零式輸送機、満州の空を飛ぶ。

ゆみすけ

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新型弐式戦闘機、つまり弐式改の誕生。

米軍からの意見。

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 陸軍工廠のマサズミ技師は弐式戦闘機の感想をグラマン社のテスト操縦士(スミス)から聞いて・・・
「確かに、弐式の前輪は欠点だな。」と、感じるのだった。
 「着陸で横転して改良したのだが・・・」
「それでも、十分でないということだな。」と、考えさせられていたのだ。
 前輪式で主脚が後部にある方式は、どうしても前輪のステーが欠点となるのだ。
弐式戦闘機は特に長かったのだ。(史実の震電クラス)
 前輪へかかる負荷は想像より大きかった。
それで、最初の飛行で折れてしまった。(着陸時だ。)
 あわてて、太く造り直したのだが・・・それでも、ダメだったのだ。
前輪は小径で、タイヤも10インチ(30センチ)ほどなのだ。
 それ以上は太くできない。
なんせ、機首には20ミリ機関砲と300発のドラムマガジンが収納されているからだ。
 「これ以上は太くできないよな・・・」と、考えていたのだが・・・
ラーメンを食べている右手のお箸を見る・・・
 「そうだ、ステーは1本だ。」「それを、2本にするだけじゃないかっ!」
「なら、今より細いステー2本で十分いけそうだ。」
 「これなら、満州平原も・・・」
マサズミ技師の脳裡には・・・対ソ連軍戦闘機としての弐式改の絵がありありと浮かんできたのだ。
 局地追撃戦闘機、弐式改の設計図を描きだしたマサズミ技師であった。
「将来的に、対ソ連軍として満州国で運用したいから、草原で離着陸できるように・・・」と、陸軍の草案には書いてあったからである。
 「しかし、機首は細いから径10インチタイヤが限度なんだが・・・」と、悩むマサズミ技師である。
開発チームに、「なんか、アイデアがあれば言って欲しい。」と、意見を求めているが・・・なかなか、良い案は浮かばないようだ。

 開発チームの技師から、「前輪のアイデアですが。」「ほう、どんな?」と、マサズミ技師が聞いた。
「10インチでもダブルタイヤなら少々の荒れ地でも耐えることができるかと・・・」
 「ふむ、ダブルとは左右2本ということか。」「そうです。」
「負荷を1本でなく2本で受けれます。」
 「緩衝装置はオレオもダブルなら細くできますし、収納も可能かと・・・」と、アイデアの提案があったのだ。

 そして、弐式戦闘機は試験飛行を繰り返していた。
テスト操縦士から苦言が、「最高速度で翼端から振動が発生します。」
 「特に、650キロから700キロ毎時のところで発生します。」
「機体の分解まではいきませんが、あまり振動が激しくなると舵が効かなくなりそうです。」
 「ふむ、それはイカンな。」
零戦でも、翼端の微振動は問題になったことがある。
 それで、翼端にバランス錘を取り付けたのだが・・・これが、原因の航空事故が発生した苦い経験があるのだ。
「実機で風洞実験で空気の流れを解析するしかないな。」
 当時、日本に1基しかないという巨大風洞で弐式戦闘機は風洞実験が行われたのだ。
そして、幾多の風洞実験から・・・原因が判明したのだった。
 それは、エンジン回転がある程度高くなると固有振動周波数に干渉して・・・翼端に微振動が発生するようだ。
幾多の実験を繰り返して・・・翼の取り付け角度を増して、後退翼とすることで防ぐことができたのだ。
 しかし、後退翼は失速速度(速度が遅いと揚力がなくなる。)が高くなる欠点があるのだ。
それをおぎなうために・・・主翼の前葉にスリットを付けて、揚力を増すためのダブルフラップを装備することとなったのだ。
 すると、どうしてもエンジン馬力が足りない。(あれもこれもで重量が加算だ。)
仕方なく・・・エンジンを2基取り付けることに・・・
 つまり、双発機だ。(外観からは双発には見えない。)
いまさら、翼に取り付けるのは無理だ。(後退翼だから重心が後部に集まってしまうからだ。)
 それで、エンジンを縦に並べて、正逆回転させて3枚プロペラの2重としたのである。
つまり、3枚の正逆回転で6枚プロペラということに・・・
 そして、機首の真ん中に機関砲の銃口を・・・
まるで、空の狙撃兵(97式戦闘機と同じあだ名だ。)である。
 こうして、スミス機長が聞きそびれた戦闘機の名前は弐式戦闘機改ということが判明したのである。
改と末尾に附いてるのは、もちろん弐式戦闘機があるからだ。
 双発エンジンではない、3枚ペラのプロペラが後部にあるやつだ。
1000馬力の9気筒エンジンのスグレモノだったんだが・・・
 機首に7ミリ機関銃2丁の、スペック的には欧州の戦闘機と差がないモノだった。
しかし、米軍との模擬空中戦で大敗してしまったのだ。
 米軍は1300馬力の怪物を出してきたのだった。
それまでのカーチスP40ではない、グラマンF4という無骨なヤツだ。
 カーチスP40ならなんとかなりそうだ・・・なんて、思い上がっていた日本軍戦闘機が背後を盗られて・・・手も足もでなかったのだ。
 「これでは、いかん!」と、焦る軍令部の連中だったのだ。
それで、グラマンに勝てる戦闘機を・・・ということで、弐式改の正式な設計がはじまったのである。
 設計主任は、弐式のマザズミ主任技師だ。
 
