上 下
419 / 497
Uボート対駆逐艦。

独逸海軍対フローラ海軍。

しおりを挟む
 どうして、ここでフローラが訓練を始めたのか? 別に、フローラが音頭を取りたかったのではない。 なぜなら、艦橋の観戦武官席に座ってるだけである。 そう、観てるだけなのだ。 艦長は、日本海軍に鍛えられた新人である。 そして、内緒だがUボート部隊、独逸海軍に数隻が残っていた、Uボート部隊が訓練の相手だった。 このことは、フローラだけの秘密である。 フローラは軍のことは素人である。 しかし、陸のロンメロがいるのだ。 海の・・・が必要なのは理解していた。 しかし、ソ連の空爆で人材が・・・ なら、自分がやらねば・・ フローラは艦長に眼で合図である。 そう、マイクである。 「ん、ん、あ~、あ~、みなさん、本日は皆さんの訓練の進展具合を観にきました。」 艦内がざわつく。 この音声は僚艦にも伝わっている。 「敵は、どこに居るかわかりません、以上ですわ。」 とほほ笑んでマイクを返した。 「全員に告ぐ、今日の訓練は締めていくぞ。」 と艦長だ。 艦内から、「おうーっ。」と気勢があがった。 訓練は事前に想定は伝えてあった。 それは、哨戒任務である。 駆逐艦は対潜哨戒が主な仕事である。 そして、いつもはデゴイが相手であったのだが・・・ 「魚雷だ・・・・」 とソナー員が叫んで非常警報を鳴らした。 いままでの訓練では、潜水艦を探知してから・・・ それが、いきなりである。 「艦長、マジなヤツです。」 とソナー院が叫んだ。 魚雷の推進音がデゴイの魚雷と違うからである。 「音は複数あります。」とソナー員だ。 艦長は、「回避運動だ、最大船速だ。」 と指示を出す。 「僚艦は?」 と副官に聞いた。 「それぞれ、回避運動をしてるようです。」 「うむ。」 「近いです、右舷方向。」 とソナー員が叫んだ。 偵察員が方向を示す。 「来るぞ。」と叫んだ。 ・・・・ 爆発音が無い。 どうやら、ソレたようだ。 「ギリでした。」 と偵察員が叫んだ。 艦長が、「潜水艦は?」 と、「ソナー員は、「わかりません。」 「捜索を続けろ。」 と艦長だ。 「デゴイでは、ないのか?」 と艦長だ。 ・・・ 「よし、次だな。」 とUボートの艦長のルーデッツがつぶやく。 彼は、ソ連の空爆の生き残りだった。 あのとき、運よく訓練で沖合を航行していたのだ。 それで、数隻のUボートが生き残ったのである。 栄えある独逸帝国海軍のUボート部隊。 今は見る影もない。 わずかに3隻が残った・・・ 独逸帝国海軍で誇れるのは、Uボート部隊だけであった。 100隻を超える大部隊も、3隻が残るのみである。 かつて、日本と優劣を争った面影はない・・・・ しかし、伝統は残したいのである。 日本海軍には日本海軍の伝統があり、独逸帝国海軍にはUボート部隊の伝統がある。 その伝統を伝えるべく、Uボート3隻は訓練に参加しているのだ。 「避けられました。」 とUボートのソナー員だ。 「ほう、なかなかだな。」 とUボート艦長のルーデッツだ。 「次は、どうかな。」 ・・・・・さあ、マジな訓練が始まった・・・・・・
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

満州国馬賊討伐飛行隊

ゆみすけ
歴史・時代
 満州国は、日本が作った対ソ連の干渉となる国であった。 未開の不毛の地であった。 無法の馬賊どもが闊歩する草原が広がる地だ。 そこに、農業開発開墾団が入植してくる。 とうぜん、馬賊と激しい勢力争いとなる。 馬賊は機動性を武器に、なかなか殲滅できなかった。 それで、入植者保護のため満州政府が宗主国である日本国へ馬賊討伐を要請したのである。 それに答えたのが馬賊専門の討伐飛行隊である。 

