大東亜戦争を回避する方法

副官、ハンスブチ切れる。

１両も残すな。

　「ロンメロ将軍、あぶな・・」と砲塔の隣の機銃員が覆いかぶさる。　同時に、「バゴ～～～ン。」と指揮戦闘車の後部が爆発する。　隣の戦車に騎乗していた副官は、「実弾かっ。」と驚愕する。　同時に、「ロンメロしょ・・・」　と絶句だ。　指揮戦闘車は半壊していた。　将軍の隣にいた機銃員が将軍へ覆いかぶさり、ロンメロ将軍は上半身は無事だった。　しかし、下半身は・・・　衛生兵が駆け寄る。　「ダメです、これでは手のほどこしようが・・」と、絶句する衛生兵だ。　「いや、助けて見せるぞ。」と、副官が無線員へ、「衛星回線で日本海の日本海軍空母へつなげ。」「衛生兵は血止めだ。」　・・・「こちら、アメノウズメです、どうぞ。」「こちら、シナで訓練中のロンメロ軍団です、至急オペを、将軍が・・」　「わかりました、ビーコンを。」　「おい、ビーコンだ。」　（ビーコンは目標位置を電波で知らせる装置である。）　数分後、空母から飛んできた音速ＶＴＯＬが生命維持カプセルへロンメロ将軍を格納後、即空母へ戻る。　ＶＴＯＬを見送った副官は、「1両もシナ戦車は残すな、殲滅だ。」と叫んだ。　「実弾へ切り替えろ。」　「ヤツらが逃げるぞ。」　シナの戦車２００両は、ロンメロ負傷で、あたふたの軍団のスキをついて逃走である。　もちろん、一番早いのは米軍から盗んだトヨス戦車である。　ロンメロ騎乗の指揮戦闘車を砲撃と同時に逃げ出したのだ。　もちろん、それを見たシナ軍は、我先にと逃げ出したのだ。　さすがに、ロンメロ軍団はシナの逃げ足の速さには唖然である。　シナの戦車２００両は１両も残らず逃げて、あとの祭りである。　「くそっ、追撃だ。」　「将軍の仇だ、シナ陸軍を討伐する。」と司令する副官だった。　「いいか、それぞれ班に分かれて、追撃だ。」　「互いに連絡は密にせよ。」　「これは、将軍の仇討と思えーっ。」　と激を飛ばす副官である。　「なお、敵は米軍戦車を塗り替えて使っているから注意だ。」　「なお、詳細は班長より聞くこと、以上だ。」　「では、パンツァーフォー。」　副官がロンメロ流に腕を指した。　１０両、5班に分けて、ロンメロ軍団はシナ戦車の討伐に訓練場を後にしたのである。　そして副官へ、ロンメロを日本本土へ緊急救命のため搬送する旨、空母アメノウズメから連絡があったのだ。　もちろん、承知の返答だった。　しかし、最高医療設備の空母集中治療室が・・・　そうだった、下半身が・・・　まだ、存命しているだけでも脅威の医療である。　日本海へ展開する、日本海軍空母の有難さを実感する副官である。　「前方、５００にシナ戦車だ。」　「なに、よくやったぞ、逃がすな。」と追撃に忙しいロンメロ軍団である。　相手は、シナ戦車の２００両だが、この卑怯な仕業の元凶をなんとかせねば、本国へは帰還できない。　・・・「副官、シナの戦車兵が投降してきましたが。」と、報告が。　「うむ、尋問してみるか・・」　しかし、マジでロンメロ将軍への不意打ちは知らなかったようである。　おいおい、泣いて命乞いしか・・・　まあ、シナ兵捕虜なぞ負担になるだけだ、しかし国際法上では殺すわけにもいかない。　処理に困る副官だ。　捕虜の監視に余分な兵は廻せない。　「武装解除したら、解放しろ。」と、決断したのである。　「ヤツらと関わりたくないからな。」と念を押す副官である。　ちなみに、副官であるハンスは座右の銘が諭吉翁の脱亜論（ドイツ語版）であったとか・・・・・・