仕えてやりたくなるところだが、今は彼女が死なないことを祈るしかできないな。
さて、焦りを感じながらそんなやりとりをしているうちに開戦したようだ。
先手を打ったのはドラゴンだった。
巨体からは想像もできない猛スピードで地面を駆けて、フロートさんを噛み殺そうとしていた。
一方、フロートさんは地面に刺した剣を抜くと、目前まで迫っていたドラゴンの鼻先を踏みつけて跳躍。すかさず長い尾で跳び上がったフロートさんを狩ろうとするドラゴンに対し、手に握る得物を一振りして弾く。そして、着地際を狙う鉤爪も返す刀で防いだ。
三度凌がれたドラゴンはというと、斬り上げる形で鉤爪による攻撃を防いだフロートさんを、その圧倒的な体躯で押し潰そうと躍起になっている。いくら強靭なフロートさんといえどジリ貧だったようで、ついにガードが破られてしまう。
先ほどソフィアが掛けたバリアを失う代わりに致命傷を回避したフロートさんは、攻撃後の隙を待っていたとばかりに爪の付け根へ渾身の一撃を叩き込んだ。
おそらく、数回の競り合いで威力を覚え、そのうえで狙った反撃だったのだろう。
肩に大きな傷を負ったところを見るとこれ以上戦わせるわけにはいかないと感じるが、彼の目にはまだ闘志が燃えていた。
一方、ドラゴンも無傷とはいかず、爪を付け根から割られた痛みに悶えている。
好機!
魔法銃へ魔力を込めながら状況を見続けると、俺たちをチラッと見たフロートさんが意図を汲んで重心を低くするのがわかった。
相打ちになり隙を晒すドラゴンの爪を狙って引き金を引いた。
傷へ追い打ちを加えられたドラゴンが悲痛な咆哮をあげながら転ぶ。
「計画通り」
「うわ、すごい顔してるよ」
「しーっ! 見ちゃダメよ!」
フロートさんへのカバーが決まって気持ちよくなっていると、横から女性陣の声が聞こえてきた。
まるで変質者に遭遇した親子みたいなやり取りだが、俺のことを差しているなら後で後悔させてやる。
それはそうと、怪我を負いながらも追撃を逃れたフロートさんは、応急手当をするでもなく転倒したドラゴンの鼻先を狙って渾身の一撃を放った。
急所への攻撃を受けたドラゴンは数秒ほど痛みに悶えると、地面を隆起させて足跡の高台へと飛び退いた。
あの巨体から繰り出されるとは思えない跳躍力に度肝の抜かされる。
そして今後は、鉤爪に魔力を込めて地面を叩き始めた。
「地震魔法だ! 皆伏せて!」
もはや背の高い建物などこの街には残っていないので伏せたところであまり意味はなさそうだが、転ぶよりマシかと思いツッコミを入れるのは控えておく。
さっきよりは弱めだが、それでも立っていることすら難しい強さの揺れに身を低くして耐える。避難所がある方を望遠スキルで覗くと、避難者の足元で地割れが起きて混乱が走っているようだ。もちろんそれ自体も問題なのだが、横でもう一つ問題が起きてしまった。
避難所で起きている非常事態に、過剰なくらい利他的なソフィアが気づいてしまったのだ。
魔力を使い果たしたソフィアにできることはないはずだが、それがむしろ彼女の精神を蝕む。過去に災いから民を救えなかったソフィアにとって、それがたとえ他国の街だとしても災いによって人が傷つくことが堪え難い苦痛になっているはずだ。
「守護神よ、その御業でもって万民を救済したまえ!」
ソフィアの悲鳴にも似た詠唱が辺りに木霊するが何も起こらない。
魔力の代わりに生命力を使って魔法を発動することができるらしいが、おそらくソフィアの生命力では発動に必要な魔力と生命力が足りなかったのだろう。
そんなソフィアを見て自責の念に苛まれる。というのも、本来望遠系のパッシブスキルを持たず、安易に魔法も使えない今ソフィアに遠くを見る手段はないのだ。だが、ソフィアは望遠スキルで避難所の様子を見た俺の表情から事態を察知したのだ。
