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カトリVSアラセ
独逸VS日本
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「現在位置は?」 「想定された、海域に入りました。」 「よし、深度100で、速度は20だ。」 「アクテブソナーより、パッシブを使うぞ。」 「パッシブ了解です。」 つまり、音を出さないで、相手の音を聞くのだ。 独逸のUボートが思いの外、静かであるのでカトリ艦長は作戦変更だ。 「ところで、デゴイ魚雷は?」 独逸人技師は、「有線と想定回路付きがありますが。」 (想定回路付きとは、あらかじめ動作を指定して撃ちだすデゴイだ。) 「そうだな、想定魚雷で、神山を誘い出すか。」 艦長は海図に指示を入れる。 おおきく、回り込む航路をデゴイに記憶させる。」 「うむ、わかりました。」 と独逸技師は入力装置へ数字を入れた。 「我がほうは、海底で神山が出てきたところをピンガーするぞ。」 「了解です。」 ピンガーとは、相手の潜水艦にアクデブソナーで位置を特定したと送ることだ。 潜水艦は位置がバレれば終わりなのだ。 位置がバレた段階で、想定訓練は終わるのだ。 戦闘機同士の訓練で、撃墜判定(ロック、オン)と同じである。 ・・・・さて、こちらは神山潜水艦だ。 対馬基地の潜水艦の猛者ぞろいだ。 アラセ艦長は、「相手は独逸のUボートだが、なめて係るなよ。」 「わかっております、最善を尽くします。」 「うむ、シナの潜水艦より高性能とは思うが・・・」 対馬基地はシナや半島からの潜水艦による偵察に、対策を追われていた。 戦時ではないから、魚雷攻撃は総理から止められていた。 それで、潜水して偵察するシナや半島のUボートを見つけては追い払うことしかできなかったのだ。 しかし、他の基地とは違い、いつ戦闘になるかも、の危険があるのだ。 仮想敵国の潜水艦が常にウロツイテいるのである。 それで、潜水艦探知に関しては最高の腕を自負しているのだ。 まあ、なめてかかっても、仕方がないのである。 「いいか、これは訓練だ。」 「わかっております。」 「沖縄基地の連中の腕を観ようではないか。」 ソナー員は、「今のところ、感なし。」 と返答だ。 しかし、感なしは・・・まてよ、これはワナだな。 さすがに、アラセ艦長は、まだ敵の動きがわからないのに疑問を持った。 「あっ、感あり、Uボートです。」 「どこからだ。」 「おおきく、回り込んでいます。」 「うむ、やはり回り込んできたな。」 ソナー員は、「シナより音は小さいですが、これは間違いなくUボートです。」 「うむ、誘いに乗らずに海底で鎮座だ。」 「わかりました、ベント開け、海底に。」 「了解です。」 神山潜水艦は空気を排出して潜航する。 海底まで200だ。 つまり、水深は300あるのだ。 横須賀沖でも、まだ大陸棚だ。 それなりの水深なのだ。 さあ、双方は海底に、それぞれ鎮座した。 その神山潜水艦の上にデゴイ魚雷が通り過ぎる。 「いま、真上です。」 ソナー員は上を示す。 「どうしますか。」 と副官だ。 いま、ピンガーを打てば勝てるが、それでは面白くない。 アラセ艦長はデゴイと知らずに、やり過ごした。 「いいんですか、チャンスなのに。」 「まあ、待て、ここでピンガーでは即終了だ。」 「そうですが。」 「それでは、沖縄のメンツもないだろう。」 ここは、花をもたせてやろうとの慈悲だ、と思うアラセ艦長だった・・・・・
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