上 下
444 / 497
クローン養育係。

お局士官の退官後の・・・

しおりを挟む
 日本海軍の空母には各艦に数人のお局士官が赴任している。 主な任務は艦内の接待と連絡用VTOLの操縦などだが・・・ 空母は新型が建造されると、退役する。 つまり、解体されるか、別の任務へ廻されるかである。 そして、その空母のお局士官も退役である。 空母の顔だからだ。 ここで、問題が・・・ 「あたしたちは? どうすればいいのかしら。」 となるのである。 新型空母には新たなお局士官が・・・ もう、席はない。 海軍も、せっかく育てたお局士官を退役させたくはない。 そこで、新たな任務を考えた。 まず、お局士官の教育機関である。 世界に通用する接待係の士官を育てるためである。 そして、VTOLの操縦教官である。 「それでは、まだ私たちが・・」 数人の残りがいたのだ。 総理は考えた。 そうだ、「博士は?」 と赤電話を取る。 (スマフォでは重みがない、ここは赤電話だ。)「博士は?」と電話に出た秘書(幼女)に問う総理だ。 「総理ですか、しばらくお待ちを。」そして 「あ、あ、総理、もう生まれるんです。」といきなり博士がいう。 「えっ、生まれるって、もうか!」「でも、この前には、小さかったが。」 「いま、6歳くらいには成長してます、教育をほどこさないと。」と博士がこぼした。 「えっ、なんとヒトが育てるのか。」 「あたりまえです、総理。」 「しかし、幼稚園に通わせるわけにはいかんし、困った。」 と悩んでいる総理へ。 内閣府の係官が、「総理、お局士官の・・」 と横ヤリが・・ そこに閃いた総理だった。 お局士官なら軍人だ。 クローンの秘匿には安心である。 人造人間のことは当面、国民には内緒でいこう・・・ こうして、お局士官の全員が、第二の行く先が決定したのである。 軍人は軍事機密や国の極秘案件に触れる機会も多い。 それで、一般社会に軍人をだしたくはないのは当然である。 特に、オナゴは口に戸が建てられない。 そう、おしゃべりなのだ。 絶対に内緒なのを、必ずバラすのは、オナゴなのである。 それで、秘密を守るためでもある任務の斡旋であるのだ。 変態科学者の須藤研究所に、数人のお局教育官が・・・ 「わたしが、須藤博士だ。」「いえ、しばらくぶりですわ。」 「VTOLの人工知能の説明会で、お会いしました。」 「そうだったかな。」 「まあ、いい。」 「これから見ることは軍事機密だ。」 それを聞くなり、キリッと顔が変わるお局教育官らである。 ドアを数枚通過する。 そのたびにガード装置が働く。 最後のドアが・・・ 「博士、これがウワサの・・」 「ウワサ?誰から聞いたんだ。」 と顔色が変わる博士だ。 「総理から、クローンの教育係だと・・」 「もう、総理は口が軽いから。」と、こぼす博士だ。 まあ、事前情報は、ある程度は必要なのである。 「明日には、試験管から生まれる。」 「この子らを教育してほしいんだ。」と博士が。 基本、お局は処女である。 つまり、子を産んだこともないし、育てたこともない。 しかし、お局士官もオナゴである、生まれたときに、すでに子を養育することを遺伝子としてもっている。 まして、お局士官は資格として他国言語から幼児教育まで学んだ才女ばかりだ。 だから、女性が保母さんや看護婦なのである。 野郎には務まらない仕事なのだ。 こうして、お局教育官がクローン子女を育成することとなったのである。 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】双子の伯爵令嬢とその許婚たちの物語

ひかり芽衣
恋愛
伯爵令嬢のリリカとキャサリンは二卵性双生児。生まれつき病弱でどんどん母似の美女へ成長するキャサリンを母は溺愛し、そんな母に父は何も言えない……。そんな家庭で育った父似のリリカは、とにかく自分に自信がない。幼い頃からの許婚である伯爵家長男ウィリアムが心の支えだ。しかしある日、ウィリアムに許婚の話をなかったことにして欲しいと言われ…… リリカとキャサリン、ウィリアム、キャサリンの許婚である公爵家次男のスターリン……彼らの物語を一緒に見守って下さると嬉しいです。 ⭐︎2023.4.24完結⭐︎ ※2024.2.8~追加・修正作業のため、2話以降を一旦非公開にしていました。  →2024.3.4再投稿。大幅に追加&修正をしたので、もしよければ読んでみて下さい(^^)

婚約者から婚約破棄のお話がありました。

もふっとしたクリームパン
恋愛
「……私との婚約を破棄されたいと? 急なお話ですわね」女主人公視点の語り口で話は進みます。*世界観や設定はふわっとしてます。*何番煎じ、よくあるざまぁ話で、書きたいとこだけ書きました。*カクヨム様にも投稿しています。*前編と後編で完結。

(完結)妹に婚約者を譲れと言われた。まあ、色ボケ婚約者だったので構わないのですが、このままでは先が不安なので、私は他国へ逃げます

にがりの少なかった豆腐
恋愛
※後半に追加していた閑話を本来の位置へ移動させました ―――――――――― 私の婚約が正式に決まる前日の夜。何かにつけて私の物を欲しがる妹が私の婚約者が欲しいと言い放った。 さすがに婚約について私がどうこう言う権利はないので、私に言われても無理と返す。 しかし、要領がいい妹は何をしたのか、私から婚約者を奪うことに成功してしまった。 元より婚約に乗り気でなかった私は内面では喜びで溢れていた。何せ相手は色ボケで有名な第2王子だったのだから。 そして、第2王子と妹の婚約が正式に発表された後、私に関する根も葉もない悪い噂が流れ始めました。 このままでは、私がこの国で暮していけばどうあっても先は暗いでしょう。親も助ける気は無いようですし、ならばさっさとどこかへ逃げ出した方が良いかもしれませんね。 そうして私は他国の知人を頼りに、人知れず国を出ることにしました。 ※この世界には魔法が存在します ※人物紹介を追加しました。

