185 / 497
独逸のデゴイ魚雷。
有線誘導魚雷。
しおりを挟む
「このレバーで、ポンプを動かすのです。」 「そして、このレバーで発射管のフタが開きます。」 「ふむ。」 「そして、有線で魚雷の反転スクリューを廻して誘導するのです。」 「これが、誘導装置です。」 「なるほど、実におもしろい装置だ。」 互いに海底に鎮座した潜水艦だが、Uボートが先手を打った。 Uボートの艦尾発射管から誘導デゴイ魚雷が、スルスルと出てきた。 手動で、音はしなかった。 泡が少し出ただけだ。 そして、Uボートから100メートルほど離れたら、モーター音を出して動き出した。 「あっ、モーター音です。」 「動いたな。」 神山潜水艦のアラセ艦長が、「Uボートか。」 「え、え、そうです、近くにいます。」 、「音の解析をしろ。」 どうやら疑っているようだ。 2度も騙せれることにはならない。 ソナー員は、「なんとも言えません。」 「Uボートと思われますが、デゴイかも・・・」 「うむ、ここが判断のしどころか?」 「相手の動きは?」 「離れて行きますが・・・」 「うむ、様子見だ。」 判断つかねるアラセ艦長は時間かせぎだ。 一方、Uボートのカトリ艦長は、「神山は?」 ソナー員が、「動きは、ありません。」 「釣られないか。」 「では、5ノットで離床しろ。」 「いいんですか?」 「ここは、動かないと勝負がつかんからな。」 「そして、デゴイのモーター音と同じに調整しろ。」 「なるほど、それは面白い作戦ですね。」 副官はニャリだ。 「さあ、どうする対馬基地は・・・」 「艦長、別のモーター音です。」 「それは、Uボートと同じか。」 「そうですが。」 「くそっ、二つにひとつか!」 「どちらかが、本物だ。」 副官が、「どうしますか。」 と・・・ 「離床だ、5ノットで、深度250だ。」 「魚雷室?」 「こちら、魚雷室です。」 「爆薬を抜いた魚雷はあるか。」 「用意してあります。」 「では、準備だ。」 「了解です。」 魚雷の装填は数分かかるのだ。 「艦長、魚雷の調整は?」 と魚雷室が聞いてきた。 それは、爆薬が無いからだ。 前が軽いから代わりに音を出す装置が入れてあるのだ。 訓練用に位置がわかるようにだが・・・ 「音はでかい方がいいぞ。」 「了解です、ソナー員がびっくりしますよ。」 「あ、あ、それでいい。」 数分後、「準備できました。」 「では、秒読みだ、9,8、・・・3,2,1、テッー。」 「音魚雷、出ました。」 まあ音で、かく乱する魚雷だ。 「うわっ。」 「どうした。」 「神山が音かく乱魚雷を・・・」 「音が止まるまで作戦は無理です。」 つまり、ソナーが妨害音で使用不能なのだ。 「くそっ、さすがに対馬基地は、手ごわいな。」 「この間に移動されたら。」 「するに決まってるは。」 相手のレーダーを妨害するかく乱電波と同じだ。 「これで、双方が振り出しに戻ったな。」 Uボート艦長カトリは、ウンザリして額の汗をぬぐった・・・・・
0
お気に入りに追加
58
あなたにおすすめの小説
大東亜戦争を有利に
ゆみすけ
歴史・時代
日本は大東亜戦争に負けた、完敗であった。 そこから架空戦記なるものが増殖する。 しかしおもしろくない、つまらない。 であるから自分なりに無双日本軍を架空戦記に参戦させました。 主観満載のラノベ戦記ですから、ご感弁を
四代目 豊臣秀勝
克全
歴史・時代
アルファポリス第5回歴史時代小説大賞参加作です。
読者賞を狙っていますので、アルファポリスで投票とお気に入り登録してくださると助かります。
史実で三木城合戦前後で夭折した木下与一郎が生き延びた。
秀吉の最年長の甥であり、秀長の嫡男・与一郎が生き延びた豊臣家が辿る歴史はどう言うモノになるのか。
小牧長久手で秀吉は勝てるのか?
