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廻ったぞ~~
エンジン始動シークエンス
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「ペラコントロール定速へ。」「ペラコン定速、OKです。」
「燃料気化レベルをフルにしろ。」「フルにしました。」
機長であるスミス君がスロットルレバーを少し上げる。
スロットルレバーとはクルマでいうアクセルのことだ。
飛行機はアクセルではなく、手動のレバーでエンジン回転を調整するからだ。
「燃料コック、メインへ。」「燃料コック確認しました。」
「エンジンのキャブへガス少しだ。」「ガス(燃料)入れました。」
燃料と空気を混ぜて爆発しやすいガスを造るのが・・・キャブレターである。
そこへ、燃料を少し注入して始動させやすくする呼び水のようなものだ。
「今日は外気温が20度だから・・・カウルは半開きだな。」
星形エンジンの丸いカバーの後ろにあるヒラヒラの開く帯みたいなモノがカウルフラップだ。
そこを、寒冷だと閉じて、温暖だと開いてエンジ温度を調整するのだ。
そして、寒冷ぐあいに応じて・・・エンジンオイルクーラーへガスを少々足して始動しやすくするのだ。
スミス機長が窓から合図を送る。
係員が手を大きく振り・・・プロペラ付近にヒトがいないかチエックだ。
「燃料ブーストだ。」と、スミス機長がいう。
アランが燃料ブーストレバーを右へ倒す。
燃料がエンジンへ送られ始める。
燃料圧計でチェックだ。
スミス機長がスターターを入れる。
ヒュ~ンと音がしてエンジン内のフライホイールが廻る。
ここは肝だが、ある程度廻ったらフライホイールとプロペラのクラッチをつなぐ。
プロペラが、ゆっくり廻り始める。
エンジンは双発だと、左右別々にエンジンを始動するのだ。
なんせ、両方では注意が散漫になるからね・・・
そして、2~3回ほどペラが廻ったら・・・頃合いを見て・・・(ここは、長年の経験だ。)
イグニッション(点火ブラグ)のスイッチを入れるのだ。
うまくいけば・・・エンジンが白煙を吐いて廻り始めるのだ。
白煙は暖気運転してれば、おさまる。
そして、エンジンオイルの油圧計を点検する、これを忘れると、最悪エンジンを壊してしまいかねない。
エンジンはエンジンオイルが適量にあれば、壊れることは無いのだ。
暖気運転は1000rpmから1200rpmで20分から30分ほどだ。
寒冷だと、長くなるようだ。
「キャツプ、そろそろ。」と、コパイが言う。
「うむ、では・・・滑走路は1本だな。」
単なる草原だが・・・一応、石ロコは退かしてあるようだ。
満州は広大だ。 水平線が普通に見えるのだ。
山というか・・・高い山なぞ無い。
単なる草原が延々と続くのである。
満州の首府である奉天市だが・・・空き地は多いのだ。(内地とは違うのだ。)
コパイが無線機のマイクをとる。
「こちら、DC-3だ。」「こちら、管制塔です、よく聞こえます。」
てか・・・側の掘っ立て小屋が・・・管制塔かよっ! と、突っ込むアラン君だ。
さすがに、声には出さないが・・・
竹竿の無線アンテナが・・・ショボイのだ。
それなりに短く刈り込んだ草原の滑走路をタキシングする。
「ふむ、これなら行けそうだな。」と、キャツプ(機長)であるスミス君は操縦ハンドルを握るのだ。
「では、これから試験飛行を始める。」
「管制塔、了解。」「無事を祈る。」と、管制塔の無線員が定番の挨拶だ。
「よしっ。」と、スロットレバーの2本を同時に・・・徐々に上げる。
「ブ~~ン。」と、いうエンジン音が「ゴ~~~ン。」と、いうハミングした双発エンジン音になる。
主脚のブレーキを外す。
スルスルと進みだしたが・・・それなりに・・・揺れる機体だ。
おもわず、操縦ハンドルに力が入る・・・いかん、いかん、冷静にだと、思う機長のスミス君である。
操縦桿は卵を握るようにだが・・・それは空(うえ)にあがってからだ。
スロットルレバーを2本とも・・・いっぱいまで上げる。
双発エンジンだから・・・スロットルレバーは2本あるのだ。
これが、Bー17などの4発爆撃機だと4本ある。
離陸は失速して事故ることも無いことは無いが・・・着陸より事故率は少ない。
初心者にとり、着陸は怖いモノなのだ。
まあ、2名ともベテランだから・・・それでも、草原からの離陸は緊張するのである。
やはり、コンクリの滑走路がベストだ。
「ゴ~~ン。」と、双発エンジン音が高鳴り・・・DC-3型機は離陸する。
「高度、300まで。」と、高度計を見る。
当時の高度計は電波方式ではなく、気圧方式だ。
地上で目盛りを高度0に合せるのだ。
大気圧から高度を割り出す高度計だから・・・まあ、それなりだ。(現在は電波高度計)
当時は航空レーダーなんて無いから・・・有視界飛行である。
第一旋回、第二旋回、第三旋回と滑走路の周辺を旋回して着陸コースへ入る。
あらかじめ飛ぶコースを想像しながら飛ぶのが飛行機である。
なせなら、いきなりの行動は失速(揚力を失う。)して、最悪は墜落だ。
即・・死である。
それなりに若い両人は・・・まだ、死にたく無いようだ。(まだ、まだ、おマンコが・・・)
「管制塔、聞こえるか。」「こちら、管制塔です。」
「今から着陸する。」「了解です。」
なお、この交信は英語だ。
現在でも、航空無線での交信は英語が決まりなのである。
どうしてかって?
それは、大東亜戦争で日本が敗戦したからだ。
日本が勝利して世界の覇権を握っていれば・・・航空無線の言語は日本語であったろう・・・
ドイツ語? まさか、ドイツはイタリアの次に敗戦してしまった。
イタリアなぞ、あっというまに白旗だ。
そして、こともあろうに・・・味方だった日本へ宣戦布告まで・・・まあ、イタリア人はオナゴのお尻を追いかけてれば幸せだそうだ。
まず、メスのおマンコしか頭に無いイタリア野郎なのである。(マジの種馬なのだ。)
話を戻そう。
無事に着陸して、タキシングして・・・管制塔の付近で停止するDC-3型だ。
係員が機体の主脚へ車輪止めをかう。
「パカリ。」と、扉が開いて・・・スミス機長とアラン副操縦士が顔を出す。
係員がタラップを配置する。
サイトウ技師とヤマモト技師が・・・そして、面々が拍手だ。
試験飛行は成功だからである。
米軍の輸送機の部品からの組み立ては、いちおう成功といってもいいだろう。
「遠路はるばると、ありがとうございました。」
「感謝に耐えません。」と、米国からの操縦士へ感謝する日本側である。
「まだ、主脚をだしたままの、ほんの試験飛行にすぎませんから。」
「試験は、これからですよ。」と、スミス操縦士がいう。
そうなのだ、この試験飛行は・・・ほんの初めにすぎないのである。
「燃料気化レベルをフルにしろ。」「フルにしました。」
機長であるスミス君がスロットルレバーを少し上げる。
スロットルレバーとはクルマでいうアクセルのことだ。
飛行機はアクセルではなく、手動のレバーでエンジン回転を調整するからだ。
「燃料コック、メインへ。」「燃料コック確認しました。」
「エンジンのキャブへガス少しだ。」「ガス(燃料)入れました。」
燃料と空気を混ぜて爆発しやすいガスを造るのが・・・キャブレターである。
そこへ、燃料を少し注入して始動させやすくする呼び水のようなものだ。
「今日は外気温が20度だから・・・カウルは半開きだな。」
星形エンジンの丸いカバーの後ろにあるヒラヒラの開く帯みたいなモノがカウルフラップだ。
そこを、寒冷だと閉じて、温暖だと開いてエンジ温度を調整するのだ。
そして、寒冷ぐあいに応じて・・・エンジンオイルクーラーへガスを少々足して始動しやすくするのだ。
スミス機長が窓から合図を送る。
係員が手を大きく振り・・・プロペラ付近にヒトがいないかチエックだ。
「燃料ブーストだ。」と、スミス機長がいう。
アランが燃料ブーストレバーを右へ倒す。
燃料がエンジンへ送られ始める。
燃料圧計でチェックだ。
スミス機長がスターターを入れる。
ヒュ~ンと音がしてエンジン内のフライホイールが廻る。
ここは肝だが、ある程度廻ったらフライホイールとプロペラのクラッチをつなぐ。
プロペラが、ゆっくり廻り始める。
エンジンは双発だと、左右別々にエンジンを始動するのだ。
なんせ、両方では注意が散漫になるからね・・・
そして、2~3回ほどペラが廻ったら・・・頃合いを見て・・・(ここは、長年の経験だ。)
イグニッション(点火ブラグ)のスイッチを入れるのだ。
うまくいけば・・・エンジンが白煙を吐いて廻り始めるのだ。
白煙は暖気運転してれば、おさまる。
そして、エンジンオイルの油圧計を点検する、これを忘れると、最悪エンジンを壊してしまいかねない。
エンジンはエンジンオイルが適量にあれば、壊れることは無いのだ。
暖気運転は1000rpmから1200rpmで20分から30分ほどだ。
寒冷だと、長くなるようだ。
「キャツプ、そろそろ。」と、コパイが言う。
「うむ、では・・・滑走路は1本だな。」
単なる草原だが・・・一応、石ロコは退かしてあるようだ。
満州は広大だ。 水平線が普通に見えるのだ。
山というか・・・高い山なぞ無い。
単なる草原が延々と続くのである。
満州の首府である奉天市だが・・・空き地は多いのだ。(内地とは違うのだ。)
コパイが無線機のマイクをとる。