クズみたいな話だが、俺が望遠スキルを使わなければ。あるいは、もっとポーカーフェイスが上手ければ、ソフィアが民間人の緊急事態に気づかずに済んだのだ。しかし、現状は気づいてしまいソフィアの精神状態が不安定になってしまった。
短くない付き合いなので、お互いに何を考えているのかなんとなくわかってしまうのだ。それが良くない方向に働いた。
「それ以上はやめろ!」
手首を瓦礫で切って、自分の血まで魔法の触媒にしようとしているソフィアを組み伏せる。
絵面がマズいが、そんなこと考えていられる状況じゃない。
「離して! 別に死ぬまで魔法を使うつもりじゃないわ! はやくあの人たちを守らないと!」
冷静さを欠くソフィアを、半ば申し訳ないと思いながらも押さえつけていると、傍でおろおろしていたはずの『月夜見』が発光し始めた。
その光はみるみるうちに強くなり。
「ソフィアの人々を守りたいって強い信念が実を結んだみたいだ。さあ、これは君の信仰への報いだ。受け取るといい」
ピークを越して静まり始めた光に少しずつ目を開けるなか、自信ありげな声が耳に届く。
完全に視界が戻った頃には、ソフィアからも淡い光が溢れ出ていた。
「強い魔力を感じる。これは『月夜見』の……?」
「そうだよ。君の強い気持ちが、僕を神として一段階上の存在に引き上げてくれたんだ。もっとも、藁にも縋る思いで僕を信じたのかもしれないけどね」
神々しく輝く『月夜見』は、場違いなほど明るい声でソフィアに語り掛けた。クスクスと笑いながら話すは状況的にどうかと思うが、今ツッコミを入れるのも野暮だろう。にわかには信じがたいが、神として強くなったらしいその神力をソフィアに魔力として与えたのだろう。
「さて、魔力は十分だろう。人々を助けるという願い、思う存分果たしておいで。僕の一人目の信徒として」
「ありがとう、『月夜見』。でも、私はあなたの信者ってわけじゃ……」
「えぇ⁉ そ、そんなぁ!」
言うが早いか、ドラゴンと相対するフロートさんに支援魔法を掛け直したソフィアは、勢いをそのままに市街地へと駆けて行った。『月夜見』はそんな彼女の背中を唖然とした唖然としたまま見つめていた。
か、かわいそうに……。
なんというか、すごく居た堪れなくなった。
神々しい光としょぼくれる背中のギャップがシュールすぎる『月夜見』はいったん置いておき、図らずも前衛後衛で組むことになってしまったフロートさんの様子を見る。
普段あの場所にいるのはマキなのだが。共に戦うのは初めてだが、アイツの父親だというしどうなるのか楽しみなところだ。
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主力攻撃が物理の相手だけが残ったと思って油断しているな?
「フロートさん、耳を塞いでください!」
ドラゴンが地面から奇襲を仕掛けてくるなら、やられる前に感覚器官を潰してやる。
「ふむ、音響攻撃か。よかろう、任せた」
こちらの意図を汲んでくれたフロートさんが後退したのを見て、潜行中のドラゴンが居そうな場所へ罠化スキルで爆破物にした弾丸を撃ち込んだ。
引き金を引くと手にずっしりとした反動を感じるが、魔法的な電磁加速装置に耐えられるだけあって抑反動性能はバッチリだった。
そうして銃口を飛び出した弾丸は、発射した瞬間と着弾時の計二回爆発し轟音を響かせる。
『キュエエエエエエエエエエッ!!』
ビンゴ!
予想通り、地面から悶えながら飛び出したドラゴンを見て心の中でガッツポーズ。
そりゃそうだ。潜行中は視覚以外で索敵しなければならないのだから、当然聴覚へのダメージも大きくなるよな!