 「グラマンに勝つには馬力を上げるしかない。」
「しかし、今のエンジンが技術的には最高なんだ。」
 「今、研究している排気タービンなら・・・」
「しかし、耐熱合金の原料のニッケルが、なかなか手に入らない。」
 「どうすれば、エンジン馬力をあげることができるのか?」
そして、弐式の改良点の提出された草案を観ていた・・・
 前輪の支柱を1本から2本へ・・・まてよ・・・そうだ、エンジンが1基だから・・・
それが、双発なら馬力は倍とまでいかなくても・・・かなり、あがるぞ。
 閃いたのだ。
「胴体を60センチほど長くすればいい。」
 「重量配分は・・・」と、カンタンな計算をする。
「エンジンを縦に2基つなげれば・・・翼につけなくても・・・」
 「2基のエンジンを同軸で反回転させれば、エンジンの動力モーメントも反発しあって、問題にならないな。」
「すばらしいぞ。」
 マサズミ主任の頭の中に・・・究極の戦闘機が完成しつつあったのだ。
欧米が30年先を越されたと・・・驚いた戦闘機の弐式改の草案ができつつあったのだった。

 2重反転6枚プロペラが産み出す推進力はベンチテスト(地上試験)でも、おそろしい推進力を産み出したのだ。
ガソリンの消費も双発だから・・・倍ですごいのだが・・・
 高度6000メートルまで上昇するに、いままでの戦闘機だと最低15分はかかっていた。
計算では弐式改なら、おそろしいことに、6分あまりで・・・
 「これでは、操縦者が加速圧力で失神しかねないかも・・・」と、危惧するほどなのだ。
いままでの飛行服では、ダメかもしれない。
 「操縦者の体を保護する対重力飛行服を考案しなければならんぞ。」
「でないと、試験飛行で操縦士が失神でもして墜落事故になりかねないぞ。」
 「地上で対重力飛行服の試験をからねばならんぞ。」
操縦士の服を試作する班が造られたのだ。
 つまり、加圧飛行服である。
いままでは、酸素マスクだけで試験飛行していたのだが・・・高度6000以上のテストもあるやもしれない。
 なら、今のうちに飛行服を考案していないと飛行試験に間に合わないからだ。
銃器開発班から設計主任のマサズミ技師へ採用予定の機関砲が届いた。
 さっそく、造りつつある実物大の木製モデルに合わせてみると・・・
「20ミリ機関砲とは、重くて大きくてドラムマガジンに300発入れると、思ったより重くて・・・」
 「うむ、双発エンジンでないと、飛べなかったな。」と、納得なのだ。
20ミリ機関砲は零戦の20ミリ機銃より重いのだ。
 なんせ、弾丸の火薬量が違うのだ。
それに、伴って機関砲も頑丈な銃身が必要だからだ。
 給弾は弾丸の発射ガスだけでは無理で、電動モーターで給弾をしなければならない。
モーターと蓄電池と発電機だけでも100キロを越えるのだ。
 零戦の20ミリの倍の火薬量で機関砲の弾道は・・・3000メートルまで直線を維持できるほどだ。
威力もすばらしくて・・・八九式戦車の装甲を撃ち抜くほどである。
 戦闘機で戦車を殺れる・・・対ソ連軍の兵器として思ってもみなかった新兵器が・・・
そう、対戦車戦闘機である。
 ソ連軍は戦車王国だ。
T34という、無双のドイツ軍も逃げ出すほどの有名戦車を造り出したのだ。
 試作している弐式改が対戦車で有効兵器となれば・・・満州国での運用も視野のいれなければならない。
やはり、草原で運用できる戦闘機として改造しなければ・・・
 ソ連軍と満州国との国境紛争が戦争となるつつある、数年前の話である。
読者諸氏へ注意事項です、この妄想ラノベはウソも多い。
 さすがに朝鮮人にように、息を吐くほどウソではないが・・内容の時系列や史実に差異があるかもしれません。
その点、どうか・・・ご容赦を・・・


 
 
 


 

 
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