上 下
164 / 497
ソナーからスクリュー音が・・・

これは、どこの潜水艦だ。 

しおりを挟む
 「艦長、スクリュー音です。」 ソナー員が叫んだ。 初めてだから緊張している。 「音をだせ。」「・・・」  「外部スピーカーに音をだせ!」 「ハイ、わかりました。」 「ぐわん、ぐわん、ぐわん。」 とスクリュー音がスピーカーから響く。 これは、ははん~シナだな。 「副官、これは何の音だ。」 「スクリューです。」 「いや、どこの軍の何の音だ?」 副官は、?だ。 「君たちは、どうしてココに居るのだ。」 「それは、バカにされないためです。」 「そうだ、戦争するためではない、りっぱな海軍にするためだ。」 「あっ、これは、まさか、シナのヤツらか。」 「そうだ、シナのUボートの音だ。」 「しかし、まさにドラや太鼓ですね。」 「言ったとうりだろ。」 「艦長、私に指揮をやらせてください。」 「うむ、任せよう。」 副官は敬礼だ。 「これより、副官が指揮を取る。」 艦長は脇にずれる。 「いいか、相手はシナのUボートだ。」 「各員のいっそうの奮闘努力を期待する。」 「おうーっ。」 掛け声が艦内に響いた。 相手は煮え湯を飲まされたシナの潜水艦だ。 いままで、好き放題にバカにされていたのだ。 「ソナー、相手の位置は。」  ダイヤルを廻して慎重に音の位置を特定する。 「まだかっ。」 「わかりました、正面から3時の方向、距離は、約800です。」 「速度は?」 「待ってください。」 速度計測は時間がかかる。 「やく、8ノットです。」 まあ、普通の速度だ。 どうやら、さすがに当方は日本製潜水艦だ。 モーター音は小さいから相手はまだ、こちらに気が付いてない。 潜水艦は発見されれば棺おけだ。 今は戦時ではない、だから魚雷攻撃はしない。 しかし、ここはベトナムの領海内だ。 そこを潜って航行すれば撃沈されても国際法上は文句は言えない。 本来なら、浮上して国旗と軍艦旗を掲げて航行しなければならない。 しかし、そこはシナ海軍だ。 ベトナム海軍をバカにしているのだ。 なら、後悔させてやろう。 「デゴイをシナ潜水艦の右舷に、用意。」 「デゴイ、用意まで30秒です。」 デゴイとは駆逐艦から逃げるときつかう潜水艦のスクリュー音をだす魚雷だ。 爆薬は詰めていないのだ。 「デゴイ、用意よし。」 「では、発射10、9,8、・・・」 「てーっ。」 「デゴイ発射しました。」 「相手まで30秒です。」 「うむ。」 腕時計を見る艦長だ。 「ソナーは相手の動きを注視しろ。」 副官が指示する。ーーー さて、こちらはシナのUボートだ。 一日艦長の王大将軍が艦長である。  ソナー員が、「潜水艦のスクリュー音です。」 「どこの艦だ。」 と王大艦長だ。 「え、と、これは、だんだん近づいてきます。」 「それで、どこのヤツだ。」 「わかりません。」 「え、ええい、魚雷で・・・」 「いいんですか、戦時ではないですが。」 「え、おまえ、ワシをだれだと。」 「いえ、わかりました、魚雷戦用意。」 「いいんですか。」 「殺されたいのか?」 「いえ、しかし。」 「いちおう、用意したやれ。」 「わかりました。」 シナ海軍も楽ではないようだ。 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異聞・鎮西八郎為朝伝 ― 日本史上最強の武将・源為朝は、なんと九尾の狐・玉藻前の息子であった!

Evelyn
歴史・時代
 源氏の嫡流・源為義と美貌の白拍子の間に生まれた八郎為朝は、史記や三国志に描かれた項羽、呂布や関羽をも凌ぐ無敵の武将! その生い立ちと生涯は?  鳥羽院の寵姫となった母に捨てられ、父に疎まれながらも、誠実無比の傅役・重季、若き日の法然上人や崇徳院、更には信頼できる仲間らとの出会いを通じて逞しく成長。  京の都での大暴れの末に源家を勘当されるが、そんな逆境はふふんと笑い飛ばし、放逐された地・九州を平らげ、威勢を轟かす。  やがて保元の乱が勃発。古今無類の武勇を示すも、不運な敗戦を経て尚のこと心機一転。  英雄神さながらに自らを奮い立て、この世を乱す元凶である母・玉藻、実はあまたの国々を滅ぼした伝説の大妖・九尾の狐との最後の対決に挑む。  平安最末期、激動の時代を舞台に、清盛、義朝をはじめ、天皇、上皇、著名な公卿や武士、高僧など歴史上の重要人物も多数登場。  海賊衆や陰陽師も入り乱れ、絢爛豪華な冒険に満ちた半生記です。  もちろん鬼若(誰でしょう?)、時葉(これも誰? 実は史上の有名人!)、白縫姫など、豪傑、美女も続々現れますよ。  お楽しみに 😄

御懐妊

戸沢一平
歴史・時代
 戦国時代の末期、出羽の国における白鳥氏と最上氏によるこの地方の覇権をめぐる物語である。  白鳥十郎長久は、最上義光の娘布姫を正室に迎えており最上氏とは表面上は良好な関係であったが、最上氏に先んじて出羽国の領主となるべく虎視淡々と準備を進めていた。そして、天下の情勢は織田信長に勢いがあると見るや、名馬白雲雀を献上して、信長に出羽国領主と認めてもらおうとする。  信長からは更に鷹を献上するよう要望されたことから、出羽一の鷹と評判の逸物を手に入れようとするが持ち主は白鳥氏に恨みを持つ者だった。鷹は譲れないという。  そんな中、布姫が懐妊する。めでたい事ではあるが、生まれてくる子は最上義光の孫でもあり、白鳥にとっては相応の対応が必要となった。

