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第2章

ゴブリン惨殺の日、再び

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「見えました。あの岩山がゴブリン王の居城です。」

クリスの指し示す岩山、その麓にはポッカリと大きな洞窟が口を開いていた。
入り口付近には屈強そうな上位ゴブリンらしき魔物らが長槍を持って立っている。

「入り口は流石に見張りが居るか。他に潜入ルートは無いのか?」

「わ、わかりません!」

「ふむ。それを探す時間が惜しいね。
そろそろ日も落ちて来ているし、暗がりに紛れて見張りを処理しよう。」

「いや、ここは俺に任せておけ。秘策がある。」


俺はスタスタと入り口へ自然体で歩いて行った。
長槍ゴブリン達が「ギギッ!」とこちらに槍を向けて威嚇している。
俺はその長槍ゴブリン達に大げさなジェスチャーを交え話掛けた。

「ギギッギギィィィィ?」

「ギギギッ!?」


(ゴブリン達と会話している?)


「ギギッギギッー!」

「ギ?ギギギ???」


(流石マイマスターです!)


「ギッギギッギギギ!?!?」

「ギギギ!!」


(雲行きが怪しいね、交渉決裂ってところかな。)


「ギギッ!!ギギギ!!ギギッギギッギギィィィィ!!」

「ギギギ…何言ってんのかわかんねーんだよ!死ねや!!」

おもむろに棍棒を振り抜き長槍ゴブリンの脳漿をドグシャッと撒き散らす。
動揺し浮足立った長槍ゴブリン達を次々に襲い、ロドリゲスとクリスも飛び出し参戦。
見張りの長槍ゴブリンを全て片付けた。


「ブラザー、ゴブリンらと何を話していたんだい?」

「ん?ギギギ言ってただけだぞ。」

「ん、オーライだね。平常運転だ。」



※ ※ ※


そのままゴブリンの根城へと踏み入る。
自然に出来た洞窟に少し手を加えた程度の粗末な構造だった。
隠れられる場所はところどころにあったが分岐点はほぼ無く一本道だった。
ゴブリンに見つかりそうになった時はクリスの百花繚乱で大人しくさせ始末して進んだ。
食料庫や武器の倉庫などが有ったが、エリスが囚われている部屋は無かった。
そして遂に、ゴブリンが大量に居並ぶ広間へと辿り着いた。



「ゴブリンの兵士達が大量に居るね。」

「ああ、あの先が怪しいな。
クリス。百花繚乱で出来る限りの数を魅了しろ。
俺が圧縮空気発射+岩石生成レールガン砲撃で一気に片付ける。
ロドリゲスは抜けて出て来たゴブリンを任せる。強行突破するぞ!!」

「ふぇっ!ひ、百花繚乱、い、行きます!!」

クリスは広間に踊り出て美しく舞う剣舞を始めた。
一斉にこちらを向いたゴブリン達は、その桃色の光に見惚れている。

「クリス!伏せろ!弾丸の大盤振舞い行くぜ!!」

バスンバスンと砲撃を開始する。
打ち漏らした敵はロドリゲスらに任せ、その広間に居たゴブリン達を血祭りに上げる。


「ギギギ!?……ップッシャー!!」
「ギギッ!!……ップッシャー!!」
「ギギィィィィ!…ップッシャー!!」

何やら体格の良いゴブリンら数体が奥から飛び出して来たが、それもまとめてプシャらせた。


「ギギッギギッギギィィィィ!!!!……ップッシャー!!」

頭に王冠を乗せている太ったゴブリンも飛び出して来たが、俺の流れ弾に当たってあっさり脳漿を散らして死んだ。


「ギギギィィィィィー!!ギャーーー!!」

角と羽根を生やした悪魔風ゴブリンも奥から飛び出して来たが
ロドリゲスにブン殴られ、地べたに落ちた所をクリスにザクザク刻まれて死んだ。


「ワタシハカミダ……ップッシャー!!」

人語を片言で喋る老ゴブリンも奥からノソノソ歩いて出て来たところに砲撃が直撃。
大物ムーブさせずに脳漿撒き散らして死んだ。


「ギギ?」「ギ!?」

ゴブリンの子供を抱いた女性っぽいゴブリンが恐る恐る顔を出したところに容赦なく砲撃。ゴブリンの子供諸共ミンチになった。


「た、助けてくれ!!…ップッシャー!!」

人間が飛び出して来たかの様に見えたが錯覚だろう。構わず砲撃。プシャり死んだ。


※ ※ ※


「はぁはぁ、流石にこの数を纏めて相手にするのは骨が折れたね……」

「じ、自分達でやっておいてなんですが、悪夢にうなされそうな光景ですね……」

ロドリゲスとクリスは小一時間続いた惨劇を目の前にして疲弊していた。
流石の俺も地面にドカッと座り一休みする。

「最初から皆殺しにしながら進めば良かった。結局コレだぜ。」

あたり一面血の海。街道の悪夢再び、ってところか。
途中でゴブリン王っぽいのが死んでたがボス的な魔物がまだ奥に居るんだろうか?
歯応えの無さに気が抜けていた。


※ ※ ※


「オ、オマエタチ!!ヨクモオレノナカマヲ!!
ユルサナイ!!ゼッタイニユルサナイ!!」

おいおい、なんか勇者っぽい格好したゴブリンが出て来たぞ。
羽飾りの付いた額冠に、キラキラ黒光りする棍棒を携え 何処からか湧いて出て来た。
物珍しさに興味を持って俺はトコトコ近付いた。


「小虫が。勇者気取りのゴブリンよ。
この魔王自らが相手にしてやる。かかって来い。」

「マ、マオウダト!!オレハブレイブ!!
イマココデ!オマエヲタオシ、コノセカイノヘイワヲマモッテミセル!!
コノヨノスベテノゴブリンノナカマタチヨ…オレニセイギノチカラヲ!!
アツマッテクル!!チカラガアツマッテクル!!
アクヲクダス、セイナルゴブリンコンボウヨ!!メザメヨ!!
イマココニヤクソクノトキハキタ!!
シュウエンノカネヲナラセ!!ジハードハツドウ!!
ハァァァーーーーーーーップッシャー!!」

前口上が長かったのでフルスイングしてプシャらせた。
ゴブリンの勇者っぽい奴が持っていた棍棒を拾い上げると、なんだか良く分からないが強そうな感じだった。


【 +++最終聖戦ジハード+++】条件:魔王と対峙した時に解放


貰っておくとするか。
さて、そろそろゴブリン王の城観光ツアーは終わりだ。
俺はロドリゲスとクリスを引き連れ、最奥の部屋へと歩き出した。


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