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遠征からの帰還。

独逸帝国への凱旋。

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 「将軍、やっと我が大地へ・・」 「うむ、そうだな。」 「今回は長かったですね。」 と副官だ。 「そうだな、兵達にも休暇だな。」とロンメロ将軍だ。 半年前に独逸帝国の国境を越えてラィツランドからローランドを経てソ連だった。 そして、ソ連のシベリア鉄道沿いに東征である。 本来なら、日本海軍の空母で運んでもらうのがセオリーだが・・・ 「これは訓練の意味もあるのでな。」 とロンメロだ。 ソ連のシベリア鉄道沿いだったのは、兵站のためである。 いくら、ロンメロ軍団の輸送部隊が優秀でも限度があるからである。 トラックが悪路に耐えられないからだ。 とくに、ソ連の大地はそうだ。 独逸帝国ではないからだ。 舗装も満足ではない。 夜間は、オオカミの群れが襲ってくるのだ。 焚火の火でも恐れないオオカミがである。 戦車内では就寝はできない。 キャンピングカーではないのだ。 戦う戦闘機械である。 それで、テントを張って歩哨をとなる。 遠征の訓練には最高であるのだ。 兵は訓練で強くなるのだ。 兵器の性能ではない。 「しかし、日本のデーゼルはすごいな。」 とロンメロは繰り返すのだ。 戦車のエンジンは常に最高出力で運用しているのである。 それで、耐久性が無いエンジンだと、頻繁に交換が・・・ しかし、遠征では交換なんて無理である。 牽引も長距離は無理だ。 それで、やむなく破壊して、グズ鉄として放置となる。 それが、この遠征では問題がなかったのである。 つまり、エンジンが東征の往復に耐えたのである。 「グルップのヤツらには、この問題を解決してもらわねばならん。」 とロンメロがいう。 ソ連での随伴してきたソ連戦車は(独逸帝国製のV型である。)途中で、エンコして交代したからだ。 ソ連の整備はシナよりはマシだが・・・ やはり、エンジンの性能は日本には及ばない独逸帝国である。 「しかし将軍、デーゼルエンジンは、我が独逸帝国の発明ですぞ。」 と副官が・・ 「それは、わかるが日本人には魔改造の恐ろしい技術があるからな。」 とロンメロだ。 「飛行機も米国の発明だが、今は日本の独断場だ。」 とロンメロ。 「あの四発ジェット機は、いまだにグルップのヤツらもお手上げなのだぞ。」 と繰り返す。 日本からのプレゼントの旅客機のことだ。 英国女王と米国大統領と独逸帝国のフローラ用の3機のことだ。 「グルップの技師が、ジェットエンジンのチタン合金のタービンブレードの1枚でも無理だ、と。」 独逸帝国の英知の最高峰のグルップがである。 「将軍、基地が見えてきました。」 と副官がいう。 「うむ、長征で兵も疲れただろう、ここは解散で。」 「わかりました。」 副官が、「解散式は省略する、車両の整備が終わり次第、休暇とする。」と指示をだした。 各戦車から歓声が上がる。 まあ、無理もない、家族や彼女に会いにいけるからだ。 ちなみに、ロンメロは憂鬱だった・・・・ フローラには頭があがらないから・・・・・・
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