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ロンメロ軍団の進軍。
ラィツランドとローランドを通過する、軍団だ。
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ラィツランドとローランドとは独逸帝国は条約を結んでいた。 それは、シュリーマンの追跡時に締結したものである。 ソ連の手引きとはいえ、シュリーマンの逃亡を許してしまったのはラィツランドとローランドであった。 逃亡と同時に国際手配がラィツランドとローランドが承諾して、逃亡犯引き渡しの条約が成立していた。 もちろん、捜索のための独逸戦車軍団の通過もOKであったのである。 (それには、日本政府のゴリ押しがあったのだが。) 当時の条約はまだ有効である。 それで、ロンメロの戦車軍団の通過は監視の憲兵はいるが、通過OKとなったのである。 前後に通過する国の憲兵が機動車で、同行するだけである。 もちろん、普通なら他国の軍隊が通過するなど考えられない、しかし背後には日本政府のゴリ押しがあったのは当然なのである。 (国内の公道を他国の戦車隊が通過するのである。) 砲艦外交の伝統がある、日本政府なのであった・・・ 「久しぶりの行軍だが、問題なく通過できるようだな。」 とロンメロが副官にこぼした。 「そうですね、やはりシュリーマン討伐隊が統率がとれていたからですね。」 「うむ、軍規は厳格にだな。」 「承知しております。」 独逸遠征軍の軍規は遠征中は、さらに厳格である。 夜間外出は、とうぜん厳禁だ。 もちろん、飲酒も厳禁だ。 地元の売春婦など買うヤツは、懲罰裁判で銃殺らしい。 交通法規は厳格に守るのである。 信号を守る戦車も、また見ものである。 ロンメロはラィツランドやローランドでは英雄として有名だ。 沿道の見物人が手を振るのだ、もちろんロンメロも返礼は惜しまなかった。 (そこは、フローラの教育が行き届いているようだ。) 「おや、以前のV型と違うが・・」とローランドの住民が気が付く。 「あれが、新型G戦車らしいぞ。」 「ヘー、独逸帝国も戦車は、さすがだな。」 「あ、あ、しかし戦車にアンテナが増えたな。」 なかなか観察眼の鋭いヤツが一般人にも居るようだ。 双方向通信などの電子機器が増えたG型戦車である。 「そろそろ、ソ連の国境ですね。」 と副官が告げる。 どうやら、ソ連側の憲兵隊が橋の向こうで待っているようだ。 「では、お気をつけて将軍。」 とローランド憲兵隊が敬礼で見送る。 答礼で国境を越える独逸帝国戦車隊である。 「ロンメロ将軍、ソ連憲兵隊のウゴーリアです、シナ国境までお供します。」 「うむ、先導を頼むぞ少佐。」 ソ連はシュリーマン事件の件で独逸帝国に借りがあるのだ。 それで、憲兵隊の隊長が先導にあたるのである。 もう、ビクビクものである。 見ると、独逸帝国は新型戦車ばかりだ。 旧型のソ連とは見劣りが・・・ それに、エンジン音が重低音で、なかなかの音なのだ。 ギクシャク音のソ連戦車とは雲泥の差である。 越えられない壁を感じるウゴーリア少佐であった・・・・・
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