俺と合体した魔王の娘が残念すぎる

めらめら
ファンタジー
魔法が使えない中学生、御崎ソーマ。 ソーマはある事件をきっかけに、異世界からやって来た魔王の第3王女ルシオンと合体してしまう。 何かを探すために魔物を狩りまくるルシオンに、振り回されまくるソーマ。 崩壊する日常。 2人に襲いかかる異世界の魔王たち。 どうなるソーマの生活。 どうなるこの世界。 不定期ゆっくり連載。 残酷な描写あり。 微エロ注意。 ご意見、ご感想をいただくとめちゃくちゃ喜びます。

華麗なるブルゴーニュ家とハプスブルグ家の歴史絵巻~ 「我らが姫君」マリー姫と「中世最後の騎士」マクシミリアン1世のかくも美しい愛の物語

伽羅かおる
歴史・時代
 15世紀欧州随一の富を誇ったブルゴーニュ家の「我らが美しき姫君 マリー・ド・ブルゴーニュ」とハプスブルグ家「中世最後の騎士 マクシミリアン1世」の悲しくも美しい愛の物語を、そしてその2人の側にいた2人の姫アリシアとセシリアの視点から、史実に基づき描いていく歴史小説です。  もともとマリーとマクシミリアンの曽祖父はポルトガルのジョアン1世で、この2人も再従兄弟(はとこ)同士、マリーの父方のお祖母様と、マクシミリアンの母方のお祖父様は兄と妹という関係だったのです。当時のヨーロッパではカトリック同士でしか婚姻を結べないのはもちろんのこと、貴族や王家の結婚は親同士が決める政略結婚ですから、親戚筋同士の結婚になることが多いのです。  そしてこの物語のもう一つの話になる主人公の2人の姫もやはり、アリシアはイングランド王ヨーク家の親族であり、またセシリアの方はマリーとマクシミリアンの曽祖父に当たるジョアン1世の妻であるイングランド王室ランカスター家出身のフィリパ(マリーの父方のお祖母様と、マクシミリアンの母方のお祖父様の母にあたる人)の父であるジョン・オブ・ゴーントの血を引いています。  またヨーク家とランカスター家とはかの有名な《薔薇戦争》の両家になります。  少し複雑なので、この話はおいおい本編において、詳しく説明させていただきますが、この4人はどこかしらで親戚筋に当たる関係だったのです。そしてマリーやマクシミリアンにとって大切な役割を果たしていたマリーの義母マーガレット・オブ・ヨークも決して忘れてはいけない存在です。  ブルゴーニュ家とハプスブルグ家というヨーロッパでも超名門王家の複雑な血筋が絡み合う、華麗なる中世のヨーロッパの姫物語の世界を覗いてみたい方必見です!  読者の皆さんにとって、中世の西洋史を深く知る助けのひとつになることを祈ります! そしてこの時代のヨーロッパの歴史の面白さをお伝えできればこれほど嬉しいことはありません!  こちらがこの小説の主な参考文献になります。 「Maria von Burgund」 Carl Vossen 著 「Marie de Bourgogne」 Georges-Henri Dumonto著 独語と仏語の文献を駆使して、今までにないマリーとマクシミリアンの世界をお届け致します!

光のもとで1

葉野りるは
青春
一年間の療養期間を経て、新たに高校へ通いだした翠葉。 小さいころから学校を休みがちだった翠葉は人と話すことが苦手。 自分の身体にコンプレックスを抱え、人に迷惑をかけることを恐れ、人の中に踏み込んでいくことができない。 そんな翠葉が、一歩一歩ゆっくりと歩きだす。 初めて心から信頼できる友達に出逢い、初めての恋をする―― (全15章の長編小説(挿絵あり)。恋愛風味は第三章から出てきます) 10万文字を1冊として、文庫本40冊ほどの長さです。

社長、嫌いになってもいいですか?

和泉杏咲
恋愛
ずっと連絡が取れなかった恋人が、女と二人きりで楽そうに話していた……!? 浮気なの? 私のことは捨てるの? 私は出会った頃のこと、付き合い始めた頃のことを思い出しながら走り出す。 「あなたのことを嫌いになりたい…!」 そうすれば、こんな苦しい思いをしなくて済むのに。 そんな時、思い出の紫陽花が目の前に現れる。 美しいグラデーションに隠された、花言葉が私の心を蝕んでいく……。

うつほ物語③~藤原仲忠くんの結婚・新婚ものがたり

江戸川ばた散歩
歴史・時代
古典「うつほ物語」の「田鶴の村鳥」「蔵開」の部分にあたります。 藤原仲忠くんの、今上の女一宮との結婚とその新婚生活、生まれた京極の屋敷跡で見つけた蔵の中にあった祖父の古い日記に書かれていた波瀾万丈な出来事を帝の前で講読する……  そして何と言っても、待望の彼の娘が生まれます。 何とか落ち着いた仲忠くんのそれなりに幸せなおはなし。

処理中です...