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ロボットの時代
死なない兵隊
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日本国の兵器工廠、とある実験場だ。 四足の馬のような機械が動いている。 そこは、市街戦を模した実験場である。 四足の機械の前には眼がふたつある。 そして、背中には回転機銃だ。 よく見ると、太いコードを引っ張っている。 だぶん、電源コードだ。 少し離れて小屋があった。 「試験終了。」 の声だ。 小屋のドアから研究員が出てきた。 政府の技官や衛生部の連中が研究員に取り付けたハーネスを外している。 「どうだ、調子は?」 技官が聞いた。 「そうですね、立体感も十分ですが、人間相手に使うんですか。」 「そうだ、死なない兵隊が欲しい。」 「戦死を無くしたいのはわかりますが。」 「なんか、こう実感がわかないような。」 「実際の現場の兵役経験者ではどうですか。」 「検討しよう。」 四足の機械は、大きさが軽自動車くらいだ。 前にカメラが2個あり、背中に回転機銃が乗っている。 四足だ。 どうしてタイヤでないのか。 理由は、市街戦では、瓦礫の山を(砲撃で崩れた建物の破片だ。)かき分けて進む。 タイヤでは無理だ。 試したのだ。 日本は狭い路地や入り組んだ建物が多い。 そこでの戦闘だ。 タイヤでは、進めなかった。 それで、馬だ。 機械の馬だ。 四足なら瓦礫ばかりでも進めるのである。 なぜ、カメラが2個だと? 立体感がわからないと瓦礫を乗り越えて進めないのだ。 それに、市街戦だ。 距離がわからないと撃てない。 それで、立体感をだす2個カメラだ。 操縦していた小屋に入ってみよう。 でかい、ヘッドセットがある。 それを頭からかぶっているようだ。 つまり現場そのものを眼に映すようだ。 そして、足元にはマットが敷いてある。 そしてセンサーをつけたハーネスが4個ある。 腕と足につけるようだ。 現在のVRゲームそのものだ。 そして、戦闘経験者が実験で試すこととなる。 使い勝手がわかる。 果たして結果は? 「なんとも、画像が荒いのが。」 「それは、今後改良する。」 「立体には見えますが、銃を使う反動というか、撃つ実感がないのは問題です。」 「そうか、ふむ。」 「それに、現場は命のやり取りです、間違えば死です。」 「それが、無くなることはありがたいですが。」 「それで?」 「なんか、こう言っては失礼かもしれませんが。」 「遠慮なく言ってくれ。」 「遠く離れて、自分が死なないのはありがたいですが、仮にも殺す相手に失礼かと。」 「え、・・・」 それ以上は兵は答えなかった。 やはり、日本人だな。 そう技師は思った。 しかし、現代の機械化された兵隊は訓練して使い物になるまで多額の金がかかる。 時間もかかるのだ。 それが、消耗戦となると悲惨だ。 遺族への保障もバカにならない。 シナやソ連のような、使い捨ての兵なぞ日本にはいないのだ。 総理は結論つけた、「開発は進めてくれ、戦死はゼロにしたい。」 「わかりました、実用化を必ず。」 「うむ、頼んだよ。」 開発責任者は、命のやり取りを実験機械に取り入れようと悩むこととなった。
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