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お値打ちと安価品
コスパは?
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トヨスの満州支店のセールスは続ける。 「戦車は1両では、囲まれて負けてしまいます。」 「うむ。」 「やはり、最低でも3両の小隊単位の活動でないと。」 「それは、わかる。」 「この新型満州型は、亜細亜型の1両で、3両の予算で・・」 「本当か、なんか怪しいが・・」 疑うのはもっともだ。 安かろう、悪かろうのシナ戦車の例があるからだ。 「まあ、それなりの装備の古さはありますが。」 「使えんでは、兵達が・。」 「装備は満州整備士でもOKかと。」 「自動車整備の3級でも、この満州型はイケます。」 大臣は悩む。 米軍のオンブでダッコの満州国だ。 日本軍の中古も欲しいが、亜細亜諸国が先に盗ってしまうのだ。 インドネシアなんか、全部が(軍服までだ。)日本軍のお下がりだ。 マレーシアもそうだ。 インドなんか最近、日本の旧型空母まで安価に買いやがった。 うかうかできん、と焦る大臣だ。 満州型は以前、米軍のヤツを装備をはずして分けてもらったが、やはり数が少ないのだ。 どうしても、足りん。 そして、米軍戦車のお下がりは最近、安くないのだ。 キャデラックより快適らしいが、満州国では手も足もでない価格なのだ。 「それなりの砲塔で、動けばいいんだが。」 と本音が漏れる大臣だ。 「ただし、寒いからヒーターは付けてくれ。」 「そうですね、安いヒーターならサービスしましょう。」 「本当か?」 まあ、ヒーターはエンジンから冷却水を廻して、それに扇風機を付けただけでもOKだからだ。 もちろん、温度調整なんか無い。 兵卒がスイッチを入れたり切ったりすればOKだ。 砲身はライフリングのある旧型にした。 そして砲弾は以前と同じだが、火薬を少な目にして砲身寿命を延ばしたヤツだ。 それで、3両で1両の予算だから、30両は買えそうだ。 そこに、セールスが追加の隠し玉だ。 今なら、大臣用の視察用自動車をプレゼントとブチかました。 大臣は、思わす顔がニヤける。 満州国は、まだ自家用車は普及していない。 もちろん、大臣用のクルマはあるが、自分専用ではない。 それが、陸軍大臣用にサービスで・・・だ。 (これはワイロではない、個人用ならワイロだが自動車はあくまで公的任務用だ。) 大臣は、許可のハンコを押していた。 やはり、部下達に自身の体面は保ちたいのだ。 メンツと体面のシナのお隣の国だ。 満州国もメンツは大切である。 黒塗りのオープン型視察自動車が数日で届いた。 もう、大臣は有頂天だ。 「では、視察の予定を組むように。」 「ハハー。」 と部下が下がる。 現地の兵隊は、大臣の視察が増えた。 「これで、何回目だよ。」 と敬礼して並んで、うんざり顔だ。 目の前を、押し出しがハンパねえオープン型自動車が答礼した大臣を乗せて通りすぎる。 「まえは、来もしなかったのに。」 とキオツケで敬礼だ。 まあ、これで陸軍は、少しは気合が入ってようだ。 毎日、隊列を組んで敬礼してれば自然と気合も入るのである。
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