これがもし魔力で察知されていたらどうしようもなかったが、上手く決まってよかった。
耳と思われる部位から血を流すドラゴンに、フロートさんは連続で斬り付ける。
一撃一撃が、岩のように硬そうな鱗を砕きながら肉を切っていく。俺も何もしないわけにはいかないので、ひたすら頭部を撃っていて気づいた。
それは、この男が重戦車型であるということ。
思えば、さきほどもドラゴンの巨体で押し潰すように爪で切りつけられても耐えていた。ソフィアが付与したバリアは倒壊した屋敷から身を守るときに大部分の耐久力を削られていただろうし、ダメージの大半を自分で受けて立っていたのだと推測できる。
そして何より、それほど威力の高い攻撃を鍔迫り合いみたいに凌いでいた点から、相応の攻撃力を持っていることもうかがえる。
前衛職の鑑ともいえるステータスだが、そうなると瞬間火力より持続的に攻撃できる後衛が望ましいだろう。
となると、一方的に攻撃できるタイミング以外は弓に持ち替えた方がいいかもしれない。
火力は落ちてしまうが、魔力のチャージが必要な魔法銃より連発できていいはず。
早速弓に持ち替えて、爆破属性を付与した矢を番える。
「そんなに魔力を使っていたら君の体が持たないよ? ……はぁ、仕方ないから僕の魔力をわけてあげるよ。その代わり、明日は僕のわがままを聞いてもらうからな」
複数の射撃系スキルを重ねながら矢を連発していると、真後ろから恩着せがましい声が聞こえた。
むしろ魔力タンクになるくらいしかやれることないんだから、そのくらいのことはしてほしいんだが。
「今とても失礼なことを考えただろ! 顔に書いてあるぞ⁉」
そんなことを言われても、この状況で任せられることなんてあまりないわけで。
まあいい。魔力だけでもバックアップしてもらえればそれでいいだろう。
もともと魔力量が少ない俺にとって、無尽蔵に魔力の減りを気にしなくていいというのは気が楽だからだ。
「気のせいだろう。それより、お前は敵の援軍に気を配ってくれ。魔力で敵を見つけるのは得意だろう」
「君ってば、そのうち罰が当たるからな。僕以外の神にそんな態度はとるんじゃないぞ」
攻撃の最中にそんなやり取りをするが、この一応女神様な『月夜見』は悪口を言われたくらいで人を祟るほど短慮ではない。根はやさしいのだ。
閑話休題。攻撃パターンを変えたからか、ドラゴンの動きに変化が見られた。
今まではその巨体を生かしたゴリ押しのような攻撃が目立っていたが、断続的な爆撃に鱗が剥がれだしたせいか防御よりな行動をとるようになった。
もちろんそんな生ぬるい動きをとれば、大剣を振りかざすフロートさんに叩き切られるのだが。
正解は普段とは逆だったということだ。普段、継続的に攻撃し続けるマキがいるから俺とソフィアが瞬間火力を叩きだせばよかった。どちらかが敵の余裕を削ぎ、行動を制限したところを相方が叩く。これこそが鉄板戦術だったというわけだ。
それでも、年齢を重ねた上位個体のドラゴンは底なしの体力を見せつけてくれる。ふとすれば俺たちが優勢であるかのように錯覚するが、パワーバランスが少しでも崩れればドラゴンの体力を削り切る前に俺たちが消耗してしまうだろう。
だからこそ、第三者からの奇襲を避けたいのだ。『月夜見』に索敵を任せたのは他にやらせることがないからではなく、最適だったからと言い訳できるのだ。
例えば、魔法に長けたダークビショップの長距離攻撃とかだろう。
それこそ、魔法銃にような射程から狙撃されれば、いくらソフィアの張ったバリアがあるといえど劣勢を強いられるだろう。
一応、俺も望遠スキルで狙撃できそうな場所には逐一視線を向けていて、襲撃を狙っている者がいないか見ている。
もし魔導スコープの反射なんかが見えれば一発で対応できる。そう、今みたいに。
……今みたいに!?
「伏せろ!」
叫びながら最速で反撃できるよう弓に持ち替えたままの魔法銃を再び構える。
そうして、引き金を引いた次の瞬間。
「うわああああああっ!」
轟音を伴い周囲一帯を激しい閃光が包んだ!
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しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
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お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
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〈念の為〉
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