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フローラVS春麗姫。
つ、ついに始まったか・・・
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「独逸海軍から追加の派遣の要請ですか・・」 「またか、どんだけ派遣するんだ。」 「でも、独逸海軍再建計画は総理の忖度が・・・」 「わかった、ここは、あの手でいくかっ。」 「どんな?」 「禁じ手だが、これ以上艦艇を派遣できないからな。」 海軍総務室の事務官が腰をあげた。 黒板を見る。 一番上が春麗姫のご予定だ。 空母名と公演時間が書いてある。 「今日は、コノハナサクヤか?」 「おい、VTOLの空きはあるか?」 「1機、整備が終わるヤツがありますが。」 「うむ、それで、行こう。」 公演時間を外してアポを取る。 恐れ多くてアポなしは御法度なのだ。 アポなしで姫に会えるのは、今上陛下ぐらいだ。 数時間で、事務官はコノハナサクヤの飛行甲板に着いた。 そばにいた、整備員に、「殿下は?」 「春麗姫なら、控室ですよ。」 「うむ、ありがとう。」 格納庫横の楽屋へ急ぐ。 控室とは楽屋のことだ。 見ると、空母勤務員が鈴なりだ。 「すこし、開けてくれ。」 「だれだ、押すヤツは。」 「オレが先だ。」 「いや、オレはアポが・・・」 「どんだけだよ。」 もう、皆がいいたいことをいいやがるのだ。 とつぜん、ドアが開く。 見ると、お局士官のお古が、「うるさいわね、いいかげんにしなさいよ。」 「面会禁止にしますよ。」 一瞬で沈黙だ。 さすが、お局士官のお古だ。 普通、お局は若くはない。 その、若くないお局の、大先輩なのだ。 まあ、三十路越え・・(それは禁句だ。) 海軍大臣も一目置くほどなのだ。 事務官は、必死にアポの話だ。 「わかりました、特別ですよ。」 「ハイ。」 なんとか、楽屋に入れた事務官だ。 目の前に、春麗姫だ。 呆然とする事務官だ。 「え、え、と、わたくしが・・」 「で、なんでしょ?」 ポーとしてたら、パチンをビンタだ。 お局の気合が入ったのだ。 「ハッ、すんません。」 「ちゃんと、しなさいよ。」 とお局だ。 「え、え、と、実は独逸帝国・・」 一瞬で春麗姫の眼が光る。 「独逸帝国がなんと?」 側にいたプリプリのレツが、ちょい、ちょうと事務官をつつく。 そして、耳元で、「姫に独逸の言葉は禁句ですよ。」 とささやいた。 それで、「ある国から、海軍艦艇の派遣の要請が多くて、これ以上割ける艦艇が・・」 「わかりました、わたくしが行ってさしあげますわ。」 「いいんですか、姫様。」 「ご予定が・・」 「いいんです、そんなもん、ヤツに一泡ふかせるのよ!」 ヤツとはフローラ某のことらしい。 「では、あなた案内しなさい。」 「えっ。」 事務官は・・・ 「今から、乗り込みます、案内しなさい。」 「艦長に伝言を。」 「ハイ。」 とバンドのメンツだ。 「いまから、独逸帝国へ殴り込みです。」 「わかりました。」 えらいことに、なった。 前もって、もっと下調べをしておくべきだった。(春麗姫の独逸嫌いを・・・) 途方に暮れる、事務官だ。 しばらくして、艦内放送だ。 「ただいまから、特別任務で、独逸帝国への派遣となった。」 「乗務員は奮闘努力の事と、姫様からだ。」 「なお、派遣には姫様もご同行なさる。」 事務官は、禁じ手の意味を身をもって知ることとなったのだ・・・・・
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