大東亜戦争を回避する方法

ゆみすけ

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職人魂とは・・・

これが、日本の技術だ。 

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 グルップ社にヨツビシ重工から派遣された技師らが到着した。 ヨツビシの4発ジェット機での来訪だ。 グルップ社専用滑走路に降り立った。 隣の、グルップ重工のギガント爆撃機が小さく見える。 あの、ギガントが・・・  それは、グルップの技師らにカルチャーショックだ。 越えられない壁をいきなり見せたヨツビシ重工だ。 容赦ないな・・・ 「あの、本日は・・」 「挨拶はいいですから、潜水艦の設計図を見せてくれ。」 上から目線がバリバリだ。 独逸人技師らは、社内の潜水艦設計課へ案内する。 「ふむ、これか。」 そして、設計図に赤ペンで、書き始めた。 設計図は、たくさんある。 全体図から、細かい部品図面、潜水艦断面図など多々あるのだ。 それを、赤ペンで、書き直していた。 それも、フルーハンドだ。 そして、「これをトレース台で、書き直せ。」 だ。 「あの、赤の書き直しの説明が。」 「そんな、時間はないぞ。」 「すぐに、部品や船体の合金の手配だ。」 「Uボートの鋼鉄は?」 「いまどき、鋼鉄なぞ、チタンしかないだろう。」 「独逸はソ連から、いくらでもチタン鋼を輸入できるだろうが。」 「しかし、チタンの加工技術がありません。」 「いま、機体から降ろしてるから、チタン鋼だけでも、手に入れろ。」 「ハイっ。」 そうなのだ、4発ジェット機から、工作機械が出てきたのだ。 だから、大きかったのだ。 納得のグルップ技師らであった。 工作機械は、操作や動力などが、鋼鉄加工と同じだから、独逸職人が即、使えた。 そして、輪切りの船体壁ができあがる。 それを、外壁と内壁のチタン板で、覆うのだ。 そうして、二重構造ができあがるのだ。 それに、しても日本人技師は仕事が早い。 計画書どうりに、進んでいくのだ。 彼らは、納期にうるさかった。 まずは、納期は?だ。 そして、納期どうりに部品が造られていった。 とても、独逸人技師では・・・ まさに、仕事の決まった時間なぞないのだ。 納期までに、部品ができれば、その日は終わりなのだ。 それが、20時間かかろうと、仕事を休むことは無いのだ。 ヨツビシはブラックで有名な日本企業だ。 24時間、社員は潜水艦製作を考えているようだ。 独逸は、時間で仕事を区切るのだ。 長い休暇もある。 しかし、日本には無いのだ。 日本国が、江戸時代から、いかに近代国家を建設したか、身をもって感じたグルップ社の従業員だ。 これでは、勝てるわけがないのだ。 24時間働く国と、8時間労働に休暇もある国とでは・・・ 「日本には時間制はあるのか。」 と独逸技師が聞いた。 「もちろん、あるが、それでは潜水艦は完成しないぞ。」 「では、わらわれのために?」 「わしらは、期限までに潜水艦を造る指導をしろとの任務だ。」 「だから、時間制なぞ無い、そして、見て技術は覚えろ。」 「しかし、我らでは、とてもマネできんが。」 「なら、潜水艦比べは諦めるんだな。」 「くそっ、それはできん。」 「なら、我らから見て覚えるんだな。」 「それが、日本のやり方なんだ。」 ヨツビシの技師は簡単に言った。 「できないときは、できないとは言わない、工夫して、やり方を変えるんだ、なら出来ることもあるんだ。」 「もちろん、出来ないことも、多いんだが。」 まさに、日本式スパルタ教育で、グルップ技師らは鍛えられたのだ。 ヨツビシが来社して2週間が過ぎた。 Uボートの新型は船台に乗っかっていた。 完成したのだ。 2週間だ。 とても信じられない。 しかし、でないと運用や試験があるから、つまり、乗員の訓練や船体試験があるからだ。 完成した船体を試験したり、訓練することは、時間を略すことはできないのだ。 だから、2週間で、船体を建造したヨツビシ技師らであった。 そして、彼らは言葉も残さずに帰っていった・・・・・
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