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イ号の改良。

独逸潜水艦への対抗措置。

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 ここは、呉潜水艦桟橋だ。 イ号艦長のハザマは危機を感じていた。 それは、台湾のキールン紛争だ。(シナが標的に使う予定の旧型軍艦を沈めた件。) 台湾という、離島だが、日本であり。 我が領土にかわりはない。 それが、おめおめヤラれたのだ。 魚雷の到達距離なぞ、たかが知れているのだ。 せいぜい、有効射程は1キロもない。(実際の効果的な距離だ、性能のスペックではない。) なぜなら、双方がうごいているからだ。 目標の変化に応じて進路を替えるホーミング魚雷はあるが、わが国のホーミング魚雷ではないのだ。 キールン軍港に投錨していたので、動かない標的だ。 シナがホーミングを使うわけは無い。 おそらく、通常の魚雷だ。 では、なにに危機を感じたのか。 それは、軍港近辺まで、感づかれずにUボートが接近したことだ。 軍港は軍事施設だ。 それなりの対潜装備はあるのだ。 近辺の海底にアクテブソナー(スクリュー推進音を聴くだけのソナー。)は設置は当然だ。 それを回避してシナのUボートは潜航して軍港に近づいたのだ。 つまり、いままでのスクリュー音ではないのだ。 いままでのスクリュー音なら、型式や性能まで把握してるんだが・・・ 「これでは、いかん。」 「早急に潜水艦会議だ。」 潜水艦艦長が集まり、実戦での経験を交換して・・・まあ、親睦会議だが。 呉海軍鎮守府の会議会場だ。 50名あまりのイ号艦長が集まった。(全員ではない、偵察任務中はのぞく。)  「では、今回のキールン軍港紛争の対策の件ですが。」 いきなり本題だ。 「はい。」 「では、ハザマ君。」 「いままでのアクテブソナーが破られたんです。」 「うむ、それは由々しき問題だな。」 「イ号は、かれこれ数年はスペックに改良はされていません。」 「これは、海軍工廠の怠慢です。」 「まあ、ハザマ君、抑えて抑えて。」 議長が鎮める。 「いまさら、新造しろとは言いません。」 「まあ、無い袖は振れないからな。」 「これは、聞いた話ですが、クジラ音通でクジラと交信する実験や、イルカと話せるのではないかと。」 「まて、それは、どうして知ってる。」 「聞いた話です。」 「海中で、クジラやイルカの感知能力は数キロに及びます。」 「それをなぜ、応用できないのですか。」 「うむ、動物愛護団体からの動物虐待との指摘が・・・」 「わが国の防衛と愛護と天秤にかけろとでも。」 「ううむ。」 「国際的にクジラやイルカの保護は欧米で特にうるさいのだ。」 「でも、裏ではソ連がイルカに爆弾を乗せて敵にぶつける実験を。」 「どうして、どこから聞いたんだ。」 「米国の愛護団体からですよ。」 「動物兵器の開発か。」 「わが国はどうするんだ。」 「相手がイルカでは、爆弾イルカか判断できないぞ。」 「静粛に。」 裁判所ではないが、会議は紛糾して議長が叫ぶが、効果は無い。 「オレはイルカに魚雷は撃てない。」 「オレもそうだ。」 「では、どう自艦を守るんだ。」 「ううむ、わからん。」 もう、滅多糞の会議になったのだ・・・
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