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恐怖!放課後に巣食うUMAの巻

ミステリーの解決編と行こうか?

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お前が言うな。


今回の話はチュパカブラにまつわるミステリー解決編である。
興味の無い読者の皆様は、読み飛ばす事をお勧めする。

勘の良い読者様は既に欠伸を上げている事だろう。稚拙なミステリーである。
所詮は神無川県の地方都市、多魔市で日常的に起こる出来事なのだ。


【 ミステリー その1 盗まれた靴】
まず最初に理の靴を盗んだのは、チュパカブラでは無い。
何故ならば、はまだ理の通う学校に入る事が不可能だった。そしてアリバイもあった。
アリバイ等は当人のプライバシーに配慮し、省略させて頂く。保護法あるしな。
それならば、誰が?となるが、既に本文中で明かされている。そう。登校する時、既に履いてなかったのだ。


【 ミステリー その2 盗まれた上履き】
そして翌日の靴箱に上履きが無かったのは何故か?
もう、お判り頂けただろう。理が上履きを履いて帰ったからだ。
流石に下校時に「靴が無い!」と理が騒ぐ描写はカットさせて頂いた。
あまりにも理が惨め過ぎると筆者が検討した結果だ。
隣を歩いていたのに気がつかなかった、もしくは注意をしなかった英莉にも問題有りと判断した。


【 ミステリー その3 チュパカブラの正体】
本日は、それをストーリー展開とし、この章のむすびとさせて頂く。



※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※


「英莉ちゃん!おはよう!昨日はお疲れ様。
本当にありがとう。やっぱり頼りになるね、英莉姉ちゃん!」

「え、英莉姉ちゃんはヤメろ!!理に言われると大切な物を汚されている気分になる。」

「いだっ!ローキックやめてってば……いだっ!!
……そんな苛々して、さては生理だな!?いだっ!!トゥーキック刺さってるって!!」


チュパカブラとの決戦の翌日。
理と英莉はふざけ合いながら仲良く登校した。
学校に着き、理が靴箱を開くと……無い。

「おい、理。いい加減にしろ。」

「え?だって…」

「いい加減に裸足で出歩いてる事に気づけ!流石に今日は殺意すら湧いたぞ。」

「あっ!?僕とした事が…いだっ!?」

英莉はサッカーボールを蹴る様に、理を思い切り蹴り、フンっと鼻を鳴らし二年生の教室の方へ歩いて行った。

理はしょんぼりと項垂れ、足の裏に着いたゴミや小石を、備え付けられたスノコで落としていると、そこに、
親御さんに連れられた、肌の黒いラテン系の女の子が着慣れない制服を着て、
理の前を爽やかな香りと共に通り過ぎた。

その通り際に、彼女は理に情熱的なウインクと投げキスを寄越した。

「……もしかして、僕に!?だよね!!あれ!?
おっぱい超デカかったし!?ブレザーはち切れそうだったし!?
僕にも春が来た!?遂に来た!?来ちゃうのーー!?来ちゃってるーー!?」

理は周囲から白い目で見られている事にも気がつかず、一人、玄関先で「いやん、いやん」と身体をクネクネさせていた。

彼の教室内ヒエラルキーは更に下がった。
底を抜けても落ち続ける奈落へと。



※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※



「えー、今日から、このクラスの新しい友達がこちらです。

南米、プエルトリコから多魔市に引っ越して来た、チュッパ・カベイラさんです。
皆さん、仲良くして下さい。
それでは、チュッパ・カベイラさん。クラスのみんなに自己紹介をお願いします。」


はち切れそうなブレザーと、短いスカートから伸びる美しく長い脚。
肌は健康的に焼けていて、その唇は厚みのある情熱的なものだった。

ペコリと日本式の丁寧なお辞儀をした彼女のブロンドヘアーは、さらさらと美しく流れた。
そしてクラスの皆の顔を見渡し、理に視線はピタリと止まる。
その瞳は鮮やかな薄いブルー。理は吸い込まれる様な気分になる。


「ミナサーン!プエルトリコカラキマシタ、チュッパ・カベイラデース!!
ニホンゴ、ベンキョウシマシタ!!タクサン、ナカヨク、シテクダサーイ!!」

クラスの全員から響めきが起こる。
特に男子は目をキラッキラッさせて喜びに震えていた。

「ソレトー、ワタシニハー、モウココロ二、キメタ、ミ・アモーレ、コノクラスニイマース!!」

ラテン系の美しい女の子が、トッ!と軽く飛び上がると、クラス生徒の頭上を軽く飛び越え、理の元に降りる。
そして理に抱き着き、その唇に情熱的なキスをした。

「!?!?!!!?」

理は口の中をねっとりと舌が舐め回す感覚に硬直し、クラス全員から「えーーーー!?」と息の合った声が。
この瞬間、理はクラス男子全員を敵に回した。
そしてその波は全校に広がるのだろう。死ねばいいのに。


「ミ・アモーレ!!アナタノ、ブタノニクガ、クサッタヨウナニオイ、トーッテモ!デーリシャァァァァス!!」


ラテン系の美しい彼女は向日葵の花が咲く様な眩い笑顔を理に向けた。
その唇の間から少し見えた犬歯は、ギラリと鋭く尖がっていた。




恐怖!放課後に巣食うUMAの巻、これにて一件落着とする。
更なる放課後の更新は、保健所の指導や色々な面倒が終わってからするとしよう。

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