152 / 199
55歳の再婚12尾キツネ
あたしも、まんざらではないわさ。
しおりを挟む
あたしは、12尾キツネだ。 年齢は55歳で、12尾では最高齢だわさ。 ダンナはかなり以前にドラゴンに食われた、もう顔も覚えていない。 子もいない。 このまま、死んでいくのか、とあきらめていた。 でも神はいた。 メリル様がニホンジンの来訪を予測したのだ。 メリル様の予測は本当になる。 ハズレは無いのだわさ。・・・・・・ 今日も崖にキノコを採りにいく。 それ以外、食糧はないのだ。 ドラゴンが唯一こない崖だ。 その崖のおかげで12尾キツネは細々と生きてきた。 キノコだから栄養など少ない。 みな痩せて、ガリガリ君だ。 それで、命をかけて狩に出かけるが、まず帰らない。 ドラゴンがそれを狙っているらしい。 だからオトコキツネはほとんど食われた。 もう15人ほどしか残っていない。 崖のキノコ採りも命がけだ。 落ちてゆく仲間をどれだけ見たことか。 洞窟の暮らしはヒモジイのだ。 伝説のニホンジン、ドラゴンを一撃で仕留める。 オトコの中のオトコだ。 あこがれだ。 何も言わずにニホンジンはドラゴンを殺しまくった。 その間、ドラゴンは12尾キツネを食えなかった。 ニホンジンが仕留めたドラゴンは3万とも5万とも言われた。 12尾の誰もが一度も倒せなかったドラゴンをニホンジンは一人で殲滅したのだ。 ニホンジンがいなくなり、また悲惨な生活に戻った。 これは、祖母から聞いた話だ。 あのころは、よかったという、祖母の記憶は忘れない。 十分な食い物、きれいな衣服など、洞穴の暮らしとは月とスッポン以上だ。 ・・・・ニホンジンがやっと来た。ニホンジンは約束どうり養ってくれた。 今、私は、タワーマンションの29階にワンルームで暮らしている。 夢でも考えられなかった、暮らしだ。 つい数ケ月まえまで崖のキノコを採るのに必死であった。 いまは、30階の展望ビュフェでサイコロステーキを優雅につまんでいる。 ニホンジンは55歳の私の面倒を見てくれた。 毛皮のみすぼらしい服は優雅なロングドレスに換わった。 メリル様は、ここから見えるお城住まいだ。 すごいお城だ。 30階のこのタワーマンションと同じ高さのお城だ。 それが、すべてニホンジンの、12尾キツネに対しての養うことの答えらしい。 なんとも想像できない。 この恩をどう返すか、メリル様はニホンジンの子を産むことで返すらしい。 12尾キツネのオンナはそれが義務となった。 ・・・・・・・ 何年か後、眼のクロい、髪がクロい娘の8尾キツネが6人で車イスを押してタワーマンションを出る。(55歳は6人のユミスケの子を産んだ。) 降下船までユミスケ訪問だ。 自動運転の車で着いた。 車イスのオバサンキツネにユミスケが抱きつきチューをする。 デープキッスだ舌をからめて長い、まだ終わらない。 娘6人が次ぎの自分のチューを待ってるのに終わらない。 オバサンキツネはユミスケ妻の最高齢だ。 だからユミスケも大事にするのだ。 オバサンキツネは遺言をユミスケに渡した。 同じ墓に入りたい、それをユミスケは確約する。 これで、20回目だ。 でもそのたびにユミスケはデープなチューをして確約するのだ。 アリスは何もいわない。 いや言えないのだ。 55歳だった12尾キツネを愛して、後悔のないユミスケだった。
0
お気に入りに追加
43
あなたにおすすめの小説
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
美しい姉と痩せこけた妹
サイコちゃん
ファンタジー
若き公爵は虐待を受けた姉妹を引き取ることにした。やがて訪れたのは美しい姉と痩せこけた妹だった。姉が夢中でケーキを食べる中、妹はそれがケーキだと分からない。姉がドレスのプレゼントに喜ぶ中、妹はそれがドレスだと分からない。公爵はあまりに差のある姉妹に疑念を抱いた――
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話
ラララキヲ
恋愛
長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。
しかし寝室に居た妻は……
希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──
一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……──
<【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました>
◇テンプレ浮気クソ男女。
◇軽い触れ合い表現があるのでR15に
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾は察して下さい…
◇なろうにも上げてます。
※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。
彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。
父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。
わー、凄いテンプレ展開ですね!
ふふふ、私はこの時を待っていた!
いざ行かん、正義の旅へ!
え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。
でも……美味しいは正義、ですよね?
2021/02/19 第一部完結
2021/02/21 第二部連載開始
2021/05/05 第二部完結
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる