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心理テスト
あなたは、どうしますか?
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4人は、とある建物の中の事務室に呼ばれる。 そして、ひとりずつ呼ばれた。 「ローラさん、ですか。」 「ハイ。」 「えっと、ですね。」 と試験官数人が差しさわりのないことを聞いている。 そこに、別の事務員が来て、なにか試験官にささやく。 「ローラさん、すこし待っててください。」 試験官は、すべて退出する。 さあ、これからが、本試験だ。 ネコが入ってきた。 「ニャーッ。」と鳴く。 このネコはロボットだ。 まるで、モノホンだが、日本のロボット技術で、パット見、わからない。 そして、少女に向かって、「君はなにしてるんだい。」 とウイグル語でしゃべる。 ローラは固まる。 「どうしたん、ネコが怖いんかい。」 とウイグル語だ。 「えっと、あなたはネコでしょ。」 「そうだが。」 「ネコはしゃべらないよ。」 「ニヤッオ。」 と鳴いてネコは出て行った。 そして、しばらくして、「あ、あ、待たせてわるかった。」 と試験官らが入ってくる。 「さて、ローラさん、試験の結果は追って通知します。」 「終わったんですか。」 「そうですが。」 「ネコは何だったんですか。」 「ネコ?」 「しゃべる、ネコですよ。」 試験官らは、不思議そうな顔だ。 「ネコとは?」 「騙されませんよ、ネコなんでしょ。」 これは、参った。 「そうだ、ネコだ。」 「あのネコは。」 「私たちが造った。」 「えっ。」 「ロボットのネコさ。」 「きみが、ロボットと
うまく相性があうか試したんだ。」 「判断はロボットに決めてもらうんだ。」 「えっ。」 「君は日本国を知ってるかい。」 「え、え、まあ。」 「日本軍に入らないか。」 「軍隊ですか。」 「そうだ、軍隊だが命の保障はしょう。」 「でも、軍隊ですよね。」 「そうだ、しかし君たちのウイグル地区が、どうして満州地区に搬入されたか。」 「あまり、政治の話しはわかりません。」 そりゃあ、16歳の少女だ、そうだろう。 「まあ、あわてることはない、よく考えてくれ。」 面接は終わる。 さて、ローラは自宅に戻る。 最近まで、遊牧民のテント暮らしだった。 しかし、いまは木造住宅で、電気もガスも水道もある。 遊牧生活で学校へいけなかったが、満州地区に編入されてから、日本の教育機関が、学校へいってなかった子女を集めて日本式詰め込み教育で、教え込んだ。 ローラも、それで中等卒業の資格を得たのだ。 その資格があれば日本企業の就職に有利だからだ。 それで、早く独り立ちして親の負担を減らしたかったのだ。 ローラの下に5人がいるのだ。 ローラは親孝行な娘だった。 ローラの両親は遊牧生活から日本の乳製品の会社に入り、チーズの生産工場で働いていた。 いままでの遊牧生活の知恵が生かせるからだ。 生活は安定して、最近は余裕まであるのだ。 シナの支配地域のときは悲惨であった。 いつの間にかヒトがいなくなったり、軍隊の弾除け人足として強制的に連れて行かれるのだ。 否は許されない。 逆らえば、その場で銃殺だった。 「今、帰りました。」 「あ、あ、ローラ面接はどうだった。」 「まだ、なんとも。」 「そうかい、でも気を落とさずにがんばるんだよ。」 母は、私が軍隊へ入るといったらどうするだろう。 とても、言えないローラだった。
うまく相性があうか試したんだ。」 「判断はロボットに決めてもらうんだ。」 「えっ。」 「君は日本国を知ってるかい。」 「え、え、まあ。」 「日本軍に入らないか。」 「軍隊ですか。」 「そうだ、軍隊だが命の保障はしょう。」 「でも、軍隊ですよね。」 「そうだ、しかし君たちのウイグル地区が、どうして満州地区に搬入されたか。」 「あまり、政治の話しはわかりません。」 そりゃあ、16歳の少女だ、そうだろう。 「まあ、あわてることはない、よく考えてくれ。」 面接は終わる。 さて、ローラは自宅に戻る。 最近まで、遊牧民のテント暮らしだった。 しかし、いまは木造住宅で、電気もガスも水道もある。 遊牧生活で学校へいけなかったが、満州地区に編入されてから、日本の教育機関が、学校へいってなかった子女を集めて日本式詰め込み教育で、教え込んだ。 ローラも、それで中等卒業の資格を得たのだ。 その資格があれば日本企業の就職に有利だからだ。 それで、早く独り立ちして親の負担を減らしたかったのだ。 ローラの下に5人がいるのだ。 ローラは親孝行な娘だった。 ローラの両親は遊牧生活から日本の乳製品の会社に入り、チーズの生産工場で働いていた。 いままでの遊牧生活の知恵が生かせるからだ。 生活は安定して、最近は余裕まであるのだ。 シナの支配地域のときは悲惨であった。 いつの間にかヒトがいなくなったり、軍隊の弾除け人足として強制的に連れて行かれるのだ。 否は許されない。 逆らえば、その場で銃殺だった。 「今、帰りました。」 「あ、あ、ローラ面接はどうだった。」 「まだ、なんとも。」 「そうかい、でも気を落とさずにがんばるんだよ。」 母は、私が軍隊へ入るといったらどうするだろう。 とても、言えないローラだった。
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