朝日姫は徳川家康の嫁ぐのか?
朝鮮征伐は行われるのか?
秀頼は生まれるのか。
秀次が後継者に指名され切腹させられるのか?

大日本帝国、アラスカを購入して無双する
雨宮 徹
歴史・時代
1853年、ロシア帝国はクリミア戦争で敗戦し、財政難に悩んでいた。友好国アメリカにアラスカ購入を打診するも、失敗に終わる。1867年、すでに大日本帝国へと生まれ変わっていた日本がアラスカを購入すると金鉱や油田が発見されて……。
大日本帝国VS全世界、ここに開幕!
※架空の日本史・世界史です。
※分かりやすくするように、領土や登場人物など世界情勢を大きく変えています。
※ツッコミどころ満載ですが、ご勘弁を。
日本新世紀ー日本の変革から星間連合の中の地球へー
黄昏人
SF
現在の日本、ある地方大学の大学院生のPCが化けた!
あらゆる質問に出してくるとんでもなくスマートで完璧な答え。この化けたPC“マドンナ”を使って、彼、誠司は核融合発電、超バッテリーとモーターによるあらゆるエンジンの電動化への変換、重力エンジン・レールガンの開発・実用化などを通じて日本の経済・政治状況及び国際的な立場を変革していく。
さらに、こうしたさまざまな変革を通じて、日本が主導する地球防衛軍は、巨大な星間帝国の侵略を跳ね返すことに成功する。その結果、地球人類はその星間帝国の圧政にあえいでいた多数の歴史ある星間国家の指導的立場になっていくことになる。
この中で、自らの進化の必要性を悟った人類は、地球連邦を成立させ、知能の向上、他星系への植民を含む地球人類全体の経済の底上げと格差の是正を進める。
さらには、マドンナと誠司を擁する地球連邦は、銀河全体の生物に迫る危機の解明、撃退法の構築、撃退を主導し、銀河のなかに確固たる地位を築いていくことになる。


世界はあるべき姿へ戻される 第二次世界大戦if戦記
颯野秋乃
歴史・時代
1929年に起きた、世界を巻き込んだ大恐慌。世界の大国たちはそれからの脱却を目指し、躍起になっていた。第一次世界大戦の敗戦国となったドイツ第三帝国は多額の賠償金に加えて襲いかかる恐慌に国の存続の危機に陥っていた。援助の約束をしたアメリカは恐慌を理由に賠償金の支援を破棄。フランスは、自らを救うために支払いの延期は認めない姿勢を貫く。
ドイツ第三帝国は自らの存続のために、世界に隠しながら軍備の拡張に奔走することになる。
また、極東の国大日本帝国。関係の悪化の一途を辿る日米関係によって受ける経済的打撃に苦しんでいた。
その解決法として提案された大東亜共栄圏。東南アジア諸国及び中国を含めた大経済圏、生存圏の構築に力を注ごうとしていた。
この小説は、ドイツ第三帝国と大日本帝国の2視点で進んでいく。現代では有り得なかった様々なイフが含まれる。それを楽しんで貰えたらと思う。
またこの小説はいかなる思想を賛美、賞賛するものでは無い。
この小説は現代とは似て非なるもの。登場人物は史実には沿わないので悪しからず…
大日本帝国視点は都合上休止中です。気分により再開するらもしれません。
【重要】
不定期更新。超絶不定期更新です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
改造空母機動艦隊
蒼 飛雲
歴史・時代
兵棋演習の結果、洋上航空戦における空母の大量損耗は避け得ないと悟った帝国海軍は高価な正規空母の新造をあきらめ、旧式戦艦や特務艦を改造することで数を揃える方向に舵を切る。
そして、昭和一六年一二月。
日本の前途に暗雲が立ち込める中、祖国防衛のために改造空母艦隊は出撃する。
「瑞鳳」「祥鳳」「龍鳳」が、さらに「千歳」「千代田」「瑞穂」がその数を頼みに太平洋艦隊を迎え撃つ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる