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華僑の最期。

シナ様に従ったのに・・・

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 「くそっ、戦車が相手では分が悪いは・・・」 馬車も献女も捨てて逃げる華僑だ。 だいたい、シナ様も陸路でなんて無理な話だ。 船ならイヤ、今は日本軍が海上封鎖だ。 そんで、ベトナムの山越えだ。 土台、無理だったんだ。 馬車で献女を運ぶのは・・・ 華僑の二人は山道を逃げる。 馬車に乗せたままの献女は惜しいが、自分らの命には代えられない。 しかし、15人も幼女を集めるのは大変だったのに・・・ あ、あ、惜しい! ベトネムの女は働き者だ。 メイドに最適なのだ。 特に、幼女から教育した献女はシナ様のお偉いさんに引っ張りだこなのだ。 大枚を叩いて買ってくださるのだ。 それなりに若い、キレイな献女だと20貫にもなるのだ。 もちろん、処女であるが・・・ あ、あ、金の生る女が・・・ と惜しがる華僑の二人だ。 そして、国境を越える。 山越えだ。 さすがに、山まで国境の有刺鉄線は張られていない。 「待て、お前たちは。」 とシナの国境警備員だ。 「あ、あ、シナ様か。」 「オレ達はシナ軍だ。」 「なら、将軍へ連絡してくれ、華僑のワンチンだ。」 「すこし、待て。」 そして、しばらくして、「おい、電話を替われと言われた。」 と電話が渡された。 「ハイ、ワンチンです。」 「えっ、実はベトナム軍にヤラれて逃げてきた・・」 「献女は、とても連れてくる・・」 「はあ、わかりました・・」 電話を返す。 「おう、ワンツー。」 ワンツーとは逃げてきた仲間だ。 「なんだ、ワンチン。」 「戻ろう。」 「えっ。」 「献女がいないと、ダメらしい。」 「どうして、帰れば捕まるだけだぞ。」 「献女がいないと・・」 首チョンパを示す。 冗談ではない、マジだ。 失敗すれば、シナは首チョンなのだ。 いままで、見せしめに首を切られるのを何度も見学していたのだ。 自身に降りかかるとは・・ 思ってもみなかった華僑らだ。 逆らえば、シナにいる肉親が首チョンなのだ。 逆らった華僑に、塩づけにされた肉親の首が送られてきたことも知ってるのだ。 まあ、ベトナム軍に捕まるしか方法はないのだ。 少なくとも、ベトナム軍では、首チョンは無い。 おそらく、15人も幼女をさらったのだ。 悪くすると終身刑だが、うまい方法を華僑は知ってるのだ。 それは、日本軍へ情報を売るのだ。 その情報で、ベトナムへ日本軍が取り入って刑が減刑、あるいは無罪までありえるのだ。 司法取引というヤツだ。 それが、シナへバレれば肉親の命は無いが、このままでは自身の命が無いのだ。 それで、華僑らは、わざとベトナム軍に捕まるのだ。 そして、言うのだ。 「日本軍へ連絡してくれ。」 と。 ・・・ 「ベトナムからですが。」 「ん、そうか。」 情報部の係官が電話を取る。 「ん、そうか、わかった、確保しといてくれ。」 「おい、いい話だ。」 「なんだ。」 「献女を運ぶ華僑がつかまった。」 「それで、話があるそうだ。」 「華僑がか?」 「マジか、今度はマジな話だろうな、ヤツらはウソしか言わんからな。」 「15人も幼女をさらったヤツらしぞ。」 「ほう、それならマジかな。」 国境警備隊へVTOLで急ぐ情報部係官だ・・・・・ 
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