西涼女侠伝

水城洋臣
歴史・時代
無敵の剣術を会得した男装の女剣士。立ち塞がるは三国志に名を刻む猛将馬超  舞台は三國志のハイライトとも言える時代、建安年間。曹操に敗れ関中を追われた馬超率いる反乱軍が涼州を襲う。正史に残る涼州動乱を、官位無き在野の侠客たちの視点で描く武侠譚。  役人の娘でありながら剣の道を選んだ男装の麗人・趙英。  家族の仇を追っている騎馬民族の少年・呼狐澹。  ふらりと現れた目的の分からぬ胡散臭い道士・緑風子。  荒野で出会った在野の流れ者たちの視点から描く、錦馬超の実態とは……。  主に正史を参考としていますが、随所で意図的に演義要素も残しており、また武侠小説としてのテイストも強く、一見重そうに見えて雰囲気は割とライトです。  三國志好きな人ならニヤニヤ出来る要素は散らしてますが、世界観説明のノリで注釈も多めなので、知らなくても楽しめるかと思います(多分)  涼州動乱と言えば馬超と王異ですが、ゲームやサブカル系でこの2人が好きな人はご注意。何せ基本正史ベースだもんで、2人とも現代人の感覚としちゃアレでして……。

永艦の戦い

みたろ
歴史・時代
時に1936年。日本はロンドン海軍軍縮条約の失効を2年後を控え、対英米海軍が建造するであろう新型戦艦に対抗するために50cm砲の戦艦と45cm砲のW超巨大戦艦を作ろうとした。その設計を担当した話である。 (フィクションです。)

蒼穹(そら)に紅~天翔る無敵皇女の冒険~ 四の巻

初音幾生
歴史・時代
日本がイギリスの位置にある、そんな架空戦記的な小説です。 1940年10月、帝都空襲の報復に、連合艦隊はアイスランド攻略を目指す。 霧深き北海で戦艦や空母が激突する! 「寒いのは苦手だよ」 「小説家になろう」と同時公開。 第四巻全23話

本能のままに

揚羽
歴史・時代
1582年本能寺にて織田信長は明智光秀の謀反により亡くなる…はずだった もし信長が生きていたらどうなっていたのだろうか…というifストーリーです!もしよかったら見ていってください! ※更新は不定期になると思います。

大東亜戦争を有利に

ゆみすけ
歴史・時代
 日本は大東亜戦争に負けた、完敗であった。 そこから架空戦記なるものが増殖する。 しかしおもしろくない、つまらない。 であるから自分なりに無双日本軍を架空戦記に参戦させました。 主観満載のラノベ戦記ですから、ご感弁を

蒼雷の艦隊

和蘭芹わこ
歴史・時代
第五回歴史時代小説大賞に応募しています。 よろしければ、お気に入り登録と投票是非宜しくお願いします。 一九四二年、三月二日。 スラバヤ沖海戦中に、英国の軍兵四二二人が、駆逐艦『雷』によって救助され、その命を助けられた。 雷艦長、その名は「工藤俊作」。 身長一八八センチの大柄な身体……ではなく、その姿は一三○センチにも満たない身体であった。 これ程までに小さな身体で、一体どういう風に指示を送ったのか。 これは、史実とは少し違う、そんな小さな艦長の物語。

大日本帝国、アラスカを購入して無双する

雨宮 徹
歴史・時代
1853年、ロシア帝国はクリミア戦争で敗戦し、財政難に悩んでいた。友好国アメリカにアラスカ購入を打診するも、失敗に終わる。1867年、すでに大日本帝国へと生まれ変わっていた日本がアラスカを購入すると金鉱や油田が発見されて……。 大日本帝国VS全世界、ここに開幕! ※架空の日本史・世界史です。 ※分かりやすくするように、領土や登場人物など世界情勢を大きく変えています。 ※ツッコミどころ満載ですが、ご勘弁を。

処理中です...