大東亜戦争を回避する方法

ゆみすけ

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オレは替え玉だ。

シュリーマンのウソ。

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 シュリーマンは瞬時に察した。 ソ連から、何者かに独逸帝国へ連行されたに違いない。 どうする、どうする、オレはマズ死刑だろう。 それは、イヤだ。 まだ、死にたくは無い。 (自身の命は惜しいシュリーマンだ。) では、どう切り抜ける。 替え玉に化けるか。 しかし、ソ連の隠れ家にいた替え玉は、どうなったかわからん。 では、どうする、どうすれば、この場を切りぬけられるか。 シュリ-マンは必死に考えた。 そして、アホのマネで、精神病と・・・・ いいや、小細工なぞダメだ。 ロンメロには無力だ。 いたずらに、時間だけが、過ぎていく。 「シュリーマンが、きずいたようです。」 黙ってればいいのに、余計なことを。 「ここは、どこだ。」 「私はなにを?」 誰も、反応してくれない。 会場が、作られていく。 机とイスが並べられて。 証人席が出来上がる。 そして、シュリーマンは、有無を言わさずに、被告席だ。 両側に警備員が立つ。 そして、議長が、「そこの、被告席の者へ。」 「君は誰か、姓名を明らかにしなさい。」 「・・・・」 「再度聞く、君は誰かね。」 「・・・・」 「証人、席へ。」 そこに、フローラだ。 フローラはシュリーマンの秘書だった。 「フローラ証人、その者は?」 「第2代目のシュリーマン総帥ですわ。」 「私は秘書でしたので、わかりますわ。」 「では、シュリーマンに間違いないですか。」 「え、え、間違いありません。」 シュリーマンはトッサに、「おらあ、シュリーマン様の替え玉んだ。」 とドイツ方言でいう。 なかなか、うまい。 「いいえ、本人にまちがいありませんわ。」 「そりゃあ、良く似てるだぞ。」 役者なシュリーマンだ。 議長は、「では、シュリーマンという証拠は。」 「え、毎日見てたからですわ。」 「なんか、ここにアザとか何かないですか。」 「私は秘書です、アザなんてみません。」 つまり、妻ではないというのだ。  検察は限界を感じて、証人を下がらせる。 シメシメ、うまく言ったぞ。 替え玉を造っていてよかったわい。 どうする、ロンメロ、どう出るロンメロ。 検察は「証人を換えます、ゲッペルン総帥の秘書で、墓守のクレアさん。」 クレアが証人席についた。 「この書類に見覚えは。」 と紙を渡される。 見ると、ゲッペルン総帥の覚書だ、日本との同盟や、民主化のメモだ。 「ハイ、ゲッペルン総帥の個人的メモです。」 「たしか、デスクの引き出しに入っていたはずですが。」 「クレア夫人、ありがとうございました。」 クレアが下がった。 そして、「シュリーマンの替え玉くん。」 シュリーマンはビクッとする。 「この書類に見覚えは。」 見るとゲッペルン総帥のメモだ、見せてもらった覚えもあるが、ここは知らんフリだ。 「いいや、見たことはないね。」 自信たっぷりにのべる、自称の替え玉だ。 「では、これは。」 と検察が・・・、それは、シュリーマンがソ連のステルヒン書記長へ送った手紙だ。 そこには、ゲッペルン総帥がソ連を裏切る予想やシュリーマンが次期総帥にとの援助の内容の手紙だ。 これを、知らんといえば、替え玉だから、しらんのだ。 「わしは、知らん、見たこともないわ。」 「では、ここで、君の指紋を採取するが。」 「あ、あ、いいよ、替え玉のなんてしょうもないが・・・」 日本から派遣された警察のカンシキなる技官が紙にスタンプで指紋を採取する。 それは、全員が見ていた。 そして、検察は、「このシュリーマンがステルヒンに宛てた手紙から、特別な薬品で、指紋を日本のカンシキに採取してもらいます。」 え、そんなことが、と驚くシュリーマンの自称替え玉だ。 なんやら、ケースに手紙を入れて、薬品をケースに垂らした。 すると、紫色に指紋の跡が浮かびあがる。 それを、インスタントカメラで接写する技官だ。 まるで、魔術のようだ。 さすが、日本の技術は無双だ。 そして、映画の原理を応用したスコープで、大画面にシュリーマンの自称替え玉の指紋と、手紙の指紋を並べた。 「おんなじだ。」 と議長だ。 なら、こいつは・・・・ 「あっ、逃げたぞ。」 と警備員が叫ぶ。 全員が画面に映し出される指紋を観ていて、注意がソレたスキをつかれたのだ。 しかし、そこまでだった。 なんせ、ロンメロ将軍の兵が警備しているのだ。 20メートルほどで、シュリーマンは取り押さえられた。 「やはり、こいつはシュリーマンだ。」 と議長が叫んだ。 「くそっ、もう少しだったのに。」 と歯軋りして悔しがるシュリーマン。 どうしてくれようか・・・・
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