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始まりはここから

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 夜7時になった。 川の土手に行くべきか、やめるべきか。 本当のところ悩んだ。 
頭に直接響いてくる言葉を信用して良いか。 悪夢と思い、ほっておくべきか。 
 現在、俺はフリーターであり、守るべき財産もほとんど無い。 守るべきヒトもいない。 
彼女もいないからリア充では無い。 変態のオタクにしか見えないだろう。 
 変態では無いが。 普通、変態は自分を変態ではないと考えているらしい。 
変態であるが、2次元と3次元を十分理解して、違法なことはヤラないのだ。 
 ひろった物をネコババしたことも無い。 まあ気が弱い、ごく普通の日本人であった。 
キライなものは、ヤンキーと特亜三国である。 まあリア充死ね、と何度思ったことか。  
 けっきょく行くことにした。 重い腰をあげて川原の土手に行った。 すぐ近くだから、すぐに着いた。 
「ほう、着たんだ。 ホントに着たんだ。」と頭に響いた。 俺は思わず、「頭ではなく、声でしゃべったら。」と声にだした。 
「後にいるよ。」と響いた。 振り返ると。 でかいネコがいた。
 
 ブタ猫で、顔がなんとなく日本人みたいな感じで人面ネコみたいだ。  「人間ではない、しゃべるネコか。」「ホント、居るのか、眼の錯覚ではないかな。」と俺はネコにツッコミを入れた。  
ネコいわく「私はオレスという。ネコに似ているが、ネコでは無い。以前はヒトであった。君を雇うためにいる。」 さらに「別に危害は加えない、君に資格もあらゆる能力も必要無い。」とネコがいった。
 俺は、「ニートだが、働く気はある。しかしネコに雇うといわれても信用できない。」   「終身雇用で君が死ぬまでだ。給金は応談でどうかな。」 「場所はここではないが。」 「社宅も与えよう、家賃は無料で。」  「条件が良すぎる、うまい話には、裏があるからな。」と俺はつっこんだ。  
「まあ信用しなくてもいいが、ネコがしゃべっている段階で信用して欲しい。」 
「君を選んだのは声に反応してくれて、さらに無職で守るべきヒトも無い、この世界に未練はないと思うが。」 「たしかに守るべき財産もほとんど無い。未練としてパソコンのハードの中身くらいか。」といったら、「パソコンのハードは抹消しといてやるよ。」「費用は君の給金から引いておくから。」 「どんだけセコいんかよ。」と思わず言ってしまった。 
「まあ積もる話も無いから、さっさと行こうか、ついてきてくれ。」 俺はネコについて歩いた。
 
 川原の土手の下に廃屋があった。 ボロボロの小屋で軽自動車の車庫くらいだ。 
ネコは小屋のトビラの前で俺に、「ドアを開けて、中に入りなさい。」といった。 カギなんてない。 木のトビラを開けた、中はまっくらだ。 なにも見えない。 
「どうするの。」 とネコのオレスに聞くと、「スイッチを入れるニャ。」  「あれ、いまニャンコ言葉なのか。」とつっこんだ。 
「しまった、地がでてしまったニャ。」 ネコのオレスの後悔を聞きながら中に入った。  
小屋の中は転送装置でもあるのかと思ったが、そんなものなかった。 
 大東亜戦争当時の零式練習機モドキがあった。二人乗りのゼロ戦だ。 
なんでこんなものが、それに本物より小さいな、半分くらいか。 胴体はタマゴッチみたいに寸胴で短い翼がはえている。

「乗るニャ。」 オレスはニャンコ言葉をもう直そうとしない。 
まあいいか、前部の練習生が搭乗する座席に乗り込んだ。 
「行くニャ。」ネコのオレスはいうとスイッチを入れ始めた。 
プロペラが廻りだした。 
滑走路もないのにどうするのか、と思っていたらゼロ戦はスーと浮かび、小屋のボロ屋根を破壊して空に飛び出した。  
どんどん速度が速くなる。体に加速度のGがかかる。 
すごい、とても体がもたないと思ったら、意識がとんだ。
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