零式輸送機、満州の空を飛ぶ。

ゆみすけ

文字の大きさ
上 下
81 / 105
奉天飛行場へ救援の無線が飛ぶ。

やっと届いた無線電波だ。

しおりを挟む
 当時の無線機には欠点があったのだ。
それは、送信出力が少なかったのである。
 無線送信機は電波を送信するための出力真空管というものを使っている。
現在も方式はかわっていない。
 半導体というモノには欠点がある。
熱に弱いのだ。
 それで、パソコンもそうだが・・・扇風機で風を送り冷やしている。
中には水冷方式もあるが・・・基本は扇風機を使ってる。
 ところが、真空管というモノは熱に強いのである。
暖房で使えるといってもいいくらいだ。
 現在の高速計算機のフロアーには強烈な冷房装置があるだろう・・・
それで、真空管なんだが・・・当時は真空管の製造能力が・・・まだ、まだの時代である。
 大和撫子のセカイイチの器用な細腕でも・・・無理なことも多々あるのである。
それで、軍艦奉天の通信員が敵発見から救援無線を送っているのは・・・当然なのだ。
 それが、やっと奉天通信所(飛行場内にある)で受信できたのである。
もちろん、音声は無理だからモールス信号だ。
 ・・・ ーーー ・・・ とやる。
ここは、国際モールス信号でSOSと打電したのである。
 公海上だからね・・・
日本軍(皇軍)は国際法は順守する軍隊なのである。
 「藤堂司令っ。」「なんだ?」
「また、軍艦奉天が・・・」
 「・・・・」
「それが本当なら、マジで懲りないヤツらだな。」と、こぼす司令だ。(隊長から司令へ)
 「よし、空挺は待機だ。」
「戦闘機隊へ斥候を指示しろ。」
 まずは、斥候つまり偵察だ。
震災が起こったら・・・現地へ最初に偵察機(ファントム戦闘機を改造した偵察機。)を飛ばすそうだ。
 その画像を総理官邸内の危機管理センターで救助判断基準にするそうだ。(これは、ウソではない。)

 速度を出すために軽量化した九七式改が・・・
もちろん、2機だ。
 かならず帰還するためなのだ。
奉天飛行場から2機の偵察機が救援電波信号で判明した現場へ・・・
 ハイオクタンガソリンと軽量化で、九七式改は最高速度620キロ毎時を維持できる。
ただ、飛行時間に制限があるが・・・通常の半分でエンジン交換だ。
 4枚プロペラを高回転させるからだ。
普通の九七式改は3枚ペラである。
 それで、プロペラ回転モーメントが高いから・・・操縦が難しいという機体である。(まっすぐに飛ばない。)
空中勤務委員は2名だ。
 操縦士と観測員である。
高度があるから・・・無線電波は遠くまで届く。
 軍艦奉天のアンテナも低くはないが・・・飛行機には勝てない。
夜間は電離層の関係で電波が電離層で反射して・・・遠くまで電波が届くが、今は昼間である。
 当時は夜間攻撃なんて・・・電波探信儀も無い時代である。(露スケは夜眼が効かないという都市伝説が・・)
それで、ロシア海軍は天気晴朗な時間に攻撃してきたのである。
 
 高度3000を速度620キロ毎時だ・・・日本海の現場までは、1時間ほどだ。
「おい、まだ健在だぞ。」と、双眼鏡で検索していた観測員がいう。
 即、モールスで・ホウテンブジナリと日本語モールスだ。
日本語のモールスはイが・ーだ。
 隊内通信は日本語なのである。
「おい、黄色い猿の戦闘機だぞ。」と、ロシア海軍がイキリタツ・・・
 「いや、偵察機だ。」「帰ってくようだぞ。」
「バカか、おまえは。」「すぐに、エテ公の戦闘機隊がやってくるぞ。」
 「なんとか、その前に沈めるんだ。」
と、なぜか奪還するはずでは・・・もう、奪還は無理だ、なら撃沈しかないって・・・なってしまったのかな?
 魚雷を20発以上も避けられたら・・・そうなるわな・・・
操船技術からロシア軍艦の改造まで・・・とても、これでは日本海軍には勝てないという雰囲気が・・・
 いや、あのう・・・日本陸軍なんですけどと、声を大にして言いたいイイダ艦長代行なのであった・・・
「オレは、海軍じゃないぞ!」
 

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

大東亜戦争を有利に

ゆみすけ
歴史・時代
 日本は大東亜戦争に負けた、完敗であった。 そこから架空戦記なるものが増殖する。 しかしおもしろくない、つまらない。 であるから自分なりに無双日本軍を架空戦記に参戦させました。 主観満載のラノベ戦記ですから、ご感弁を

梅すだれ

木花薫
歴史・時代
江戸時代の女の子、お千代の一生の物語。恋に仕事に頑張るお千代は悲しいことも多いけど充実した女の人生を生き抜きます。が、現在お千代の物語から逸れて、九州の隠れキリシタンの話になっています。島原の乱の前後、農民たちがどのように生きていたのか、仏教やキリスト教の世界観も組み込んで書いています。 登場人物の繋がりで主人公がバトンタッチして物語が次々と移っていきます隠れキリシタンの次は戦国時代の姉妹のストーリーとなっていきます。 時代背景は戦国時代から江戸時代初期の歴史とリンクさせてあります。長編時代小説。長々と続きます。

大東亜戦争を回避する方法

ゆみすけ
歴史・時代
 大東亜戦争よ有利にの2期創作のつもりです。 時代は昭和20年ころです。 開戦を回避してからのラノベです。

陣借り狙撃やくざ無情譚(時代小説新人賞最終選考落選歴あり、別名義、別作品)

牛馬走
歴史・時代
(時代小説新人賞最終選考落選歴あり、別名義、別作品)猟師として生きている栄助。ありきたりな日常がいつまでも続くと思っていた。  だが、陣借り無宿というやくざ者たちの出入り――戦に、陣借りする一種の傭兵に従兄弟に誘われる。 その後、栄助は陣借り無宿のひとりとして従兄弟に付き従う。たどりついた宿場で陣借り無宿としての働き、その魔力に栄助は魅入られる。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

四代目 豊臣秀勝

克全
歴史・時代
アルファポリス第5回歴史時代小説大賞参加作です。 読者賞を狙っていますので、アルファポリスで投票とお気に入り登録してくださると助かります。 史実で三木城合戦前後で夭折した木下与一郎が生き延びた。 秀吉の最年長の甥であり、秀長の嫡男・与一郎が生き延びた豊臣家が辿る歴史はどう言うモノになるのか。 小牧長久手で秀吉は勝てるのか? 朝日姫は徳川家康の嫁ぐのか? 朝鮮征伐は行われるのか? 秀頼は生まれるのか。 秀次が後継者に指名され切腹させられるのか?

織田信長IF… 天下統一再び!!

華瑠羅
歴史・時代
日本の歴史上最も有名な『本能寺の変』の当日から物語は足早に流れて行く展開です。 この作品は「もし」という概念で物語が進行していきます。 主人公【織田信長】が死んで、若返って蘇り再び活躍するという作品です。 ※この物語はフィクションです。

旧式戦艦はつせ

古井論理
歴史・時代
真珠湾攻撃を行う前に機動艦隊が発見されてしまい、結果的に太平洋戦争を回避した日本であったが軍備は軍縮条約によって制限され、日本国に国名を変更し民主政治を取り入れたあとも締め付けが厳しい日々が続いている世界。東南アジアの元列強植民地が独立した大国・マカスネシア連邦と同盟を結んだ日本だが、果たして復権の日は来るのであろうか。ロマンと知略のIF戦記。

処理中です...