大東亜戦争を回避する方法

博士、燃え尽きる。

もう、思い残すことは無い・・・

　「では、諸君らの奮闘努力に期待する、以上だ。」　「敬礼。」　アイシャワンが叫ぶ。　答礼で返す博士だ。　そして、ゆっくりとお立ち台を降りた。　博士は燃え尽きた。　特別にあしらえた、ＶＴＯＬに乗り込むクローンと新型ロボット兵器だ。　あわてて、見送りに立つ博士だ。　最高軍事機密だ、見送りは博士だけだ。　しかし、クローン少女らは、それが嬉しいのだ。　生みの親の博士だけに、見送られるのだ。　ＶＴＯＬのお局クローンが操縦席から振り返る。　「全員、いいですか？」　「ハイ。」　と返事のクローンアイシャの１０人だ。　「わかりましたわ、ではベルトを締めてね。」とお局クローンだ。　・・お局クローん？　なんだ？　お局士官にクローンなぞ居たのか？　お局にも序列がある。　オナゴは序列を作るのだ。　その、列１位の伝説のオナゴといわれた、永遠の処女である、お局士官のカチューシャから須藤博士が苦労して手に入れた毛髪より、育てたクローンだ。　これが、バレたら、アイシャとお局とのタッグとなりかねない。　そうなれば、博士の惨敗は確実だ。　「用意できました、ハラ少尉。」　「わかりました、では。」　とお局士官は操縦幹を引く。　ちなみに、コパイ（副操縦士）のお局もクローンだ。　超電導エンジンが低く唸る。　音もなく、水平に浮きあがるＶＴＯＬだ。　華僑からの情報では、シナの幼女育成所は、南京の側だ。　南京はペーキンと対を成すシナの第二の都市だ。　「高度２万ですわ。」　とコパイがいう。　「そう、では南京へコースをセットですわ。」　と機長のお局だ。　機内では、ロボットとのマッチングに余念がないクローンアイシャらだ。　アイシャワンが各自を点検に廻る。　「おい、アイシャスリー、このマッチングがズレてるわ。」　「あっ、すいませんですわ。」　「これで、３回目ですわ。」　「４回目には、デコピンですわよ。」　「それだけは、ご勘弁を・・」　アイシャワンがテンの前に来た。　緊張のアイシャテンだ。　いきなり、テンに抱き着いたワンだ。　ユリか、ユリなのか！　「もうすこし、こうしていたい。」　ワンがいう。　育成カプセルを出てから、なにかとテンに世話役ワンだった。　「自爆するときは、一緒だ。」　と耳元でささやくワンだ。　・・・　「そろそろ、降下しますわ。」　とお局だ。　「皆、いいか。」　「ハイ。」　黄色い声が輪唱する。　「いいか、ハッチが開くと同時に出る。」　ロボット兵器に跨ったアイシャワンが叫ぶ。　眼下にシナ大陸が迫る。　「あれか、あの建物か・・」　真ん中に広場がある、四角い建物だ。　「各自、建物の屋上に展開、各個撃破よ。」　ワンが叫ぶ。　ＶＴＯＬのでかい後部ハッチが開く。　次々と飛び降りるロボット兵器とクローンだ。　「銃撃準備は？」　「イイデス、テン。」　ガシャリと機銃に銃弾が込められる。　「幼女以外は殲滅よ。」　「リョウカイダ。」　隣は？　アイシャワンがロボットに跨り、いた！　　「つづけ、テン。」　ワンが命令する。　どうやら、自爆は一緒らしい・・・・・