「こちら、DC-3だ。」「こちら、管制塔です、よく聞こえます。」
てか・・・側の掘っ立て小屋が・・・管制塔かよっ! と、突っ込むアラン君だ。
さすがに、声には出さないが・・・
竹竿の無線アンテナが・・・ショボイのだ。
それなりに短く刈り込んだ草原の滑走路をタキシングする。
「ふむ、これなら行けそうだな。」と、キャツプ(機長)であるスミス君は操縦ハンドルを握るのだ。
「では、これから試験飛行を始める。」
「管制塔、了解。」「無事を祈る。」と、管制塔の無線員が定番の挨拶だ。
「よしっ。」と、スロットレバーの2本を同時に・・・徐々に上げる。
「ブ~~ン。」と、いうエンジン音が「ゴ~~~ン。」と、いうハミングした双発エンジン音になる。
主脚のブレーキを外す。
スルスルと進みだしたが・・・それなりに・・・揺れる機体だ。
おもわず、操縦ハンドルに力が入る・・・いかん、いかん、冷静にだと、思う機長のスミス君である。
操縦桿は卵を握るようにだが・・・それは空(うえ)にあがってからだ。
スロットルレバーを2本とも・・・いっぱいまで上げる。
双発エンジンだから・・・スロットルレバーは2本あるのだ。
これが、Bー17などの4発爆撃機だと4本ある。
離陸は失速して事故ることも無いことは無いが・・・着陸より事故率は少ない。
初心者にとり、着陸は怖いモノなのだ。
まあ、2名ともベテランだから・・・それでも、草原からの離陸は緊張するのである。
やはり、コンクリの滑走路がベストだ。
「ゴ~~ン。」と、双発エンジン音が高鳴り・・・DC-3型機は離陸する。
「高度、300まで。」と、高度計を見る。
当時の高度計は電波方式ではなく、気圧方式だ。
地上で目盛りを高度0に合せるのだ。
大気圧から高度を割り出す高度計だから・・・まあ、それなりだ。(現在は電波高度計)
当時は航空レーダーなんて無いから・・・有視界飛行である。
第一旋回、第二旋回、第三旋回と滑走路の周辺を旋回して着陸コースへ入る。
あらかじめ飛ぶコースを想像しながら飛ぶのが飛行機である。
なせなら、いきなりの行動は失速(揚力を失う。)して、最悪は墜落だ。
即・・死である。
それなりに若い両人は・・・まだ、死にたく無いようだ。(まだ、まだ、おマンコが・・・)
「管制塔、聞こえるか。」「こちら、管制塔です。」
「今から着陸する。」「了解です。」
なお、この交信は英語だ。
現在でも、航空無線での交信は英語が決まりなのである。
どうしてかって?
それは、大東亜戦争で日本が敗戦したからだ。
日本が勝利して世界の覇権を握っていれば・・・航空無線の言語は日本語であったろう・・・
ドイツ語? まさか、ドイツはイタリアの次に敗戦してしまった。
イタリアなぞ、あっというまに白旗だ。
そして、こともあろうに・・・味方だった日本へ宣戦布告まで・・・まあ、イタリア人はオナゴのお尻を追いかけてれば幸せだそうだ。
まず、メスのおマンコしか頭に無いイタリア野郎なのである。(マジの種馬なのだ。)
話を戻そう。
無事に着陸して、タキシングして・・・管制塔の付近で停止するDC-3型だ。
係員が機体の主脚へ車輪止めをかう。
「パカリ。」と、扉が開いて・・・スミス機長とアラン副操縦士が顔を出す。
係員がタラップを配置する。
サイトウ技師とヤマモト技師が・・・そして、面々が拍手だ。
試験飛行は成功だからである。
米軍の輸送機の部品からの組み立ては、いちおう成功といってもいいだろう。
「遠路はるばると、ありがとうございました。」
「感謝に耐えません。」と、米国からの操縦士へ感謝する日本側である。
「まだ、主脚をだしたままの、ほんの試験飛行にすぎませんから。」
「試験は、これからですよ。」と、スミス操縦士がいう。
そうなのだ、この試験飛行は・・・ほんの初めにすぎないのである。
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