横濱大正恋歌劇 嘘ツキかわせみ籠のなか

ささゆき細雪
歴史・時代
 大正六年初秋。公家華族の令嬢、立花翡翠(たちばなひすい)の日常は、横濱にある金糸雀(かなりあ)百貨店の歌劇を見たその日から、おおきく変わりはじめた。  婚約者との別れを惜しむ間もなく翡翠はつい先ほどまで見惚れていた歌姫、小鳥遊愛間音(たかなしあまね)に連れられ、選択を迫られる。  ――変人と呼ばれる百貨店御曹司の朝周ともちかとの結婚か、歌姫となりアマネを抜いて自由の身になるか――……?  大正浪漫煌く横濱で、歌姫(男)と純真無垢な華族令嬢が恋をする!?  初出ムーンラストノベルズ(R18)。こちらではR15へ加筆修正したものを公開します。

七絃灌頂血脉──琴の琴ものがたり

国香
歴史・時代
これは小説ではない。物語である。 平安時代。 雅びで勇ましく、美しくおぞましい物語。 宿命の恋。 陰謀、呪い、戦、愛憎。 幻の楽器・七絃琴(古琴)。 秘曲『広陵散』に誓う復讐。 運命によって、何があっても生きなければならない、それが宿命でもある人々。決して死ぬことが許されない男…… 平安時代の雅と呪、貴族と武士の、楽器をめぐる物語。 ───────────── 七絃琴は現代の日本人には馴染みのない楽器かもしれません。 平安時代、貴族達に演奏され、『源氏物語』にも登場します。しかし、平安時代後期、何故か滅んでしまいました。 いったい何があったのでしょうか? タイトルは「しちげんかんじょうけちみゃく」と読みます。

明治元年の断頭台

大澤伝兵衛
歴史・時代
 フランス革命で数多の人間を処刑してきた断頭台(ギロチン)が、処刑人として名を知られるサンソン家から失われた。その約二十年後、維新の嵐が吹き荒れる日本で、見事な切り口で首を斬る手口の殺人事件が横行する。  幕府の処刑人として名高い山田朝右衛門の養子である山田半左衛門吉直は当初下手人と疑われ、その疑念を晴らすため事件の調査に乗り出す。そして、アンリ・サンソンの子孫を名乗る男装のフランス軍少尉アンリエット・サンソンと出会うのであった。  遠く離れた地で生まれた処刑人の一族の運命を背負う者同士が、血と怨念の連鎖を終わらせるため、明治元年の日本を駆け巡る。

赤線の記憶 それでも僕は君を

ブラックウォーター
歴史・時代
昭和30年代。 戦後復興期のさなか、若き実業家と赤線の女が恋に落ちる。 世間からいい顔をされなくとも、ふたりは幸せだった。 だが時は流れ、売春防止法の施行に伴って赤線の廃止が決定。 時代の流れは残忍な濁流となって、ふたりを押し流して行く。 昭和の妖怪、岸信介。 経済の鬼、池田勇人。 貴公子、佐藤栄作。 彼らは、寵愛する若き麒麟児に、どのような道を示すのか。 連載再開です。

ーー焔の連鎖ーー

卯月屋 枢
歴史・時代
その男の名は歴史に刻まれる事はなかった …確かに彼はそこに存在していたはずなのに。 ーー幕末の世ーー 男達はそれぞれの想いを胸に戦い続ける。 友の為 義の為 国の為 抗う事の出来ない運命に正面から挑んだ。 「あの時の約束を果たす為に俺はここに居る」 「お前と俺の宿命だ……」 「お前が信じるものを俺は信じるよ」 「お前の立つ場所も、お前自身も俺が守ってやる」 幕末で活躍した新撰組とそれに関わったはずなのに歴史に残ることはなく誰一人として記憶に刻むことのなかった1人の男。 運命の糸に手繰り寄せられるように、新選組と出会った主人公『如月蓮二』彼と新選組は幕末の乱世を駆け抜ける!! 作者の完全なる“妄想”によって書かれてます('A`) ※以前エブリスタ、ポケクリにて掲載しておりましたがID&パス紛失にて更新できなくなったため修正を加えて再投稿したものです。 フィクションです。史実とは違った点が数多いと思いますがご了承下さい。 作中の会話にて方言(京弁、土佐弁)で間違いがあるかもしれません。 初物ですので、広い心で見守って頂ければ有り難いですm(_ _)m

花浮舟 ―祷―

那須たつみ
歴史・時代
本物の『主人公が悪役』作品、ここに。 架空の京・沖去(おきざり)が舞台の戦国物語。 京の統治者、十四代御門は若くして病で亡くなり、即位したのはまだ幼い公主。そのため、御門の親類である幻驢芭(まほろば)家当主・宵君(よいのきみ)が摂政となり、京を統治・守護していた。 ところが御門の髪上げを目前に、宵君は自らの腹心とともに不穏な動きを見せ始める。 ◆当作品は戦国時代をベースとしておりますが、地名、人物名等は全て架空のものです ◆中盤以降、暴力的な描写があります

処理中です...